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ラスト

先日、お客様と話をしていて、お客様が、 「ラストって、こんなに薄いんですね。」 とおっしゃっていました。 こちらがいつものギブソンブーツです。 靴の厚さがこれくらいなので、ラストはまぁまぁこれくらいだろうと想像してみるのですが、   こちらがこのギブソンブーツを作った時のラスト。 この角度ではちょっとわかりにくいですね。 では比べてみます。 靴の厚さがこれくらいなのに対して、 ラストはこんなに薄いのです。 もし、お手持ちのシューツリーがあったらちょっと比べてみてください。 実際には、靴の内側はこれくらいの厚さなので、これに厚みのあるシューツリーを入れてしまうと靴を押し広げてしまいます。 靴のジョイント部分においては、大きなシワが入らないようにするためや、フィッティングの改善のために、なるべく上側に隙間を作らないようにしていますが、それがシューツリーで押し広げられてしまってはフィッティングが台無しです。 そんなわけで、シューツリーをお選びになる時には、厚さにもご注意ください。 ★★★お知らせ★★★ ★旅チャッカ2023モデルのご注文を受け付けております。詳しくは、こちらをご覧ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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端の処理

エッヂトリートメントとは、革の端の処理のことを言います。 ギザギザにカットするヤツとか、場合によっては親子穴のことも含めますが、今日は先日ご紹介したスウェード(商品名はLondonといいます)におけるトップライン(履き口)の処理の話です。 通常、私たちシューリパブリックでは、靴の履き口はビーディング(折り込み)という処理をしています。 こんな感じ。 これは、革の端を漉き機で薄く漉いてから、接着剤をつけて折り込んで叩いています。 キレイに見えるかもしれませんが、折り込む作業は手作業でやっています。 通常の仕様ではこんな感じにしているのですが、先日ご紹介したスウェードは裏側にレジン加工が施してあり・・・、 このレジン加工が革をパリッとさせていることもあって、この部分を漉いたりしたくないのです。 似たようなケースでチャールズFステッドのスーパーバックもこんな感じでした。 そんなわけで、Londonを使って製作する靴のトップラインに関しては、スーパーバックと同様に切りっぱなしで製作させていただきます。 革の断面はこんな感じで、切りっぱなしでも全く違和感はありませんし、この方が強度があって仕上がりが良いと思います。 ちなみに、Londonの人気色であるDark Blueがこちら。 実物はもっとキレイですよ。 ぜひ実物を見にいらしてください。 ★★★お知らせ★★★ ★旅チャッカ2023モデルのご注文を受け付けております。詳しくは、こちらをご覧ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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外反母趾

先日、あるお客様からオールソール交換のために靴をお預かりしたのですが、その際に外反母趾の部分が当たるので少し調整をしてほしと依頼されまして、これがなかなか簡単にできる調整なので、ぜひ同じようなことでお困りの方に知っていただこうと思い、今日そのことに関して書いてみたいと思います。 そのまえに、今日はいつもとは違うカメラで撮っていて、ちょっと写真の雰囲気が違います。 まず、左足の親指側の骨が当たると仮定します。 当たっているのは、私が指さしているところということで、ご覧ください。 使うのは、このようなレザーストレッチャー。 これは業務用のものなのでちょっと大きいですが、もっと小さいものが普通に販売されています。 レザーストレッチャーは、靴がきついとか当たって痛いという時に、さっと吹きかけてあげると革が柔らかくなり、その後に靴を履くと当たっているところが逃げて痛くなくなるというものです。 ただ、注意事項として、吹きかけすぎると革がクタクタになってしまうこともあるので、様子を見ながら少しずつ使うということと、表側に吹きかけると革によってはシミになってしまうので、ライニングに吹きかけて使ってください。 こんなふうに、スプレーをライニングに吹きかけます。 レザーストレッチャーがどうしても手に入らないという方は、水でも近い効果が得られます。 そして、次に使うのがこちら。 これは、レザークラフトでコバを磨くためのものですが、必要なのはこれの先の丸い部分。 何か先が丸い木の棒があれば代用できます。 先が丸い木の棒を、当たって痛い部分に押し当てて軽くグリグリとやると、革がすぐにのびます。 むしろ、ほんのちょっとだけで十分です。 この時に気を付けてほしいのは、極端な例ですが外反母趾が仮に10㎜出ているとしたら、この時に木の棒でグリグリやって革を出すのはほんの3㎜程度で十分です。 あくまでもきっかけを作ってあげるようなイメージでやってください。 そのまま10㎜出してしまうと、靴がさらに広がってしまったりして、緩くなりすぎて靴の中で足が動いて違うところに当たって痛くなってしまう心配が出てきます。 おそらく1度この調整をしても、少し戻ってしまうこともあるかと思いますが、様子を見ながら何度かやってみると、良い形に変わってくると思います。 あくまでも、やりすぎないことがポイントです。 こういう作業は、靴の修理屋さんが得意としていますので、プロに頼むのもひとつの手です。 ★★★お知らせ★★★ ★2023年1月ご注文分より、靴や一部のオプション、そして一部修理代金などの見直しを予定しております。靴のご注文をご検討中の方は、可能であればなるべく年内にご注文ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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足の計測の裏話

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

計測

皆さんは、これから靴をオーダーするために靴の工房に行くという時には、どんな靴を履いて行きますか? 今持っている中でもっとも高価な靴? 今持っている中でもっとも履きやすい靴? 特に気にしない? まぁ、考え方はいろいろあると思いますが、私がお客様をお迎えしていて感じるのは、初めていらっしゃる方は良い靴、もしくは高い靴を履いていらっしゃることが多いということ。 「靴が好きなんですよ。」 ということをアピールするためにも、さらには靴には高い関心がありますということをアピールするためにも、一番良い靴を履いてきていただくのは悪いことではありません。 ですが、世の中にはたまたまなのか、もしくはそれを知っていたのかわかりませんが、足の計測の究極の準備をしているかの如くこんな履物を履いていらっしゃる方が存在します。 それは、サンダルです。 もしかしたら、全くやる気がないと思われてしまうサンダルですが、じつは足の計測をする側からすれば非常に好ましい履物なのです。 というのも、もしお越しいただくときにキツイ靴を履いていらっしゃったとしたら、足が締め付けられて数値が小さくなってしまいます。 それは、靴を脱いだからといって瞬時に戻るわけではなく、本来の足に戻るまで多少の時間を要します。 対するサンダルは、足を締めつけることがありませんので、本来の足の状態をすぐに確認することができます。 なので、靴のオーダーの際にサンダルを履いていらっしゃる方がいたら、それはかなり知識をお持ちの方、もしくは全く靴に興味をお持ちでない方と判断します。 実際にこれまで数名の方がサンダルでいらっしゃいました。 さすがです。 もし、皆さんが足の計測に臨まれることがありましたら、サンダルが好ましいということを知っておいてください。 ★★★お知らせ★★★ ★只今受付中の「幸運のラストワンプラン」は、こちらをご確認ください。 ★最後のデュプイの革を使った企画「頑張った自分にご褒美企画2022」の受け付けをしています。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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積み上げ

靴のカカトは、接地面のトップピースとその上にある積み上げとで構成されています。 このような状態です。 じつは、私たちシューリパブリックではこの積み上げに大変こだわりを持っています。 一般的に、革靴の積み上げはレザーであることが多いのですが、私たちの場合はレザーボードを使っています。 それも、積み上げ用のものではなく、おしぶち用の海外製のものです。 まず、レザーボードとは何かということですが、レザーボードは革を細かく粉砕したチップを元に接着剤やその他の材料を混ぜて固めたもので、お肉で言うならレザーがステーキだとすればレザーボードがハンバーグ?なのかな? 余計にわかりにくくなったような気がします。 ともあれ、革のチップをベースにしたもので、時々「木」と間違われるのですが木ではありません。 そのレザーボードですが、なぜレザーの積み上げを使わないでレザーボードを使うのかと言いますと、これは実際に歩いていただくとよくわかるのですが、レザーボードの積み上げの方が適度な弾力(と言っても手で触ったくらいでは単に硬い板でしかありません)がありまして、ダイナイトのゴムの硬さと相性が良いのです。 対するレザーの積み上げは、私の印象ではちょっと硬い感じがします。 自転車のフレームに例えると、レザーがアルミフレームで、レザーボードがクロモリフレームと言ったところです。 すみません、また余計にわかりにくくなってしまいました。 重さ的にはレザーボードの方がちょっと重いようです。 でも、物質としてレザーボードの方が粘る感じがしますし、衝撃の伝わり方はレザーボードの方が遅くて途中で衝撃を吸収している感じがします。 あくまでも感じです。 そんな理由がありまして、私たちの場合はレザーボードを好んで使っているのです。 そのレザーボードでも、積み上げ用のものとおしぶち用のものがありまして、積み上げ用のものは加工がしやすい反面重量が軽く、例えるならサクサクした感じの素材なのに対し、おしぶち用のレザーボードは加工が大変で削っても削ってもなかなか削れない大変厄介な素材ですが、ねっとりとした感じの素材です。 通常は、こんな感じで確認しないとわかりにくいパーツなのですが、大変優れた素材であることは間違いありません。 ちなみに、レザーボードの積み上げというと、昔はコストダウンというイメージがあったようですが、このおしぶち用のレザーボードはレザーのおしぶちに比べて全然コストダウンになりません。 材料費はほとんど変わりませんし、加工が大変なので、工賃的にはマイナスなのですが、靴として長時間履いていただくことを考えると非常に好ましい素材です。 お客様のIさんは、朝はスニーカーを履いて職場へ行き、職場についたら私たちシューリパブリックの靴に履き替えるそうなのですが、シューリパブリックの靴の方が適度な硬さで安心感があって歩きやすいとおっしゃっていました。 この硬さに慣れてしまうと、足にも力がついて良い状態になりますし、だんだんこの硬さが心地よくなってくるようです。 ★★★お知らせ★★★ ★只今受付中の「幸運のラストワンプラン」は、こちらをご確認ください。 ★最後のデュプイの革を使った企画「頑張った自分にご褒美企画2022」の受け付けをしています。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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クリームとオイル

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デリケートクリーム

今日お客様と話していて、なるほどと感じたことがありました。 それが、靴クリームのこと。 通常、私たちシューリパブリックでお勧めしているのはこのようなガラス瓶に入った乳化性の靴クリームですが、 どうやら革に塗るということでこちらとごっちゃにされているケースがあるようなのです。 それが、 ミンクオイルです。 乳化性のクリームとミンクオイルは全く異なるもので、 乳化性のクリームの目的は革に栄養とツヤを与えることなのに対し、ミンクオイルの目的は油分を与えてしなやかにしたり防水の役割を果たすこととなります。 ということは、ミンクオイルを塗るのは主に初めからオイルを含んでいるようなグリッシーレザーなどに限られるわけで、一般的な革靴には通常は塗りません。 もし塗るとするなら、一時的に防水の目的くらいですが、普段からミンクオイルを塗っていると革質によっては革が柔らかくクタクタになってしまったり、もしくはオイルが乾燥したときにパキパキになってしまう可能性もあるため、あまり好ましいとは言えないのです。 さらに、もうひとつこのようなものがあります。 デリケートクリームです。 デリケートクリームは、主に革の保湿を目的としたもので、成分のほとんどが水分と言われています。 もし、防水目的ではなく、一般的な革靴に、もしくはお財布などに栄養補給を目的として何かを塗るのであれば、このデリケートクリームが良いでしょう。 その他にもラナパーとかコロニルとかサフィールとかいろいろありますが、革のメンテナンスを目的とする用品にはそれぞれの特徴がありますので、その目的に合ったものを使うことが大切です。 ちなみに、私はあまりいろいろなものを使ったことがないのですが、基本的にはこのデリケートクリームだけで用が済んでいます。 ちょっと大きめの業務用がひとつあると、だいたいのものに使えるので非常に便利です。 ★★★お知らせ★★★ ★最後のデュプイの革を使った企画「頑張った自分にご褒美企画2022」の受け付けをしています。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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革

普段、革のご紹介の際に、 「ちょっと厚い」 とか、 「厚さは特に厚くないけれどパリッとしている」 みたいなことをお伝えしていますが、それってどれくらいの話なの?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますので、今日は革の厚さのことについて書いてみたいと思います。 たとえば、皆さんもご存じの革で、ビジネス用の靴を作る際の代表ともいえるデュプイのサドルカーフですが、この革はどれくらいの厚みがあるかと言いますと・・・、 1.4㎜でした。 ハンドソーンウェルテッドの靴の中でも、男性用のビジネスシューズを作る際には、これくらいの厚さの革がちょうどよいと言えます。 これよりも薄くなると、ちょっと頼りないと感じます。 いわゆるカーフと呼ばれる仔牛の革は厚さが1ミリに満たないことが多く、そのままではさすがに強度が不足する為、革の裏側に薄いウレタンや布を貼るという加工をしている会社もあります。 これはどっちを取るかの話で、革の自然な感じを生かしたいのであれば何も貼らないでペラペラのままにすればよいのですが、よほど目の詰まったしっかりした革でない限りちょっと頼りない靴になってしまいそうな感じがしないでもないです。 そんなこともあって、私たちシューリパブリックでは、だいたい1.4ミリくらいの革を使うことが多いです。 つぎにこちら。 仕上がりがとってもキレイな革で、こちらもビジネスシューズに適しているRusso di Casandrinoの King MPです。 この厚さは・・・、 こちらも1.4㎜でした。 先ほどのサドルカーフにしても、このKing MPにしても、生地がとってもしっかりしているので触った感じではもう少し厚く感じます。 次はこちら。 カフーという革の型押しバージョン。 この革は、元はスムースの革なのですが、それに型押し加工を施したものです。 厚さは1.5㎜強でした。 これは経験値なのですが、型押しの革の場合、元の革に対して型押しの加工をすることで0.2㎜ほどつぶれて薄くなります。 なので、元は1.7~1.8ミリくらいあったのでしょう。 元の革が少々オイルを含んでいたモノなのでしなやかな革でしたが、型押し加工をしてもそのしなやかさは残っていて、ちょっと厚めの革ですが硬いという印象がありません。 こちらはTempesti社のELBAMATTの型押しです。 こちらの革は厚さに関して細かく希望を聞いてくれるので私の希望の厚さに仕上げていただいています。 厚さが1.8㎜です。 このELBAMATTもオイルを含んでいる革なので、先ほどのカフー同様に厚さがあってもしなやかです。 次はこちら。 少し前にご紹介したイタリアのタンナー(会社名を忘れました)の製品で、Arizonaというシュリンクの革です。 シュリンクは、ぱっと見では型押しの革に似ているかもしれませんがこれは完全に似て非なるもので、加工でシボを作りながら膨らませています。 なので、元の革よりも少し厚くなっています。 厚さが2ミリちょっとありますね。 もうだいたいの雰囲気がお分かりかと思いますが、元がスムースの革の場合その革に型押し加工をすれば少し薄くなって、でも革そのものの硬さは少し硬くなります。 なので、型押しの革は実際の厚さが少々薄くても元々はもう少し厚かったということで、もう少し厚い革と同じくらいの感覚で扱うことができます。 逆に、シュリンクの革の場合は加工で膨らませているので、もう少し薄い革と同じくらいの感覚で扱うことになります。 こちらは、もう残りがわずかになってしまったスコッチスウェード。 一般的にスウェードの場合は、ギン面がある革と比べると比較的当たりがソフトになります。 スウェードでも仕上げによって硬さが全く異なるのですが、このスコッチスウェードはスウェードの中では比較的パリッとしている方で、さらに厚さが2㎜ほどあるので出来上がる靴は比較的パリッと仕上がります。 ですが、このスコッチスウェードは優れた素材と言われるだけあって、スウェード特有の当たりの柔らかさで靴はそこそこ硬いのに履くと柔らかいというを不思議な感覚を得ることができるのです。 スウェードの場合、薄いものは結構たくさんありますが靴として十分な強度を出すにはこれくらいの厚さが欲しいところです。 最後はこちら。 Tempsti社のMAINEという革で、この革はショルダーの部分を使っているのと、タンニン鞣しということもあって非常に硬いという特徴があります。 こんなに硬いのでさぞかし厚い革なんだろうと思って測ってみたところ、 なんと予想に反して厚さは1.5㎜ほどでした。 私は2ミリくらいあるんじゃないかと思っていたくらい硬い革なのです。 もちろんこの革でも普通に靴を作ります。 硬い革なので最初のうちはちょっと硬く感じますが、タンニン鞣し特有のシワが入れば柔らかくなっていくという特性で、すぐに快適に履けるようになります。 結局のところ、靴を作るには私の場合だいたい1.5㎜厚程度のものが作りやすいし履きやすいという印象を持っています。 加工の関係でそれよりも少し薄い型押しや、少し厚いシュリンクもありますが、だいたい同じくらいの感覚で履いていただけると思います。 あとは、だいたい同じくらいの厚さでも革によって多少の硬さの違いもありますし、天然由来のものなので厳密に言えば個体差も部位の差もあります。 そんなことも踏まえて、靴に使う革はこんなくらいの厚さなんだということを知っていただければよいかなって思います。 ★★★お知らせ★★★ ★只今受付をしている幸運のラストワンプランは、こちらです。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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エラスティック

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サイドゴアブーツ

私たちシューリパブリックでは、主に靴ヒモで締めるいわゆるレースアップタイプの靴を製作していますが、2デザインだけ靴ヒモのないモデルも作ります。 そのひとつがサイドゴアブーツ。 こんなデザインのブーツです。 なぜこのサイドゴアブーツも作るのかと言いますと、このサイドゴアブーツはレースアップの靴とほとんど同じラストで作れるからです。 言い方を変えると、ローファーなどのスリッポンの靴はレースアップとは違うラストになるので作りません。 フィッティングの理論もまた異なるという理由もあるんですけど。 ともあれ、そんなわけでサイドゴアブーツは普通にご注文を受け付けていますし、最近は結構な数のご注文をいただいています。 ただ、お客様の中には永く履くことを目的とした靴なのに、 「ゴムがついているのってどうなの?」 と心配される方もいらっしゃいます。 履き潰すような靴なら、ゴムがダメになるころに靴もダメになるけれど、こういう靴の場合は真っ先にゴムが弱ってきてしまうのではないかと心配されるようです。 じつは、このゴム、エラスティックもしくは石目ゴムというのですが、なかなか丈夫でちょっとやそっとではへたりません。 こんなゴムです。 経験上サイドゴアブーツの場合、そこそこ履く頻度が高い方で5年くらいは問題なくこのエラスティックが持ちますし、もしエラスティックがへたって来たらエラスティックだけ交換することができるのです。 ただ、私たちの工房では専用のミシンがありませんので、修理屋さんに持って行っていただくことになります。 修理屋さんではこのような修理はお手のものなので、安心して修理の依頼ができます。 そんなわけで、ゴムのへたりを心配されている方、ちゃんと修理ができますのでご安心ください。 ★★★お知らせ★★★ ★只今、The フォーマルプランを受け付け中です。詳細は、9月24日のブログをご覧ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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つま先の芯

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

トーパフ

昨日で夏季休暇が終わり、今日から通常営業です。 さて、今日は靴のつま先に入っている芯の話です。 スニーカーなどは別として、ほとんどの革靴のつま先には芯が入っています。 これには目的が2つありまして、ひとつは靴のつま先の形を保つため、そしてもうひとつは足の先を守るためと言われています。 通常、こうして靴を見てもつま先の芯の存在はあまりわからないこともありますが、ちょっと触ってみればすぐにわかるはず。 靴のデザインにもよりますが、だいたいこんな形状の芯が入っています。 ただ、材質は靴の価格帯や生産国によって異なり、写真のような革の芯を使っているのはいわゆる高級靴の中でもかなり時間と手間をかけているもののみです。 私たちシューリパブリックでは、このような革の芯を水溶性の接着剤で固めて使いますが、手作業でラスティングをする場合には瞬時に固まってしまうような芯ではなく時間をかけて固まる水溶性の接着剤の方が作業に合っています。 この芯の厚さはだいたい2ミリくらいですが、ラスティングの際にかなりたくさん叩かれるので、靴になっている時にはもう少し薄くなっているはずです。 いずれにしても、つま先の芯はお伝えした通り形が変わらないようにしっかりと固められていて、言い方を変えれば形が変わってしまったら元に戻すことがかなり難しいのです。 ということは、靴のつま先は潰さないように気を付けていただくことや、もし既製品の靴を買う時につま先がきつかったらそれは調整ができないことを知っておいていただくこと、この辺りがつま先の芯に関する注意事項となるわけです。 靴の世界では、つま先が靴の顔とも言われていて、最もきれいにしてあげたい部分です。 なるべく傷をつけないように気を付けていただくだけではなく、芯を変形させないということにも気を付けていただくと、靴をキレイに保つ事が出来ます。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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ギリーシューズ

ここ最近は、毎日暑い日が続いていて、したがって毎日エアコンが効いている部屋の中にいるのですが、正直なところエアコンが効いている部屋は快適かもしれませんが身体がだるくなってきます。 日頃からもっと身体を動かして、良い状態に保たなくてはいけないと思うばかりです。 それに関連した話ですが、先日お客様のIさんがお越しいただいた時に、まさに私が考えていることをそのままおっしゃっていたので、この機会にお伝えしたいと思います。 Iさんは普段からたくさん歩く方なのですが、新型コロナウィルスのこともあって外出する機会が激減した時期もあったそうです。 一度出かけるとたくさん歩くそうですが、頻度が下がってしまうとトータルで歩く距離は自ずと減ってしまいます。 そして、運動量も減ってしまうわけなのですが、 私たちシューリパブリックの靴は、たくさん歩いたり身体を動かしたりしていて足が健康な状態ならとっても快適に歩けるのに、運動量が減って身体が多少弱ってくるとなかなかハードな靴だと感じられるはずです。 それに対して、これは私とIさんの共通した認識だったのですが、ソールの柔らかいスニーカーは身体が多少弱っている時には快適に歩けるけれど、足が健康な状態だと力が抜けてしまうというか安定しないというか、言ってみればちょっと歩きにくいと感じてしまうのです。 スニーカーをすべてひとくくりにしてしまうのは正しくないかもしれませんが、感覚としてそんな印象です。 これは以前からお伝えしていることですが、革靴はソールが硬いために外的な衝撃を足が機能して吸収する必要があり、普段から革靴を履いていることで足が鍛えられてしっかりと機能するようになり、良い状態を保つようになります。 私たちシューリパブリックの靴は、足をそんな状態に育てるようなセッティングなので、革靴に慣れない方が履くと最初はちょっと疲れてしまうかもしれませんが、その時にあきらめないで靴に慣れるまで続けていただければ足が鍛えられて少しずつ良い状態になっていきます。 これが思いのほか大切なことで、例えるなら普段から走っている人は個人差はあるものの足は鍛えらているでしょうけれど、普段から走らないどころか歩かないで乗っている人は、いざ歩かなくてはいけないときに歩けなかったりして足の機能が衰えてしまっているということが珍しくありません。 特に足の機能は身体を良い状態に保つために必要な機能なので、ないがしろにするわけにはいかないのです。 足って、本当に大切です。 イベントや靴のご注文の際にお客様の足を計測させていただきますが、普段から身体を動かしている方とそうでない方の足の状態は明らかに異なっていて、ちょっと計測しただけですぐにわかるほどです。 中には、初めは足の状態があまり良くなかったのに、革靴を普段に履くようになって足が締まってきてよい状態になったという方もたくさんいらっしゃいます。 健康でよい状態を永く保てるようにという気持ちで靴のセッティングをしています。   ★★★お知らせ★★★ ★The フォーマルプランは、現在受付中です。  詳細は、7月1日のブログをご覧ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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