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オウル

気が付けば、今日で1月も終わりです。 つい最近年が明けてのんびりしていたと思ったら、あっという間にもう1か月が経ってしまいました。 あまりにも早くて驚いています。 この調子で時間が経つと、10年くらいあっという間なのではないでしょうか? さて、ハンドソーンウェルテッドの靴を作る際に、ぜったいに必要な工具がこのオウル(すくい針)です。 ハンドソーンウェルテッドの靴は、インソールの裏側に彫ったリブとアッパーの革とウェルトをまとめて縫いあげるのですが、その際の針や糸が通る下穴を開けるのがこのオウルです。 ちなみにこの持ち手は日本のものですが、オウル(金属の針)の方はイギリス製のものです。 数年前にこのオウルを作っていた職人さんが突然に作れなくなったとかで、国内に作れる人がいなくなってしまい、ちょっとした騒ぎになったことがありまして、それまでは私は日本製のオウルを使っていましたが安定供給を考えると心配になり、それをきっかけにイギリス製のオウルに替えました。 海外から購入するということで、結構たくさんの会社の製品を比べて、その中で最も良さそうなものを一生分購入したので、とりあえずは供給の問題は大丈夫そうです。 日本製のものからイギリス製のものに変えて困った点は幸いなことに皆無で、逆に良かった点がいくつかありました。 まず、それまでは日本製のオウルは結構弱くて、年に1度くらいの割合でポッキリ折れてしまっていたのが、イギリス製にものに替えてからはほとんど折れなくなりました。 なので、若干の余裕をもって一生分として6ダース買ったのに、全然減りません。 それから、日本製のものに比べてイギリス製のものは針先のカーブがきついため、ちょっと専門的な話になりますがリブを貫通する際に深く入ることができ、深く入るのならリブの幅は1ミリくらい細くても強度的に問題がなく、そうなれば縫う際の糸が短くて済むので結果として強度的に改善となりました。 さらに、日本のものは1本ずつ職人さんが作っているのですが、イギリスのものは工業製品として作られているので、個体差がほとんどないため非常に使いやすいです。 針先のカーブしている部分を背中側(下側)から見たところです。 研ぎ方も日本のものとは異なり、よって使い方も異なります。 日本のオウルはスーっと刺すのに対し、これはグリグリやって刺していきます。 グリグリやっても折れないようになっているので、それも使いやすいポイントです。 針先の形は、ちょっと丸くてかわいく見えますが、結構シャープなのでちょっと触れただけでもスパンと指先が切れてしまうため、取り扱いには注意が必要です。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ギブソンシューズ

今日のお客様は、埼玉県にお住いのSSさんです。 ご注文いただいていた靴が完成いたしましたので、納品&フィッティング確認のためにお越しいただきました。 早速履いていただきました。 今回完成したのは、黒のスムースの革を使って製作したパンチドキャップギブソンシューズです。 パンチドキャップというのは、ストレートキャップの端に親子穴の飾りがついたものを言います。 SSさんには、これまでにたくさんの靴をご注文いただいていまして、今では2週間近くは同じ靴を履かずに回せるくらいになっています。 今回完成したギブソンシューズのこだわりポイントは、親子穴の穴飾りをキャップの端のみに施したこと。 これくらいの方がお仕事で使いやすいのです。 と言いつつ、今日のデニムにもなかなかイイ感じで合っていらっしゃって、 「これならこんな感じでデニムに合わせても普通に履けそうですよね。」 とおっしゃっていました。 SSさんは、足が非常に細くて既製品だと合いません。 そんな理由で私たちシューリパブリックにお越しくださったのですが、こうして足に合う靴を履くようになったことで、歩くことに対する不安がなくなったとおっしゃっていました。 もし何かあって歩いて移動しなくてはいけないという時に、歩けない靴ではやはり何かと不安です。 でも、足に合った革靴は普通に10キロくらい歩いてもおそらく問題ないはずです。 SSさん、今回完成したギブソンシューズを大変気に入ってくださって、 「これと全く同じ靴がもう1足あっても良いですよね。次作るのは、これにしようかもしくは使い勝手の良いチャッカブーツにしようか、悩むところです。」 とおっしゃっていました(チャッカブーツはすでにお持ちなんですけどね)。 ところで、SSさんが今日履いていらっしゃったのがこちらの靴です。 ぱっと見黒にも見えるけど実はネイビーのギブソンブーツです。 「パンツの裾が下りていると、おそらく仕事の時でも全く違和感なく履けそうですよね。」 とおっしゃっていました。 しっかりと歩くのであれば、足首までしっかりとホールドしてくれるブーツが一番とのこと。 普段からこんな靴を履いていらっしゃるのって、とってもステキです。 ともあれ、普段から革靴を上手に履いていただいて、本当にありがとうございます。 今製作を進めている靴の完成も、お楽しみにお待ちください。 今日もありがとうございました。 靴の仕様 デザイン: ギブソンシューズ レザー: キップ ソール: ダイナイトソール ラスト: マイサイズラスト(SRD+お客様の足に合わせた調整) 製法: ハンドソーンウェルテッド 今回使用した革の在庫の有無: 有り ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ウェスト

余談ですが、皆さんは何にこだわりをお持ちですか? 私のこだわりは、マニュアルのクルマに乗ることです。 私はクルマの免許を取ってからずっとマニュアルのクルマに乗ってきましたが、ウチの家内がオートマしか運転できないとのことで、17年前にクルマを買い替えたときからオートマになってしまいました。 マニュアルのクルマというと、きっと多くの方はアグレッシブな運転をしたいと言うかもしれませんが、私の場合はクルマが思ったとおりに動いてくれるという理由で、マニュアルのクルマがすきなのです。 決して速く走るとか何かすごい運転をするという目的はなく、ただただアクセルを踏んだら加速して、アクセルを緩めたら減速して、そういう細かいところが思い通りに動いてくれるだけで十分なのです。 でも、オートマのクルマの多くはアクセルを緩めても減速しないでそのままスーっと滑っていくようなものまであって、私は未だに馴染めないです。 免許を取ったばかりの頃に、大きな駐車場でパイロンを並べて先輩たちに運転の極意を教えてもらったときに、そういうことを教え込まれたのでいまだに身体に染み付いてしまっているのです。 クルマの性能を考えればオートマのクルマの方がずっと優れているのはよくわかっているのですが、マニュアルのクルマで慣れてしまっていると、オートマ車の動きはやはり不自然なんですよんね。 わかってくださる方がいると嬉しいです。 さて、もうひとつの私のこだわり、それは丈夫な靴を作ること。 丈夫ということは、履きやすさを追求した結果です。 またクルマに例えますが、プラットフォームがカッチリしているとサスペンションの動きは理想的に動きますし乗っている人も振り回されないように、靴の場合も後ろ半分がカッチリしていると足が疲れにくくなるとか靴の中で足がブレにくくなるという大きなメリットがあります。 それが理由で、私は靴のウェストを絞りません。 こちらはオックスフォードシューズですが、多くのビスポークメーカーはエレガントさを追求して(その他にも理由はありますが)ウェストをギューッと絞っています。 ビスポークではなくても、オールデンなどウェストを絞っているモデルもありますよね。 ですが、私達シューリパブリックでは靴の剛性を確保するためにこの部分にたくさん補強を入れるため、ウェストは絞らない仕様にしています。 ギブソンブーツもそうですし、 ギリーシューズも、その他のモデルも絞っていません。 しっかりと補強を入れて、剛性を確保することが優先になります。 その結果、靴のソールはこんな形になっています。 あくまでも実用を追求した結果であって、私達シューリパブリックのこだわりがこんな形になっています。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。  

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革のご紹介

カテゴリー: Leather:革入荷情報

余談ですが、ここ最近は新型コロナの影響もあって旅行などに出かける機会が激減し、服や靴やバッグはそんなにたくさんは必要ないのではないかと思うようになりました。 これが将来的にコロナが落ち着いて出かけられるようになっても、やっぱりそんなにたくさん要るかというと、必要なだけあれば十分なのだと思います。 それが何着であり何足であり何個であるということは人それぞれですが、でも少なくともこれまでのようにたくさん買うのではなく、必要なモノを吟味して、むしろ本当に好きなモノ、もしくは本当に必要なモノを必要最小限で買い求めるというスタイルになっていくような気がします。 そして、どうせ買うなら本当に好きでちょっと良いものを買って永く使うということになるのでしょうね。 さて、今日ご紹介する革は好きか嫌いかは人それぞれですが、非常に流行り廃りのないベーシックなボックス調のとってもきれいな革です。 こちらの革は、フランスの有名なタンナーさんのもので、Saddle Calfと言います。 この革のブラウンは昨年の企画商品で使いましたが、その革の色違いです。 良い革か否かを見極める方法として、まずこうしてシワを確認するということが挙げられます。 キメの細かい良い革は、シワの入り方も細かくてとってもキレイです。 1枚の大きさは200デシほどなので、日本だと小さめのキップに分類されます。 最近は、このようなボックス調の革で生地が良くて仕上がりが良いものってほとんどなくなってしまいました。 本当に貴重です。 とりわけ黒い革はごまかせないとよく言われていまして、黒い革の場合その生地の良し悪しがそのまま出てしまうので、黒い革を作る時には特に良い生地を使うのだそうです。 そして、もう一つの見極め方が革の裏側を見ることです。 生地に十分な厚さがあってきめが細かいものであれば、裏側もちゃんとキレイになっています。 もちろんこの革もとってもキレイです。 そして、こちらは同じ革のダークブラウン色です。 革の状態で見ると、ダークブラウンの方がちょっとキレイに見えます。 この革は(黒も)マル革といって背筋で二つに裁断していないものなので、背筋がうっすらと見えますね。 靴を作る時には、この背筋を入れないようにするのがセオリーです。 一応ダークブラウンの方も裏側をご覧ください。 今納品待ちの靴の中にこの革を使っているものがありましたので、ちょっとご紹介させていただきます。 この週末に納品予定のSさんのギブソンシューズですが、こうして見てみると革の良さが際立っているのがよくわかりますよね。 このタンナーさんの革は、革の状態よりもラスティングをした方がキレイになり、さらに仕上げをするとこんなにキレイに仕上がります。 この革の雰囲気は、イギリスの高級靴でよくあるものですよね。 カチッとしていてスマートでとっても格好良いです。 黒もダークブラウンもどちらもほぼ同じような雰囲気で上がります。 きっとこのような雰囲気の靴は、お好きな方が多いはずです。 革の在庫ですが、黒の方はあと2足、ダークブラウンの方はあと4足になりますので、この革で靴を作りたいという方はお早めにご連絡ください。 ずっと永く履く靴を作るのに、ピッタリな革です。 革のお取り置きは、3か月間有効です。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ラスト調整

余談ですが、今朝自転車で工房に向かう途中に大きなメルセデスベンツのセダンを見かけました。 パワーが有り余っている感じで、なかなか太い排気音を残して走って行ったのですが、そもそもクルマのパワーってそんなに必要なのかという疑問が残りました。 10年以上前に仕事で中国に行ったときに、たくさんのフォルクスワーゲンのジェッタがタクシーとして使われていて、おそらく100馬力もないようなエンジンだったと思うのですが、それでも十分すぎるくらいによく走っていて、極端なことを言えばあれで十分なのではないかと思います。 今のクルマは、環境対策の件もあっていろいろと規制がかかっていますが、それでもちょっとパワーのあるクルマは200馬力だとか300馬力だとか、トルクだって30キロとか40キロというものもあるのですが、 クルマのパワーが上がればそれに伴って車体を丈夫にしたりタイヤを太くする必要があって、そのことが車体の重量化につながって、結局は運動性能が落ちたり燃費が良くなかったりということになります。 車重がある程度軽ければそんなにトルクも必要ないので、私個人的にはやっぱり軽いクルマが理想です。 私がこれまで経験したクルマのパワーが必要な時と言えば、関越道の赤城高原から新潟方面に向かう上り坂くらいで、その時だけちょっと我慢してそのほかの時は燃費よく軽快に走るクルマが私の理想です。 実際にそのようなクルマはないこともないのですが、どちらかというとグレードの低いヤツが多く、欲しい装備がついていなかったり、モノによってはサスペンションの構造がイマイチだったりするので、なかなか思い取りに行かないものだと思っています。 さて、今日はお客様の足に合わせてラストを調整する作業をしました。 ラストの調整とは、お客様の足を計測したデータをもとに、足長や足囲がまぁまぁ近いものを木型屋さんに発注して作ってもらい、それをもとにさらにお客様の足に合わせてミリ単位で肉付けをしたり削ったりして形を合わせる作業です。 上の写真は、11月の初めころにご注文いただいたお客様のラストを調整しているところです。 向かって右側が左足で、左側が右足です。 左足はすでに調整が済んでいます。 この調整は、作り手によってどのようにするのかが全く異なっています。 どれくらい異なるのかというと、もう全然違います。 計測は立った状態でやるのか、もしくは座った状態でやるのかという違いから始まって、足そのままの状態からどれくらい締めるのかという締め具合も全く異なります。 ちなみに、足そのままの数値で靴を作ると緩くて脱げてしまうので、少し締めてあげる必要があるのです。 それを締めすぎるときついですし、締めが足りないと緩いわけで、お客様が快適と感じるところに上手に落とし込む必要があるのです。 このあたりの考え方で、履き心地の良い靴を作るためのひとつの要素が決まります。 また、私が指さしているこの部分は適度に締めてあげると履いた時にフィットしていると錯覚することがあり、スポーツをするときの靴には良いのですが、革靴を履いて歩くときにはあまり締めすぎないほうが良いと言えます。 そのあたりも作り手の考え方次第です。 私は長時間快適に歩くことを目的としているので、しっかりと足をホールドしつつもできるだけリラックスして歩けるようなセッティングにしています。 このお客様も親指の付け根あたりがなかなか薄く、結構がっつりと削りました。 そもそもイギリス靴はこの部分の隙間を極力少なくするような設計になっており、お客様の足に合わせてかなり正確に調整する必要があります。 さらに、このお客様はカカトも小さめなので結構削りました。 カカトの理屈はとにかく深くて、それはピタリの形にするのではなくあくまでも靴を履くときにはカカトに合わせるための調整であり、簡単に言ってしまえば面ではなく線で合わせるための調整です。 こちらはまだ調整していないほうの足です。 調整するとどれくらい変わるのと訊かれることもありますが、もちろんそれはそのお客様によって全く異なります。 このお客様の場合は、足囲で5ミリくらい削ったり、場所によっては3ミリくらい肉付けしました。 それだけなんですけど、そんな調整を足全体に施すと、履いた時の印象が全く異なります。 さらに、この調整は数学のような方程式があるわけではなく、ないわけでもないのですが、このタイプの足の場合はこんな調整をするという感じで、その足によって調整の仕方が全然変わってくることも面白いところです。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ブラッシング

今日は水曜日なので、私たちシューリパブリックの工房はお休みです。 午前中は、クルマの法定点検のためにディーラーさんに行き、リコールの修理もあったために約3時間ほどかかり、その後近所で買い物をして帰ってきました。 お休みの日は、私にとっては週に1日だけの大変貴重な日なのですが、その日に何をするかによって満足度合いが全く異なります。 たとえば、出張や旅行に行った時の1日は非常に内容が濃く、たとえ半分以上移動していたとしてもたくさんの非日常に接して充実感でいっぱいです。 不思議ですよね。 もし仮に3日間休みがあったとして、旅行に行くと確かにあっという間の3日間ではあるものの、それなりにその一瞬一瞬に重みがあって、帰ってきたときにはいろいろなことを経験した満足感でいっぱいで、改めて考えるとその時間がとっても長く感じられるのに、 ムダにダラダラ過ごしてた3日間は、何も残らずにあっという間に過ぎ去っていく、後悔の塊のようなものになってしまいます。 まぁ確かにお休みが週に1日しかないのでゆっくり休んでも良いのですが、なんとなくそれでは1日を無駄にしてしなっているように感じてしまい、自分なりには納得できません。 今日は後半がそんなムダな休日になってしまいました。 昨今では、なかなかどこかに出かけるのも難しそうなこともあり、以前のようにどこかの街に出かけて行って散歩ををしてくるという楽しみ方ができなくなっていますが、そのうち落ち着いたらきっと出かけられるようになるはずなので、そのための準備を今のうちからしっかりと進めておきたいと思います。 そうなんですよね、改めて最近は出かける機会が減っているので、革靴を履く機会もそれなりに少なくなっていますし、せっかく買ったコートを着る機会も減っています。 でも、ゼロではないので靴にしてもコートにしても着用後のメンテナンスはしっかりとしておきたいと思っています。 私のコートはウールメルトンのものなので、着た後にはしっかりとブラッシングをすることが大切です。 コートに限らず、だいたいの服は着た後にこのブラシをかけるようにしています。 毛玉ができにくく、良い状態を保てると聞いています。 靴のアフターメンテナンスは、例えば夜に帰宅してその時にあれやこれやと玄関先でやるのも大変かもしれませんが、最低限のメンテナンスとしてやっていただきたいことをお伝えするのであれば、靴もブラッシングです。 靴は、地面に近いところにあり、ホコリは付着しやすいので、まずはホコリをしっかりと落としてあげることが必要です。 ホコリは革の水分を奪い、革そのものにダメージを与える危険性があるそうなので、その日のうちに落としてあげるようにしましょう。 そしてもうひとつは、メンテナンスと言えるかどうか微妙なところですが、インソール周辺を良い状態に保つためにしっかりと靴の中の湿気を逃がすようにしてください。 強制的にではなく、革が湿気を放出しやすいように湿気の多いコンクリートやタイルの上に放置するのではなく、少し高いところに置いてあげることが良いようです。 革に栄養を補給するなどのメンテナンスは、月に1度くらいで十分なので、それよりも日頃のちょっとした気遣いが靴の状態を左右するということを知っておいてください。 多くの方は靴を大切に履こうと思ってくださっているはずですが、その気持ちと裏腹に靴に良くない影響があるようではいけないですから、靴の特性を知っておいていただけると良いですね。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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石目ゴム

カテゴリー: Message:伝えたいこと

サイドゴアブーツ

靴を作る際には、まれにゴムを使うこともあります。 たとえば、モンクストラップの靴のバックルの下側に使う(使わないこともあります)ゴムはビラゴムと言いまして、バックルの内側と同じ幅でさらにセンターに穴が開いているというものです。 そのようにニーズがあるので、専用のゴムがあります。 そしてこちらですが、 これも靴に使うこともあるゴムです。 使うこともありますが、使わないこともあります。 こんな感じのゴムで、石目ゴムと言います。 このゴムは、 こんな感じでサイドゴアブーツに使います。 まぁ、おそらくほとんどの方がわかっていたでしょうけど・・・。 この石目ゴムに関しては、かなり頻繁にたくさんの方から訊かれることがありまして、それは・・・、 「そのゴムはどれくらい持ちますか?」 ということです。 10年以上履くオーダーメイドの靴の場合、ゴムがダメになったという理由で履けなくなってしまうのは納得がいきませんからね。 このゴムは、通常であれば5年くらいは問題なく使えます。 もちろん履く頻度によってそれは変わってくることもあります。 そして、ゴムがダメになってしまった場合は、修理屋さんなどでゴムを交換することができます。 もちろん私たちシューリパブリックも、この石目ゴムを交換できる仕様で靴を作っていますので、安心して履いていただけます。 私の主観ですが、日本で入手できる靴のパーツの中で、この石目ゴムはなかなかクオリティが高いと思っています。 これよりももっとクオリティの高いものは、世界中を探せばもしかしたらあるかもしれませんが、日本で普通に入手することができるという利便性を考えれば、このクオリティは十分に合格です。 それに対して、同様に日本で入手できる材料でこれはちょっとヒドイというものもありまして、そういうものは使わないようにしています。 そりゃそうですよね。 ともあれ、私自身もモノを永く使えことを前提としてモノづくりに携わっていますので、材料に関しても納得のいくものを選んで使っています。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ラスト

まず、ひとつお知らせです。 今年も企画商品の旅チャッカの受付をしております。 旅チャッカとは、旅行や出張の時に通常であれば履き替える靴をもっていかなくてはいけないところを、1足の靴で数日間を乗り切れるという仕様のチャッカブーツです。 今年の仕様は、基本的な部分はいつもと同じですが、革に関しまして小さなシボのある革を使うことにしています。 こんな革です。 ちょっとツヤがあって、擦りキズがついてもクリームで消えそうな感じの革です。 受付は2月末まで。 ただ、新型コロナのこともあって工房にお越しいただけないという方もいらっしゃるかもしれませんので、そのような方はご相談ください。 詳細は、1月18日のブログをご覧ください。 ところで、余談ですが皆さんはカメラってお好きですか? カメラ好きという方はけっこうたくさんいらっしゃるかと思いますが、じつは私もカメラ好きで中学生のころから父親のおさがりのカメラを片手にあちこちに出掛けました。 カメラ好きにはいろいろあって、例えるなら鉄道ファンには乗り鉄、撮り鉄があるように、カメラ好きにもカメラそのものが好きな方もいれば、カメラをもってどこかに行って写真を撮るのが好きな方もいます。 私はどちらかと言えば後者で、カメラやレンズはそんなに高価なモノじゃなくても全然OKで、カメラを持ってどこかに行く、いや正確には出かけることがメインでついでにカメラを持って、残しておきたい景色があったら写真を撮るというタイプです。 なので、カメラはできれば小さい方が好ましく、でも多少はキレイに写ってほしいので、普段は富士フイルムのミラーレスのカメラを持ち歩いています。 次はどこに行こうかなぁ、コロナが落ち付いたらどこに行けるかなぁといつも考えています。 地図を見て知らない土地を探しては、Google Street Viewで旅行気分に浸り、次はここに行きたいなんて思って・・・。 そんな私の旅行気分を盛り上げてくれるのがカメラであり、カメラを見ているだけですでに旅行に行くような気分になってしまいます。 さて、今日はラストの話です。 こちらは工房においてあるギリーシューズです。 私たちシューリパブリックの#SRCというラストを使って作った靴です。 その#SRCというラストがこちら。 こうして見て見るとなるほど確かにと思う反面、ちょっと形が違うんじゃないの?って思うところもあるかもしれませんね。 つま先の形を比べてみると、当然のことながら靴はラストのシルエットにライニングの厚み、つま先ならトーパフ(つま先の芯)の厚み、そして表側の革の厚みが加算されて、ラストに比べればだいぶおおらかなシルエットになります。 さらに、これを見ていただきたいのですが、 ラストの厚みはこれくらいなのに対し、 靴の厚みはだいぶ厚くなっているように見えます。 これは、ウェルトよりも上の部分はインソールを含んでいるためで、インソールそのものが結構厚いので靴の内部の厚みがあるように見えます。 ですが、実際には先ほど見ていただいたラストがベースになっているわけで、靴の内部は思っているほど厚くないのです。 靴のフィッティングに関係する話になりますが、靴の内部はなるべく隙間がない方が履きやすく、隙間や余裕がありすぎると靴の中で足が動いてしまったり、隙間があるゆえに大きなシワが入ってしまうこともあり、フィッティングの理想はきつくない程度にタイトであることとされています。 そんなわけで、靴を見てシューツリーを選ぶ時や、ご自分の足に合わせた靴を選ぶときに、靴の形に惑わされないようにお気を付け下さい。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。  

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スウェード

こちらは、完成して納品待ちのIさんのスウェードのチャッカブーツです。 この革は、もう何年も前に生産中止になってしまったスコッチスウェードというもので、ストックのものを少しずつ使っていました。 そして今はもうほぼ完売です。 このスコッチスウェードは、とても生地が厚くてしっかりしているのにキメが細かくてとってもキレイな革なのです。 この革の代わりになるモノをずっと探しているのですが、正直なかなか見つかりません。 なのですが、先月のレザーフェアで兵庫県のタンナーさんが出品しているスウェードを見つけ、興味がある旨のメモを残したところ、関東の販売は私がかつてお世話になっていた革屋さんとのことで、その革屋さんの営業さんから10年以上ぶりに連絡が来ました。 その革は、試作を進めている商品とのことでした。 年が明けて、先日また連絡が来まして、その革ができたので見に来ないかとのことでしたが、今は都内に行く予定がない旨を伝えたところ、わざわざ見本を送ってくれました。 それがこちら。 色はともかく、スウェードで生地はなかなかしっかりしています。 じつはこの革はギン付きスウェードと言いまして、通常のスウェードはスムースの革をスライスしてとった2層目を使うことが多いのに対し、この革は1層目の裏側を使うという、ある意味贅沢な革なのです。 なので、裏側はギン面です。 そんな革なのですが、やっぱりスコッチスウェードと比べると多少仕上げが粗くて、さすがにキレイな感じの靴にはちょっと使えません。 その差は多少なので、カントリー風の靴やブーツには十分なのですが、そうそうカントリー風の靴のニーズがたくさんあるとは思えないので、この革を買うべきか否か迷っています。 私の好みでは、キャメル色っぽい#タバコと#ダークブラウンは良い雰囲気なので買っておいても良いかなと思ってはいるものの、決定力に欠けるというところです。 うーん、困った。 私の持論は、どちらを買うか迷ったら両方、買うか買わないかで迷ったら買うと決めているのですが、今回は一歩が踏み出せません。 皆さんのご意見をお聞かせください。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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チャッカブーツ

今日ご紹介するお客様は、千葉県にお住いのFSさんです。 ご注文いただいていた靴が完成いたしましたので、納品&フィッティング確認のためにお越しいただきました。 FSさんは、今回が初めてのシューリパブリックになります。 早速履いていただきました。 今回完成したのは、茶色の型押しの革を使って製作したチャッカブーツです。 FSさんは、脱サラをされてご自分の好きなことをしたいとのことで、もうすぐ新しいことを始めるという方です。 その時にこのチャッカブーツを履きたいとおっしゃっていました。 一生をどのように過ごすかは、その方によって何が良いかは異なりますが、思い切ってやりたいことをやってみるのはとても幸せなことだと思います。 なかなかやりたくてもできない方もたくさんいらっしゃることでしょうから。 ただ、自分で舵を切って進むことができる分、その責任も自分にかかってくるので、楽しいことばかりじゃないかもしれませんが、それも人生ですよね。 今回完成したチャッカブーツの革は、ELBAMATTの型押しのもので、この雰囲気のチャッカブーツには非常によく合う素材だと思います。 オイルを多めに含んでいるため、ある程度馴染んできたら優しく足をホールドしてくれるはずです。 このチャッカブーツがイイ感じに成長するころにまた新しいお仕事の経過報告を聞かせてください。 楽しみにしております。 ありがとうございました。 靴の仕様 デザイン: チャッカブーツ レザー: 型押し ソール: ダイナイトソール ラスト: マイサイズラスト(SRD+お客様の足に合わせた調整) 製法: ハンドソーンウェルテッド 今回使用した革の在庫の有無: 完売 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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