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すくい針

カテゴリー: @ Work:アットワーク

今日の作業はウェルティングです。 つり込んだ靴のインソールにウェルトを縫い付ける作業です。 その際には、こんなオウル(針) を使って下穴をあけ、そこに糸の先に針を付けたもの(ブリストル)を通してギューッと締めて縫っていきます。 そして、今日久しぶりにこの針が折れました。 この「ポキッ」という感覚は、何とも言えない悲しさがあります。 針が折れてしまうと、新しい針を研いで使える状態まで持って行かなくてはいけないため、作業が中断してしまいます。 私は、もし折れた時にもとりあえず区切りが良いところまで縫えるように、スペアの針を用意してありますが、 それでも余計な時間を費やさなくてはいけないので嬉しいことではありません。 ともあれ、新しい針を研いでちゃんと使えるように加工しました。 このすくい針ですが、何年か前にちょっとしたパニックがありました。 こういう工具や材料系のモノはだいたいが浅草の材料屋さんに行けば入手することができるはずなのですが、 すくい針を作っていた職人さんが体調不良だか何だかで作れなくなったという情報が入り、みんな大慌てですくい針を探し回っていました。 ある情報では、新しい職人さんが作り始めたとのことで、まだ始めたばかりだから焼きがうまくいかないけれど・・・ みたいな話が伝わってきて、その新人の職人さんが当時80歳ということで、ちょっと驚いた記憶があります。 私の場合、この日本製のすくい針がイマイチ使い勝手が良くないというか、私には合わなかったので、イギリスから仕入れて使うことにしました。 その時仕入れたものの一部です。 この針は、日本製の針に比べて針先のカーブがきついため、縫う際に奥深く刺して近くに出すことができるため、 この縫う幅を狭くすることができるので、強度を増すことができるという非常に大きなメリットがあります。 縫う幅が広くなれば、それだけ糸をたくさん使いますから、糸にかかる負担が大きくなってしまうわけで、 深く刺して狭く縫えることは、結果的に強度の高い靴になるのです。 また、併せてこの針のメリットとして、針自体が工業製品であるため個体差が極めて少なく、さらに針自体の強度が非常に高いということが挙げられます。 以前に使っていた日本製の針は、私の使い方が良くなかったのかもしれませんが、ちょっと無理をするとすぐに折れてしまっていたのに、 この針はもう使い始めて6年経ちますが、ほとんど折れていません。 価格的に3倍くらいするのですが、強度的にはそれ以上であるのは間違いないので、メリットは十分にあります。 年1本計算で若干のゆとりを持って一生分の3ダース買いましたが、私が現役で靴を作っているうちには、 3ダースは使いきれなさそうです(さらにスペアでもう3ダース買ってあります)。 工具って、自分が使いやすいように加工して、作業の前と作業のあとにちゃんとメンテナンスしてあげると、だんだん自分の体の一部になっていきます。 今日使い始めた針も、もう少しメンテナンスをしてあげれば、もっと使いやすくなるのでしょう。 ★★★お知らせ★★★ 【 お知らせ 1 】 10月26日(土)と27日(日)に、神戸三宮のSUNさんにお伺いする予定です。 お客様の足を計測させていただき、足の特徴や適した靴のサイズをお伝えしたり、 どうして既製品が合わないのかということについてその原因を究明し、対策を一緒に考えたいと思います。 また、私たちシューリパブリックのハンドソーンウェルテッドのビスポークシューズのご注文も承ります。 サンプルの靴やサンプルの革も持参いたします。 ぜひ、この機会にご覧ください。 靴に関するご質問もウェルカムです。 【 お知らせ 2 】 シューリパブリックでは、日常仕様のオーダーメイド靴をお作りしています。 イベントなどの予定は、ホームページトップの下の方のスケジュールをご覧ください。 私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。  

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