以前に、あるお客様が素晴らしい名言をおっしゃっていまして、
「私は、写真があまり上手じゃないから、良いカメラを使うんですよ。」
なのだそうです。
もっともなご意見です。
カメラでもPCでも自転車でもなんでも、そもそもすごい技術を持っているなら平均的なモノでも十分な結果を出すことができるわけで、
私みたいにあまり写真が上手じゃないとか、パソコンの作業が得意じゃないとか、そういう人は機械や道具に補ってもらう必要があるので、
平均よりも良いものを使う必要があるということなのです。
それ以来、私はその教えを信じてカメラやレンズやパソコンなどにそこそこの費用を費やしています。
靴づくりにおいては、さすがに苦手とか上手じゃないとは言いませんが、やはり合理的にスピード感を以って進めたい作業もあります。
ラスティングやウェルティングは、作り手の手感を最大限に生かしてじっくりと作業を進めることで良いものができるのに対し、
仕上げ以外の削る作業は、とにかくテキパキと終わらせたい作業です。
その中でも、特に早く終わらせたいのがこの作業。
靴のソールにヒールを貼り付ける作業です。
この作業は、靴のドール側の接着面が平らではなくアールがついているため、それに合わせてヒールのほうを削ってあげる必要があります。
これが、将来的に機械が開発されてもやはり微妙なクセやお客様独自の微調整までを考えると、決して一辺倒なセッティングで終わらないので、
やはり手作業でやる部分が多くなってしまうのだろうと思っています。
本当に細かいことなのですが、靴は履き初めから少しずつ反っていくので、初めにヒールがピタリと接地するような作りでは、後々困ってしまうわけで、
さらには、お客様の足の状態如何で必要に応じてヒールの高さを微妙に変えているとか、その靴のセッティングでどれくらい沈ませるようにしているかなどで、
とにかく設定がまちまちになります。
なので、フルオートの機械ができても、設定がそこそこ面倒になりそうな気がします。
私の場合は、エンドレスのグラインダーでガーっと削っていますが、積み上げに使っているレザーボードがこれまた削りにくいため、かなり時間がかかります。
そして、接着面を靴のソールとヒールとで同じになるように削るのですが、まぁ見えない部分なのでどこが当たっているとか、どこがどうだとかということは、いちいち現物合わせをしながら進めています。
さすがに20年近くもやっていれば、おおよそのところまではできますが、正確に削っていくのですから慎重な作業になります。
今日は、もう少し合理的に進めたいと思いまして、こんな道具を出してきました。
ご存知だと思いますが、こんなふうに使います。
これで接着面の形状を確認して、当たっているところを削ればよいというわけです。
なかなかアナログな道具ですが、ないよりはいいです。
線ではなく面で分かれば一目瞭然ですが、線でもないよりはまだましです。
そうやって、ヒールの接着面が削れました。
ヒールの接着面が削れて、ヒールを接着した後には、ヒールのはみ出している部分をまた削ります。
★★★お知らせ★★★
【お知らせ 1 】
2月から、お客様が履きこんで格好良く成長したシューリパブリックの靴をインスタにアップしていただけるようにハッシュタグを作ってみました。
履きこんだ靴を見てみたいというご要望が多く、ぜひシューリパブリックの靴・ブーツを履いていらっしゃるお客様にご協力をお願いいたします。
詳細は、1月31日のブログをご覧ください。
インスタをやっていないというお客様におかれましては、私たちシューリパブリックへメールに添付して写真をお送りいただければ、私が代わりにアップさせていただきます。
ハッシュタグは #shoerepublicjpn です。
ぜひ皆さまの元に嫁いだシューリパブリックを見せてください。
【お知らせ 2 】
シューリパブリックでは、日常仕様のオーダーメイド靴をお作りしています。
イベントなどの予定は、ホームページトップの下の方のスケジュールをご覧ください。
私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
ご検討中の方は、見学も大歓迎です。
旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。
メールアドレスは info@shoe-republic.com です。