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牛革をもっと知ろう

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話


私たちシューリパブリックでは、牛の革を使って靴を製作しています。

お客様に革を見ていただくときに、カットされたモノではわからないので半裁(1頭の革を背筋で半分にしたもの、通常はこの大きさで買ってきます)のモノを見ていただくと、

「革ってこんなふうに売られているんだ~、知らなかった。」

とおっしゃる方がいらっしゃって、そりゃ仕事で革を使っていない限り、こういうものを見る機会ってないよなぁって思っています。

これが半裁の革で、向かって右側が背中、左側がお腹、奥の方が頭で手前がお尻となっていて、まぁ一言でいえば牛の身体の左半分ということになります。

それで、よく・・・、

「天然の素材なので、みんな違いますよ・・・。」

みたいな話を聞くことがあるかと思うのですが、革は確かに動物の皮をなめして作るので多少の個体差はありますが、そんなにひどく違うというわけではありません。

むしろ大きく違うのは、部位による物性の違いの方です。

たとえば、

先ほどの写真の手前になるこの辺りはお尻で、革の物性としては非常に繊維がきめ細かくそろっていてとっても良い部分となり、

向かって左のほうの、

後ろ足の脇の下に相当する部分や、

前足の脇の下に相当する部分は、繊維が粗く伸びやすいため、靴のパーツとしてはベロ以外には使いません。

さらに、これはお腹の周りなのですが、通常の革ではクタクタになってしまっているものが多く(この革は生地がしっかりしているもので、お腹周りも使い方次第では行けそうです)、

一般的にはやはりベロなどにしか使いません。

その他、顔に近い部分は牛が上を向いたり下を向いたりする際に、首の後ろにシワができまして、

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 0827-6.jpg です

革にもこんなシワが残ってしまうために、使い方が限られます。

そんなわけで、革の部位として良いところから行くと、

お尻回り → お尻に近い背中 → お尻から遠い背中 → 腹回りと首 → 足の部分と脇の下に相当する部分

という順番になります。


また、靴のアッパーを作る際にはいくつかのパーツがありまして、

ギブソンシューズで言えば、前側のパーツがヴァンプ、

後ろ側のパーツがクォーター(クォーターは内側と外側があります)、

そしてベロ(タン)がありまして、

序列としては、①ヴァンプ ②クォーター(外) ③クォーター(内) ④タン

となります。

何となく先が見えてきたかと思いますが、①ヴァンプや②③クォーターは、基本的にお尻回りやお尻に近い背中を使い、

お尻から遠い背中をクォーターに使うことはありますが、

それ以下の部分を目につく部分に使うことはありません。

これが靴づくりの基本であり、私たちも靴の学校には行ってすぐに学んだことです。

ですが、大量生産をしているような、それも品質の管理があまり褒められたようなものではない工場の場合、

それが守られていないことがまれにあるようです。

では、それが守られないで、あまり良くない部位をヴァンプなどに使ったらどうなるのかと言いますと、

ヴァンプなどでは特にシワの入り方が汚かったり、磨いても全然ツヤが出ないなんてことになります。

これがお尻の周りの生地の良い部分のシワで、

これが良くない部分のシワです。

写真だとイマイチわからないかもしれませんが、実物を見ればどなたでもすぐにわかるほど違います。

もし皆さんが今後靴を買いに行って、特にヴァンプあたりの革が左右であまりにも違うようなものが出てきた場合には、

お店の方に言ってほかのものに替えてもらったほうが良いと思います。 

革だから違うのは仕方がないという言い訳は、ある程度までは仕方ないものの、全然違うとなると製品としてどんなものかと思います。

私たちも、だいたい左右で同じ雰囲気になるように革を裁断しているのですが、細かいことを言えばどうにもならないこともあります。

人それぞれ感じ方の程度が違うので、私がこんなことを書いたら極端な反応をされる方がいらっしゃるかもしれませんが、

そういうことをお伝えしたいのではなく、革の部位によって物性が全く違うので、それを超えるような違いのあるものに関しては気を付けていただきたい、

そのために知識として知っておいてほしいということをお伝えしたいのです。

お知らせ

【 お知らせ 1 】

10月26日(土)と27日(日)に、神戸三宮のSUNさんにお伺いする予定です。

お客様の足を計測させていただき、足の特徴や適した靴のサイズをお伝えしたり、

どうして既製品が合わないのかということについてその原因を究明し、対策を一緒に考えたいと思います。

また、私たちシューリパブリックのハンドソーンウェルテッドのビスポークシューズのご注文も承ります。

サンプルの靴やサンプルの革も持参いたします。

ぜひ、この機会にご覧ください。

靴に関するご質問もウェルカムです。


【 お知らせ 2 】

12月の上旬に長野市のIVY PRODUCTSさんでイベントを開催する予定です。

前回に引き続き、今回もちょっとしたミーティングができたらいいなぁって思いながら、計画を立てていただいています。

詳細が決まりましたら、また改めてお知らせいたします。


【 お知らせ 3 】

シューリパブリックでは、日常仕様のオーダーメイド靴をお作りしています。

イベントなどの予定は、ホームページトップの下の方のスケジュールをご覧ください。

私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
ご検討中の方は、見学も大歓迎です。

旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら

メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

 




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