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ハンドソーンウェルテッドなる製法

カテゴリー: Message:伝えたいこと


靴の製法はいくつかあり、じつはこの製法の違いは靴の履き心地に大きく影響を及ぼします。

もし、靴がただ履くだけで歩かないのであれば、製法による影響はほとんどなかったかもしれませんが、履いて歩くとなるとこの製法の違いは思っているよりもはるかに大きなものとなります。

靴の製法の中で最も簡単なもののひとつが上物と底を接着するセメンテッドで、逆に私たちシューリパブリックで作る靴の製法であるハンドソーンウェルテッドはもっとも手のかかる製法のひとつと言えます。

ハンドソーンウェルテッド

こちらは、ハンドソーンウェルテッドの靴のサンプルです。

正直なところ、靴好きの方ならおおよそのことはわかるかもしれませんが、靴にそれほど興味のない方だとその靴がハンドソーンなのかグッドイヤーなのかセメンテッドなのかを見分けるのはちょっと難しいかもしれません。

ともあれ、この靴がハンドソーンウェルテッドなのですが、では具体的に何がどう違うのかというところで、

ハンドソーンウェルテッド

具体的に言えば、製法とはこの上物とソールを取り付ける方法の違いなのです。

先ほども書きました通り、もっとも簡単な製法ともいえるセメンテッドは、上物とソールを接着しているのに対し、何とかウェルテッドと名の付く製法は、

ハンドソーンウェルテッド

こんな感じで一度インソールとウェルトと呼ばれるパーツを縫い付け、さらに今度はウェルトとソールを縫い付けるという作り方をしています。

余計なパーツを介して取り付けるよりも、直接上物とソールを取り付けてしまえばよいのにと思うかもしれませんが、じつは基幹となるインソールにウェルトを直接縫い付けること、接着ではなく縫い付けることが安心感のある履き心地につながっているのです。

さらに、ハンドソーンウェルテッドの場合、構造上の都合で非常に厚いインソールを使う必要があり、さらに必要にして十分なコルクのボトムフィラーを入れることができるのですが、これらも快適な履き心地の要因のひとつになります。

また、手作業で行うラスティングと手作業で行うウェルティングがハンドソーンウェルテッドの特徴ですが、この手作業で行うということも素材を生かした優しい履き心地に貢献しています。

モノづくりにおいて大切な、材料と設計、作り方という計画段階のクオリティと、その計画通りに作り上げるクオリティの高さが高い次元でバランスしているのがハンドソーンウェルテッドであり伝統的なイギリス靴だと思います。

ただ、なかなか靴の履き心地って言葉で伝えたところで伝わらないのは十分にわかっています。

そんな靴を買うくらいなら、もっと他に買いたいものがあるという方だっていらっしゃるでしょう。

それは人それぞれ優先順位があるわけですから仕方ないことです。

それでも、やっぱり靴屋としては一生に一度は足に合ったハンドソーンウェルテッドの靴を履いてみていただきたいのです。

初めて訪れた国で感動するように、初めて食べた料理で感動するように、初めて履いたオーダーメイド靴で感動していただけるはずです。

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★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。

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