ハンドソーンウェルテッドの靴のラスティングでは、一般的に細いクギを使います。
こんなヤツです。
日本では細六と言われているもので、永さが9ミリほどです。
私個人的にもうちょっと長いほうが使いやすいのですが、このサイズが最も入手しやすいのでこれを使っています。
ラスティングではアッパーをラストに被せ、ピンサーでギューッと引いてクギを打って仮どめをします。
クギを内側に倒しているのには、実はちゃんと理由がありまして、作業性が良いようにということのほかに、
クギを内側に倒すとアッパーの革がほんのわずかですがさらに引かれるわけで、そうすることでよりパリッと成型されることになるのです。
私は初めてこの作業を知った時に、そんなにクギを打ってインソールに穴が空いてしまって大丈夫なのかと思いましたが、
靴の世界ではクギ穴はさほど気にしないようです。
実際、インソールにはこんな感じでたくさんの穴が空いていますし、カカトの部分には多くの方がタグを通すための穴だと思っている穴がしっかりと空いています。
できることなら、穴は極力少ないほうが良いように思うのですが、靴として良いものを追求するのなら必然的にたくさんクギを打ってしっかりと作ったほうが良いわけで、
おそらくそのような考えから見えない部分、もしくは見えにくい部分にクギの穴が開いているのはまぁOKということになったのだと思っています。
でも、そんなことを知ってしまうと、このようなクギ穴が空いているもののほうがちゃんと職人さんが作ったものという感じがして、
かえってそちらの方がよく見えてきたりします。
そうなってくると、ディープな世界に片足を突っ込みかけていると言えるのかもしれません。
お気を付けください。