Archives

ドッグテイル

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

ドッグテイル

ドッグテイルとは、靴の履き口のカカト側の一番上の部分の補強のひとつで、犬のしっぽのような形をしているからそう名付けられたと聞きました。 履き口の一番上の部分は、特にブーツよりもシューズにおいては脱ぎ履きの際に力がかかり、単なる縫い割りだと糸が切れて裂けてしまうリスクがあるため、何かしらの補強を入れるのが一般的です。 イギリスの靴の特徴のひとつに、永く履けるように丈夫であることがあり、そんなことからもこのドッグテイルを用いる靴が多いのだろうと推測します。 イギリスの靴以外でも、アメリカの靴でもイタリアの靴でもドッグテイルを用いているデザインはたくさんありますが、ドッグテイルと言えばイギリスっぽいと感じる方ももしかしたら多いのではないかと思うほどイギリスの靴はこればかり使っています。 私たちシューリパブリックの靴の標準的な仕様がこのドッグテイルを用いているのはイギリスの靴に倣っていることだけではなく、写真のようにブーツにおいてカカトのラインをS字にしたいときにこのドッグテイルはイイ感じにまとまってくれるという理由や、 作業性を考えた時に、パターンを内側と外側の2つ作らなくてはいけないという手間以上に、ミシンをかける時には手間がかからないというメリットがあります。 見た目がすっきりしていて強度が十分で、そのうえ作業性が良いのなら、それはもうそれで決まりでしょうと言ったところです。 正直なところ、ブーツでドッグテイル仕様というのはあまり多くないと思うのですが、それでも強度は大切ですしイギリスらしさも大切ですし、そう考えるとここはシューズもブーツもドッグテイル仕様にしてしまうのは仕方ないところです。 ★★★お知らせ★★★ ★7月26日(水)から8月4日(金)まで私たちシューリパブリックは夏季休暇となります。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。 ★私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。 ★打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ★ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 ★また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

ポストミシン

これは、もう20年近く使っているPfaffのポストミシン。 知人の方から漉き機とセットで35,000円で譲っていただいたものです。 譲っていただいたのちに、お世話になっているミシン屋さんに持ち込んでメンテナンスをしていただきました。 結構古そうに見えて本当に古く、何年製造だかわかりませんが、Made in West Germanyと書いてあります。 今では縫い割りの部分専用のサブのミシンとして活躍してくれているのですが、最近どうしたことか縫っているとだんだん糸がボソボソに毛羽立ってきてそのうちに切れてしまうという症状が出るようになってしまいました。 どこかしらで必要以上の摩擦や抵抗が発生しているのは明らかなので、修理をしてみました。 まず疑ったのがこの部分。 針の周りです。 新しい針に変えて縫ってみたものの、効果はナシ。 次に疑ったのがこの部分。 糸のガイドです。 永く使っていると、通常なら擦れるところがだんだんツルツルになってくるのですが、まれに錆などが出てしまっていることもあるので、一度外してツルツルに磨いてみました。 ですが、これも効果ナシ。 その次は、このガイドの部分を疑ってみました。 この部分もやはりずっとほったらかしでしたが、もしかしたら錆などが出て抵抗になっているかもしれないと思い、外してツルツルに磨いてみましたが、これもまた効果ナシ。 そうなると、もうこの辺りしかありません。 この私が指している部分が怪しかったので外してみたところ、なんと永い年月の間に磨かれたのではなく削れてしまいバリのようになっていました。 なので、ルーターを使って丁寧にバリを落とし、その後に500番のサンドペーパーと1000番のサンドペーパーでキレイにしてみました。 結果、これが大当たり。 糸が切れなくなっただけではなく、あちこちバラしてキレイにして組みなおした成果もあり、ミシンがすこぶる調子よくなりました。 機械って、ただ油をさすだけじゃ良い状態を保つ事ができません。 思いもよらないところで不具合が発生するパーツもあるので、あちこち疑ってバラしてみたり、時にはお掃除をしてあげる必要もあるようです。 ★★★お知らせ★★★ ★シューリパブリック創業20年を記念して、こだわりいっぱいの20周年記念モデルを発売中です。詳しくはこちら。グリーンの革は完売しました。この企画終了まであと少しです。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。 ★私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。 ★打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ★ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 ★また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

ストレッチャー

今日いらっしゃったお客様から・・・、 「この靴をお願いする時に結構タイトめで作ってもらったんだけど、やっぱり普通のフィッティングで作ってもらった靴の方が履きやすいので、もしかしたらなんとかできるんじゃないかって思って・・・。」 とのことで、そのちょっとタイト目に作った靴をお預かりしました。 靴のフィッティングって、皆さんけっこうお好みがあってタイト目が好きかな方もいらっしゃればややルーズな感じな好きな方もいらっしゃいます。 打ち合わせの際にしっかりとお話をうかがってどれくらいのフィッティングにするのかを決めるのですが、今回のケースのようにやっぱり普通のフィッティングの方が良いというケースもあります。 また、既製品の靴に関して幅がちょっとタイトでキツイというケースもあると思いますが、そんなときに思い出してほしいのがこちら。 その名の通り革をストレッチ、つまり伸ばす薬品です。 参考までに、革には伸び方向というものがありまして、その名の通り引っ張ると伸びる方向の事なのですが、伸びる方向と伸びない方向は90度に交わっているケースが多く、例えば縦に引っ張ると伸びるけど横に引っ張ると伸びないというこのになっています。 それを踏まえて、靴はつま先カカト方向には伸びないように革を裁断しています。 ということは、靴はもし幅がきつくても横には伸びるようになっているので、レザーストレッチャーを使わなくても履いていれば少しずつ革が伸びてきつさが解消するのです。 ただ、それだと足が辛いので簡単に伸ばしてあげようというのがこのレザーストレッチャーです。 使い方は、こんなふうに伸ばしたい部分に靴の内側からスプレーして、そのまま履けば足の圧で革が伸びるという、非常に合理的なメカニズムになっています。 ですが、これができるのは今回のお客様のケースもそうですが数ミリきついという程度まで。 本来なら4Eの靴が合っているという方が2Eを買ってきたときにこれをやっても、かなり道のりは長いです(同じ足長で4Eと2Eでは足囲が12㎜違います)。 そのほか、もうひとつこのレザーストレッチャーの使い方があります。 それは、外反母趾などでピンポイントで当たって痛いという時に、その部分にやはり靴の内側からスプレーを吹きかけて、やはり内側から先が丸い木の棒などでグリグリと押し当ててあげるとピンポイントで逃がすことができます。 これは結構簡単に効果が出るので、必要な時にやってみてください。 ちなみに、私が使っているレザーストレッチャーは業務用で結構大きいボトルですが、一般用として小さいサイズのものが1,000円ちょっとで販売されているようなので、購入する際にはそちらがお勧めです。 ★★★お知らせ★★★ ★シューリパブリック創業20年を記念して、こだわりいっぱいの20周年記念モデルを発売中です。詳しくはこちら。グリーンの革は完売しました。この企画終了まであと少しです。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。 ★私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。 ★打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ★ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 ★また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

wren's

今週末の神戸出張の前に片付けておきたい仕事が順調に進み、明日は少し余裕を持って準備ができそうです。 お天気が若干微妙なところですが、イベントの日は神戸の方はお天気が回復しているようなので、ちょっと安心しています。 さて、少し前から工房の打ち合わせテーブルの一角にWREN’Sのクリームを置いて販売していますが、ほとんどの方が気付いていないようで、加えて私自身も話に夢中になってしまいお勧めするどころか、クリームの存在すら忘れてしまっています。 そんなわけで、これから工房にいらっしゃるお客様のために、WREN’Sのクリームについてご案内しておきたいと思います。 WREN’Sというシューケア用品はイギリスのブランドのようですが、実際にそれらを使ってみるとイギリスっぽさよりもフランスっぽさを感じます。 そのあたりは、のちほど詳しくお伝えするとして、 今回ご紹介するのは、以前にも何度かご紹介しているこちらの商品です。 このクリームを最近あまりメンテナンスをしていないこちらの靴に塗ってみます。 ちなみに、WREN’Sのクリームは他のブランドのものと比べてかなり柔らかくて、どちらかというとデリケートクリームくらいの硬さになります。 横にしてもこぼれ落ちるほどではありませんが、ちょっと勢いが付いたらこぼれてしまいそうです。 このクリームを先ほどのオックスフォードに塗るわけですが、塗る前と塗った後がわかるように左足(向かって右)のみに塗ってみます。 うすく塗れるようにスポンジを使って塗ってみると、 こんな感じになり、 豚毛のブラシでブラッシングしたのがこちら。 向かって右側の左足の方がイイ感じでツヤが出ているのがわかります。 正直なところ、WREN’Sのクリームって栄養補給の役割は十分にありそうだけど、サラサラでほとんどツヤが出ないと思っていましたが、意外にも十分なツヤが出ますね。 確かに左足の方がはっきりとツヤが出ているのがわかります。 これは予想外でした。 でも、私がこのWREN’Sの特徴としてお勧めしたいのはこの仕上がりのほかにもうひとつありまして、これはPCを介してでは絶対に伝わらないのですが、このクリームの香りです。 色によって香りが異なるものの、黒のWREN’Sクリームの香りは例えるなら桃のゼリーの人工香料みたいな感じ? 人口香料ってあまり良い表現ではありませんが、私たちの世代だと子供の頃に良い香りのする消しゴムとかのりとか、そういった文房具で何となくいい香りがするヤツがあったのを覚えている方もいらっしゃると思うのですが、そっち系の香りです。 通常靴クリームというと有機溶剤の臭いがきつい印象ですが、このWREN’Sに関しては全く違います。 黒以外では、赤系のものは違うフルーツの香料の香りがするような印象なのですが、これは工房にサンプルがたくさんありますので、いらっしゃったときにお試しください。 黒だけは、普通に販売しています。 ご購入をご希望の方は、その旨お声がけください。 ★★★お知らせ★★★ ★シューリパブリック創業20年を記念して、こだわりいっぱいの20周年記念モデルを発売中です。詳しくはこちら。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。 ★私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。 ★打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ★ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 ★また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

革もみ

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

群馬県の草津温泉に行くと、「湯もみ」というのがあるのをご存知ですか? 湯もみとは、湧き出る温度が高い温泉のお湯を水でぬるくすることなく、板を使って湯をもみ、入浴できるくらいの温度まで下げることだそうで、 「草津よいとこ一度はおいで~」 という歌とともに湯もみをやっているのを見たことがあります。 その湯もみと直接的な関係は全くありませんが、革ももむことで質感を変わるということを以前に革屋さんに聞いたことがあります。 やり方は様々で機械を使って、やる方法もあればイメージする通りの手作業でやる方法もあります。 今回、私はちょっと試しに手作業でやってみました。 こちらの革は、元々の厚さが2.2㎜ほどありましたが、型押し加工をしたことでこの状態で2㎜ほどになっています。 結構硬くてこの状態のまま靴を作るのはかなり大変そうですし、こんな硬い革だと履く方も大変そうです。 こうして見てみても、もうゴワゴワです。 それを、 こんな風にもんでほぐしてみると、だいぶ革の質感が変わり、最初の状態からするととってもしなやかになりました。 革そのものがかなりの厚みがあるのでしなやかになったからと言って頼りないなんてことはありません。 イイ感じにしなやかになって、履く前から少し履き込んだような感じになっています。 それに、色味もとっても鮮やかになってキレイです。 これくらいの硬さなら、ラスティングに支障がありませんし、きっと靴になった時にイイ感じに包まれ感を感じることができそうです。 この革もみ加工ですが、どんな革でもできるもののやったところでメリットのない革もあります。 今回の革は、元々の硬さがあって厚さもあって、それがイイ感じに変化してくれたのでこの加工の意味があるわけですが、普通のスムースの革などは表面が汚くなってしまうこともあります。 硬くても薄すぎる革だと、ちょっと頼りない感じになってしまうこともあります。 なので、今回試した革は革もみに非常に適した革だったのでした。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。 ★私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。 ★打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ★ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 ★また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

剛性

もうゴールデンウィークも後半ですね。 明日あたりには、そろそろ帰省先から戻ってくるという方も多いのかもしれません。 私が住む加須市は東北道が通っていまして、工房から比較的近いところに加須インターがあり、この時期にクルマでお越しいただくお客様がいると渋滞のことが気になります。 また、加須インターの少し南側にサグ(道路の下り坂から上り坂に変わる部分)がありまして、特に上り車線が混むときにはこのサグが原因で長い渋滞を引き起こすことが度々あります。 何百キロも渋滞の中、都心に戻ってくるという方は本当にお気をつけて運転してください。 私も用事があってクルマで遠出をすることがありますが、最近のクルマはいろいろ良くなっていて昔のクルマに比べてかなり疲れにくくなっているように思います。 例えば、のろのろの渋滞でも空いている時でもオートクルーズコントロールを使えば、右足は殆ど使わずにハンドルだけに集中して運転することができるので、本当に疲れにくいです。 昨年の夏に岡山に行った時だって、ほとんどと言ってよいほど疲れませんでした。 オートクルーズ様様です。 それと、昔のクルマに比べて車体の剛性が非常に高くなったので、クルマそのものの直進安定性が上がったり、ムダな揺れが減ったりして、これも疲れにくくなっている理由のひとつだと思います。 聞いた話だと、車体の剛性が高くなればサスペンションに関して正しい動きができるようになり、それが理由で直進安定性が良くなるとのこと。 なかなか感覚的に理解しづらいことかもしれませんが、金属の車体も細かく見ればあちらこちらで歪んだり曲がったりしながら走っているわけで、それらが程よくカッチリとすることで運転する人も楽になりますしクルマもまっすぐに走るようになるそうです。 じつは靴も似たようなことが言えるのです。 以前からお伝えしていることですが、靴もある程度はカッチリとしていた方が疲れにくく変なストレスがかからないということが言えます。 人間の足は屈曲する部分があって、そこをジョイントと呼びますが、ジョイントよりも後ろの部分は基本的に曲がらないようになっています。 靴も然りで、曲がるべき部分はしなやかに曲がって、曲がらない部分はカチッとしているのが理想なのです。 もし、人間の足の曲がらない部分に関して、靴の方がフニャフニャだったとするとそのしわ寄せは人間の足の方に来てしまい、衝撃やら何やらをすべて足の方で受け止めなくてはならなくなってしまいます。 でも、靴がカチッとしっかりしていれば、衝撃などを靴の方が受け止めることになるので、人間の足はゆったりと靴に包まれた状態でいられるのです。 そのために(それだけではありませんが)、靴にはこのようなものがあります。 シャンクです。 言ってみれば、靴の背骨のようなものです。 以前はスチールのシャンクを使っていましたが、入手が困難になったタイミングでこちらの、より剛性の高い樹脂製のものに変えました。 シャンクは、靴のこの辺りにセットされます。 このシャンク、結構な幅でねじれ剛性が高く耐久性も高いので、なかなか目的に合っていて素晴らしいです。 さらに、私たちシューリパブリックの靴はこの幅広のシャンク以外にも靴のねじれ剛性を上げるために補強材をいくつもいれていますし、靴のソール自体のウェスト部分の幅を広めにして、さらにねじれ剛性を高くしています。 そうすることで、靴がねじれにくくなり、衝撃は適度に靴が吸収してくれて、この靴を履いていれば足がゆったりとつつまれた状態にあって、長時間歩いても疲れにくくなるということなのです。 もちろんシューズでもブーツでもねじれ剛性は変わりませんが、足をよりしっかりとホールドできるのは足を包んでいる面積の多いギブソンブーツやチャッカブーツです。 なので、特に長時間歩く方にはギブソンブーツがお勧めです。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

オールソール交換

余談ですが、昨日ネットで「孤独のグルメ」の井之頭五郎さんの記事を読みまして、それにはなぜ井之頭五郎さんはいつもタグホイヤーのクロノグラフをしているのかということが書いてありました。 その話から、そう言えば私も一時期腕時計にハマっていたこともあったのに、最近はもっぱらGショックばかりしていることを思い出しました。 なにせGショックは軽いし見やすいし、道具としてはこの上ない腕時計だと思いますから、ついついこればかりになってしまうのもわかる気がします。 でも、せっかく自動巻きの時計(そろそろメンテナンスに出さないといけない時期です)も持っているし、他にもクォーツの腕時計もあるので、使わないのはもったいないのも事実。 最近は手軽な服ばかり着ていて、だから腕時計がGショックになってしまうのかもしれません。 世の中的に仕事するのにこれだけカジュアルな服の人が増えたら、やっぱり私としては革靴を履いてパリッとジャケットを着て、自動巻きの重たい腕時計をしないといけないなって思います。 なんとなく世の中がグダグダになってきているので、ここらへんで少しパリッとさせたいところですよね。 今くらいの季節にはジャケットがちょうど良いので、ぜひ皆さんもちょっとだけ堅いファッションをしてみませんか? ちなみに、私は腕時計はオリエントスターが好きです。 さて、少し前に作業の途中の様子を一度ご紹介させていただきましたが、お客様のOさんからお預かりした靴の修理が完了しました。 完成した靴がこちら。 今回のメニューは、オールソール交換+ウェルト交換+ボトムフィラーなど一式交換+カカトの仕様をシングルヒール→ダブルヒール仕様に変更ということでした。 オールソール交換+ウェルト交換+ボトムフィラーなど一式交換に関しては、時々やっているメニューなので特に珍しいことではありませんが、今回は初めてカカトの仕様をシングルヒール→ダブルヒール仕様に変更という作業をやることになりました。 ちなみに、シングルヒール仕様というのはウェルトがカカト周りにはない仕様で、したがってだし縫いのスティッチもカカト周りにはなく、カカトそのものが小さくなってシュッとしてスマートな靴に見えるのに対し、 ダブルヒールとはウェルトをぐるりと一周させる仕様で、だし縫いも一周してカカト自体はそのぶん大きくなります。 ただ、元の靴がシングルシールであるということは、カカト周りにウェルトを縫い付けられるような仕様になっていないため、あくまでもダブルヒールのように見えるという仕様で製作させていただきました。 その仕上がりがこちら。 十分にダブルだと思います。 履いていて特に問題はありませんし、もちろん強度的にも十分です。 Oさんによると、 「この靴はシングルよりもダブルの方が似合っているような気がしたので。」 とのことで、今回はオールソール交換のついでにこんな仕様変更もさせていただきました。 たまにはこういう作業も面白いですね。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

革

余談ですが、今日靴の点検のためにお越しいただいたMさんと、秋田県の大館市の話でたいへん盛り上がりました。 大館市は、私は昨年の11月にちょっと用事があって訪れて、これがなかなか楽しい街だったという思い出があり、Mさんはお仕事の関係で定期的に訪れているそうで、特別メジャーな街ではないのにお互いに大館市の情報がたくさんあって、とっても楽しかったです。 私が大館市に行ったときは、もう来週あたりから雪が降り始めるというタイミングでとっても寒かったのですが、まだ道路には雪がなく移動は不自由なくできました。 私が大館市で訪れたかったのは、煉屋バナナで有名な煉屋さんです。 皆さん、煉屋バナナってご存知でしょうか? 菅前首相も食べたという、バナナの最中なのですが、このバナナの最中はバナナと言っているのにバナナは入っていなくて、バナナのエッセンスでバナナ餡を作っているのだそうです。 そもそもこの煉屋バナナは、昔まだバナナが高価だったころに、この店主さんが子供たちにバナナを食べさせてあげたいという気持ちからこのバナナの最中を作ったのだそうで、それが今でも受け継がれているということです。 今はおいしいお菓子がたくさんありますが、それでもこの煉屋バナナは十分に価値あるお菓子で、ぜひ私も食べてみたいということでこの煉屋さんを訪れて煉屋バナナを購入したのでした。 そしてもうひとつの目的は、ファミレスのトマトアンドオニオンです。 このトマトアンドオニオンの件は、以前にも書いているので今回は省略させていただきます。 対してMさんのお勧めは、レストランのえんとつと、こちらも同じくレストランのドルフィンとのこと。 これまで何度も大館市に行かれたそうですが、これらがMさんのお勧めだそうです。 じつはMさんがお勧めしてくださったえんとつとドルフィンと、私がお勧めした煉屋さんは、偶然にも同じ通り沿いにあって、あとで調べてちょっとびっくりでした。 大館市は、観光を目的に訪れるともしかしたら期待外れと感じてしまうかもしれませんが、何泊かしてじっくり街の様子を写真にでも収めて、この素朴さを感じたり居酒屋に立ち寄って地元の方々と話をしてみると、味わい深さを実感できる街だと思います。 ちょっと重々しい空の様子や、雪国特有の信号やアスファルトの感じ、そしてちょっと寂しい感じの街中の様子は、それらを受け止めるぞという気持ちで訪れるととってもステキなものです。 今はまだ雪が大変な事になっているのかもしれないので、次回はもう少し暖かくなったころにまた訪れてみたいと思います。 さて、今日は最近なぜか人気の革に関してお伝えします。 工房に展示しているギブソンブーツは、元々はネイビーだったのがいつの間にか焼けてグリーンとグレーの中間色のような色になってしまっているのですが、この革がとっても人気なのです。 この広げているネイビーが元の色で、これが焼けてこのブーツの色になってしまったという訳です。 この革は、Conceria 800社のVacchetta 800という革で、詳しいことはよくわかりませんが染料が酸化してこのような色になってしまうと聞いています。 でも、なぜかお客様が気に入ってくださるのはこの焼けてしまった方の色で、この色でと言われてもネイビーで作って焼けるのを待っていただくしかないのです。 だいたい、パッと見て全然違う色なのでこれが本当にこれになるのかと心配になってしまうかもしれませんが、これは間違いなく同じ革であり、ネイビーがこの説明しにくい色に変わったのです。 こんなグリーンとグレーの中間色の靴なんてあまり見かけないので確かに珍しいですし趣があると言えばありますよね。 そういわれれば、格好良い色かもしれません。 このネイビーももうあと2足分ほどしかありませんが、こんなオモシロイ革で作ってみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお早めにお声がけください。 半年もすればすっかり焼けてこのブーツの色のようになります。 その変化を楽しむのも、これまた趣がありそうです。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

すくい針

オウルとは、ハンドソーンウェルテッドの靴を作る際にウェルトを縫い付ける作業があるのですが、ウェルトを縫う糸を通すための下穴を開ける工具です。 針という名前がちょっと紛らわしくて、糸の先についているもののようなイメージがありますが、そちらはブリストルと言いまして別のもので、こちらのオウルは千枚通しの針先が曲がったような形をしています。 ちょっと話が逸れるのですが、5~6年ほど前に靴の材料が集まっている浅草で、すくい針がなくなったということがありました。 それはどういうことかと言いますと、それまで作っていた職人さんが突如亡くなってしまい、供給が絶たれてしまったのです。 関西方面ではどういう状況だったのかわかりませんが、とにかく関東周辺では結構な騒ぎになっていました。 私は一応買い置きが何本かあったので特に慌てることはありませんでしたが、今後入手できるかどうかわからないという状況だったので、それをきっかけに国産の針からイギリス製の針に切り替えることにしまして、イギリスから一生分に相当するくらいの大量のすくい針を購入したのでした。 その針がこちら。 使う時には、この右側に柄が付くのですが、これは取り外した状態になります。 じつは、私は最近ウェルティングの作業で以前よりも時間がかかるようになりまして、どうしたんだろう?もう歳で昔のようにテキパキできなくなってしまったのだろうか?と思っていたところ、ふとこの針の形状を見て気づきました。 この2つ針を見て違いがわかっていただけますか? 上側の針はこれまで使っていたもので、下側の針は新品のものです。 そうです、これまで使っていた針はちょっとだけですが毎回使うたびに研いでいたので、針の先が削れて短くなってしまっていたのです。 なので、下穴を開ける際に結構奥の方まで刺さなくては行けなくて、そのために一針ごとに余計に時間がかかっていたのです。 新品の針に比べて7ミリくらいでしょうか、短くなってしまっています。 そんなわけで、この機会に新しい針に交換しまして、針先を研いでウェルティングに臨んだところ、片足ダブル(ぐるりと一周縫う仕様)でだいたい50分で、以前の調子よかった頃と変わらない作業時間でした。 改めて工具の作業性の大切さを実感しました。 工具のメンテナンスは、本当に大切です。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

ラスト

先日、お客様と話をしていて、お客様が、 「ラストって、こんなに薄いんですね。」 とおっしゃっていました。 こちらがいつものギブソンブーツです。 靴の厚さがこれくらいなので、ラストはまぁまぁこれくらいだろうと想像してみるのですが、   こちらがこのギブソンブーツを作った時のラスト。 この角度ではちょっとわかりにくいですね。 では比べてみます。 靴の厚さがこれくらいなのに対して、 ラストはこんなに薄いのです。 もし、お手持ちのシューツリーがあったらちょっと比べてみてください。 実際には、靴の内側はこれくらいの厚さなので、これに厚みのあるシューツリーを入れてしまうと靴を押し広げてしまいます。 靴のジョイント部分においては、大きなシワが入らないようにするためや、フィッティングの改善のために、なるべく上側に隙間を作らないようにしていますが、それがシューツリーで押し広げられてしまってはフィッティングが台無しです。 そんなわけで、シューツリーをお選びになる時には、厚さにもご注意ください。 ★★★お知らせ★★★ ★旅チャッカ2023モデルのご注文を受け付けております。詳しくは、こちらをご覧ください。 ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

… 続きを読む

<<    |   >>

↑トップへ