今日、作業をしながらラジオを聞いていたら、ある自動車メーカーのCMが流れまして、そのクルマは本革を使っていないということを売りにしていました。
世の中の流れだということは十分にわかっているのですが、ただやみくもに本革を使わないことが正義という考えを持ってほしくないと私は思っています。
たしかに牛を飼育する際に、牛から出るゲップで環境に対する負荷がかかっていることは事実ですし、動物を殺すということも、今の倫理からすれば好ましくないのかもしれません。
ですが、今の世の中ではまだ多くの方々にとって動物の肉は必要とされています。
ここでひとつ知っておいていただきたいのは、もうすでにご存知の方も多いかもしれませんが、動物の革は人間が食材としていただいた肉の残りであり、言ってみれば廃物の有効利用です。
かつては例外もあったようですが、決して革が欲しいために動物を殺すということは殆どありません。
そんな状況なので、私は本革が絶対に良いとか、人工皮革だけでまかなえるようにするなどといった極端な考えではなく、必要に応じて上手に使い分けられるようにすることを提案したいと思っています。
今日、やはりラジオで昆虫食について話していた方がいまして、彼は将来的に食糧危機に備えて昆虫食で賄うようにするのではなく、たくさんある選択肢の一つとして昆虫食があることを望んでいると言っていました。
私も全く同じような考えです。
本革がどんどん貴重な素材となっていますので、何でもかんでも本革にするのではなく、例えば安価で履き潰すことを目的としているような靴であれば、これは本革ではなく人工皮革を使うのが理に適っていますし、
私たちが作っているような10年とか20年履くことを目的とした靴には、丈夫な本革を使うのが適しています。
じつは、先日お邪魔した長野市のIVY PRODUCTSさんで、信州新町で羊を飼っているという方々にお会いしたのですが、この方たちはこれまで羊の肉を出荷していたものの皮(皮はなめす前のもので、革はなめしたもの)は廃棄していたのだそうです。
でも、それじゃ羊たちが可哀想だし、コストはかかるけれど皮も使ってあげようということで、最近になって皮も製品として使う方向で進めているのだそうです。
将来的に革製品が悪とされて使われなくなってしまうと、肉だけ使って皮は捨てられてしまうことになり、せっかく命と引き換えに提供してくれる動物たちのすべてを使ってあげる事が出来なくなり、動物たちが可哀想です。
なので、肉を食べるのであれば革も使うということがムダなく合理的であるということを知っておいてください。
まぁ、生産量が減ってしまうとこれまた弊害が出てきてしまうのですが、その件はまた別の機会に。
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