多くの方がご存じかと思いますが、今スコットランドのグラスゴーでCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が開催されています。
BBC NEWS JAPANによれば、このCOP26とは・・・、
年々上昇する地球の温度と、それに伴い激しさを増す自然災害、北極などの氷が解けることによる海面の上昇、熱波による森林破壊など、数々の現象によって地球と地球上に住む様々な生き物の生存が危うくなっている状態を前に、国際社会がどのような対策をとるのか、話し合うための会議
とのことです。
日頃から、私たちが生活していくうえで異常気象やら平均気温の上昇やら多発する自然災害やら、おそらく産業革命以降私たちの生活が著しく快適になってきたことに起因する環境破壊のニュースが届いています。
専門家の中には、地球はこれから氷河期に向かっていくから温暖化の心配は不要と唱える方もいるようですが、全くの素人である私には何が正しい情報なのかを判断することはできません。
正直なところ、世の中の流れが地球の温暖化を防ごうと言っているからそれに同調しているだけなのですが、わからないならわからないなりにわかっている範囲で判断すればよいのではと思うところです。
たとえば、私が仕事としているオーダーメイド靴に関しては、環境問題と照らし合わせて考えた時に、大量生産の既製品と比べて良い点と良くない点がそれぞれあります。
良い点は、オーダーメイド靴は注文をいただいてから製作するので、既製品と違って売れ残った商品を大量に廃棄するということがないため、ごみの軽減に貢献しています。
また、お客様が気に入ったものを使っていただくという面からも永く使っていただくことを想定して製作していますので、使い終わって廃棄されるごみの量も少なくなります。
それから、これは作り手の環境に影響されていることですが、大きな工場で大量のエネルギーを使って機械で作られるわけではなく、小さな工房で職人の手で作られるので、製作に必要なエネルギーの量も1足当たりに換算すればおそらく少なくなっているのではないかと思います。
良くない点は、ずばり作業効率です。
ラインを組んで製作する大量生産のものに比べれば、少量生産は作業効率ではかないません。
オーダーメイドの少量生産か既製品の大量生産化ということで、環境問題に直接関係することはこんな感じだと思いますが、革靴というもう少し広い範囲で考えるとまた違った環境問題が見えてくるのです。
ただ、これは勘違いをしないで正しく理解してほしい事なのですが、革靴で使っている革に関して、おそらく多くの方がご存じの通り出所は牛です。
革靴では、主に牛の革を使って製作しています。
動物の革を使うことで、生態系の問題が挙げられることがあるかと思いますが、基本的に革となるのは人が食用として消費したものの残りであり、わざわざ革を得るために動物を殺すのことはほとんどありません(ほとんどというのはゼロではないという意味です)。
今はどうか詳しいことはわかりませんが、かつてはハラコの革を得るために牛の胎児を殺していたと聞きます。
ですが、そのような特殊なケースを除けば、革はほぼ廃物利用と言えるものであり、原材料としては生態系云々ということはないはずなのですが、皮をなめす段階では残念ながら環境問題に抵触することもあるようです。
それも、昔に比べればかなり改善されていていますし、なめしの技術も大きく発展して環境に負荷のかからないなめし方も出てきていると聞いています。
実際のところ、もし革を使えなくなってしまったとしたら、革に代わる素材が今のところ見当たらなくて、確かに代替レザーなどの素材も出てきているのですが、本物の革に匹敵するスペックはまだ今のところ得られていないように思っています。
これが今後どのような流れになっていくのかまだわかりませんが、私が思うところではいきなり革を使わないことにしてしまうのではなく、革を素材として環境問題とのバランスを考えたうえで、ムダなく上手に使っていくということが良いのではないでしょうか。
それは、半年や1年履いて履きつぶしてしまう靴を買うのではなく、少なくとも革を使っている靴は10年くらい履けるものを選ぶ事であり、ユーザーの立場から10年履けるクオリティを求めることだと思います。
数千円や1万円程度で売られている靴は、確かにアッパーに革を使っているものもありますが、他の部分の材料はどう見ても10年の使用に耐えられるものではなく、アッパーの革のメリットを生かせていないように思います。
全ての方がオーダーメイドの靴を買う必要は全くありませんが、環境問題に関心を持ってくださっているのであれば、少なくとも革靴を買うのであれば永く履けるもの(10年が目安)を選んでいただきたいと思います。
10年を超えた私のモンキーブーツです。
先日の出張の時にも活躍してくれました。
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