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靴用の革の厚さのこと

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話


普段、革のご紹介の際に、

「ちょっと厚い」

とか、

「厚さは特に厚くないけれどパリッとしている」

みたいなことをお伝えしていますが、それってどれくらいの話なの?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますので、今日は革の厚さのことについて書いてみたいと思います。

革

たとえば、皆さんもご存じの革で、ビジネス用の靴を作る際の代表ともいえるデュプイのサドルカーフですが、この革はどれくらいの厚みがあるかと言いますと・・・、

革

1.4㎜でした。

ハンドソーンウェルテッドの靴の中でも、男性用のビジネスシューズを作る際には、これくらいの厚さの革がちょうどよいと言えます。

これよりも薄くなると、ちょっと頼りないと感じます。

いわゆるカーフと呼ばれる仔牛の革は厚さが1ミリに満たないことが多く、そのままではさすがに強度が不足する為、革の裏側に薄いウレタンや布を貼るという加工をしている会社もあります。

これはどっちを取るかの話で、革の自然な感じを生かしたいのであれば何も貼らないでペラペラのままにすればよいのですが、よほど目の詰まったしっかりした革でない限りちょっと頼りない靴になってしまいそうな感じがしないでもないです。

そんなこともあって、私たちシューリパブリックでは、だいたい1.4ミリくらいの革を使うことが多いです。

革

つぎにこちら。

仕上がりがとってもキレイな革で、こちらもビジネスシューズに適しているRusso di Casandrinoの King MPです。

この厚さは・・・、

革

こちらも1.4㎜でした。

先ほどのサドルカーフにしても、このKing MPにしても、生地がとってもしっかりしているので触った感じではもう少し厚く感じます。

次はこちら。

革

カフーという革の型押しバージョン。

この革は、元はスムースの革なのですが、それに型押し加工を施したものです。

革

厚さは1.5㎜強でした。

これは経験値なのですが、型押しの革の場合、元の革に対して型押しの加工をすることで0.2㎜ほどつぶれて薄くなります。

なので、元は1.7~1.8ミリくらいあったのでしょう。

元の革が少々オイルを含んでいたモノなのでしなやかな革でしたが、型押し加工をしてもそのしなやかさは残っていて、ちょっと厚めの革ですが硬いという印象がありません。

革

こちらはTempesti社のELBAMATTの型押しです。

こちらの革は厚さに関して細かく希望を聞いてくれるので私の希望の厚さに仕上げていただいています。

厚さが1.8㎜です。

革

このELBAMATTもオイルを含んでいる革なので、先ほどのカフー同様に厚さがあってもしなやかです。


次はこちら。

少し前にご紹介したイタリアのタンナー(会社名を忘れました)の製品で、Arizonaというシュリンクの革です。

革

シュリンクは、ぱっと見では型押しの革に似ているかもしれませんがこれは完全に似て非なるもので、加工でシボを作りながら膨らませています。

なので、元の革よりも少し厚くなっています。

厚さが2ミリちょっとありますね。

もうだいたいの雰囲気がお分かりかと思いますが、元がスムースの革の場合その革に型押し加工をすれば少し薄くなって、でも革そのものの硬さは少し硬くなります。

なので、型押しの革は実際の厚さが少々薄くても元々はもう少し厚かったということで、もう少し厚い革と同じくらいの感覚で扱うことができます。

逆に、シュリンクの革の場合は加工で膨らませているので、もう少し薄い革と同じくらいの感覚で扱うことになります。

革

こちらは、もう残りがわずかになってしまったスコッチスウェード。

一般的にスウェードの場合は、ギン面がある革と比べると比較的当たりがソフトになります。

スウェードでも仕上げによって硬さが全く異なるのですが、このスコッチスウェードはスウェードの中では比較的パリッとしている方で、さらに厚さが2㎜ほどあるので出来上がる靴は比較的パリッと仕上がります。

ですが、このスコッチスウェードは優れた素材と言われるだけあって、スウェード特有の当たりの柔らかさで靴はそこそこ硬いのに履くと柔らかいというを不思議な感覚を得ることができるのです。

スウェードの場合、薄いものは結構たくさんありますが靴として十分な強度を出すにはこれくらいの厚さが欲しいところです。

革

最後はこちら。

Tempsti社のMAINEという革で、この革はショルダーの部分を使っているのと、タンニン鞣しということもあって非常に硬いという特徴があります。

こんなに硬いのでさぞかし厚い革なんだろうと思って測ってみたところ、

革

なんと予想に反して厚さは1.5㎜ほどでした。

私は2ミリくらいあるんじゃないかと思っていたくらい硬い革なのです。

もちろんこの革でも普通に靴を作ります。

硬い革なので最初のうちはちょっと硬く感じますが、タンニン鞣し特有のシワが入れば柔らかくなっていくという特性で、すぐに快適に履けるようになります。

結局のところ、靴を作るには私の場合だいたい1.5㎜厚程度のものが作りやすいし履きやすいという印象を持っています。

加工の関係でそれよりも少し薄い型押しや、少し厚いシュリンクもありますが、だいたい同じくらいの感覚で履いていただけると思います。

あとは、だいたい同じくらいの厚さでも革によって多少の硬さの違いもありますし、天然由来のものなので厳密に言えば個体差も部位の差もあります。

そんなことも踏まえて、靴に使う革はこんなくらいの厚さなんだということを知っていただければよいかなって思います。

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