去る4月22日のブログで、装具をつけた状態で履く靴の製作について書きました。
こちらが前回製作した試し履き用の靴です。
今回の件は、Tさんから装具をつけたままの状態で履ける靴を作ってほしいというご依頼を受けまして、まずは試し履きの靴を製作し、Tさんに履いていただいたのですが、
結果はお伝えしました通り、装具をつけた状態では脱ぎ履きは困難で、応急処置としてベロの付け根を13ミリほどカットしまして足を入れやすくし、その状態であれば脱ぎ履きが可能ということがわかりました。
この部分をカットしました。
こんな感じで履き口が開き、当初の仕様に比べて足を入れやすくなります。
写真はTさんに履いていただいているところです。
履けてしまえば問題ないようなので、装具をつける左足のラストに関しては大きな調整はしませんでしたが、もう少ししっかりと足をホールドできるようにパターンの大幅な修正をしました。
こちらが今製作途中の靴です。
指さしている部分をtabというのですが、このtabの位置を前に6ミリほどずらし、
さらにこのベロの付け根を前に14㎜ほどずらしていますので、結果として試し履きでベロの付け根部分に切り込みを入れたものとだいたい同じ状態になっています。
ただ、このベロの付け根部分は、本来であればもっと深くなっていて、多少ハネが開いた時でも見えないのですが、今回は脱ぎ履きを優先するために結構ギリギリになってしまいます。
パターンナーとしてちょっと納得いかない部分もありますが、tabをこれ以上前にずらせないこともあって、妥協案でいっています。
tabの位置を比べています。
ボールペン1本分くらい前に移動していることになります。
ソールに関しましては、試し履きではダイナイトソールを接着してみましたが、もし可能であればより軽量化を希望するとのことで、さらにマッケイを縫ってほしいとのことでしたので、今回は薄い低発泡のゴムの板をミッドソールとして使い、ここにマッケイを縫い、
さらにこれにEVA(いわゆるスポンジのような発泡している素材)のビブラムソールを貼って仕上げようと思っています。
低発泡のゴム板はそれほど重量がない割にはしっかりしているので、これを入れることで靴としての剛性を保つ事ができ、健康な方の足に関して踏ん張りがきくはずです。
さらに、ソールに直接マッケイを縫ってしまうと雨の時に水が入ってしまうとか、ソールがすり減った時の交換が厄介になってしまうなどの問題も出てくるので、今回はこのような仕様にしました。
靴用の接着剤は、熱をかけると柔らかくなるという性質があり、修理などで剥がすときには適度に熱をかければこの低発泡のゴム板はそのままでEVAのビブラムソールだけ剥がして交換できるのではないかと思っています。
そううまくいくかどうか、やってみないとわからない部分もありますが、靴としてこの低発泡のゴム板が入っていることは決してマイナスではありません。
毎回いろいろ考えながら少しずつ進んでいくのはなかなか面白いものです。
完成は、そう遠くなさそうです。
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