ラスティングの不思議

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今日は仕事のあとにウチの家内の自転車のタイヤ交換をしました。

10年以上前に購入したものですが、最近はもっぱらクルマの移動が多くなりほとんど乗っていません。

でも、やっぱり健康のために自転車にも乗った方が良いので、安全に乗れるようにタイヤとチューブを交換して、ついでに簡単なメンテナンスをしておくことにしたのです。

10年以上前に購入したものでも、屋内保管だったこともあってほとんど痛みはなく、タイヤ交換もスムーズに終わり、これで大丈夫と試乗をしようとしたときにグリップシフトのシフターが加水分解していてドロドロになっていることに気づき、やっと乗れるようになったと思ったのに完成はちょっと先になってしまいました。

Amazonでシフターとグリップを注文し、届いたらまた作業をします。


さて、皆さんは革靴のつま先の部分に関して不思議に思ったことはありませんか?

ラスティング

靴がこんな感じであって、

ラスティング

このつま先の部分は平らな革をつり込んで下側に引っ張り込んでいるのですが、普通に考えると平らなもので丸いものを包むと下側にたくさんのシワができるはずです。

なのに、この靴のつま先の下側、つまりウェルトとの境目あたりはたくさんのシワどころかツルンと平らになっています。

これって不思議ですよね?

私も靴づくりを始めた時にとっても不思議でした。

機械でラスティングをする際には、すごい力で革を引っ張ってそのまま下側にまとめて平らなプレートのようなもので押さえ込むので、よほど革が厚くてどうしようもない時以外は平らになります。

でも、手で引いて小さなシワを作りながらまとめていくのに、こんなふうにツルンと平らになるなんて・・・?

実際にラスティングが終わってウェルトを縫い付ける前の状態のものがありますので、ご覧ください。

ラスティング

こんな感じで、まだ仮止めのクギを抜いていない状態です。

とりあえず靴のつま先の下側になる面は平らになっていますね。

もうひとつのケースもご覧ください。

ラスティング

クギの間に多少凸凹はあるものの、端に近い部分はほぼ平らになっています。

これは、じつはラスティングをするときに革の特性を利用しているのです。

革は例えるなら縦横に糸が通っている布のようなもので、もちろん実際に糸が通っているわけではないのですが、縦方向に引っ張ると横方向にほんのわずかですが縮むようなところがあり、その特性を使ってギャザーにした凸凹を消しています。

また、革は叩くと形を形成する特性もあるので、凸凹が消えない部分においてはハンマーで叩いて平らにします。

そうして平らにした後にウェルティングをしているので、つり込んだギャザーは消えてウェルトとの境目は平らになっているのでした。

今回ご紹介したのは比較的簡単な例ですが、革という素材をラスティングして靴の形を作るという流れにおいては、とっても不思議なことがたくさんあります。

私たちはもう永いことそのような作業を続けているので、今となっては特に不思議に感じることもなくなりましたが、やっぱり改めて考えると不思議ですよね。

靴づくりにおいては不思議なことがまだまだたくさんありますので、思い出したら少しずつお伝えしていきたいと思います。


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