私たちシューリパブリックで製作する靴は、一部の企画商品を除いてハンドソーンウェルテッドのオーダーメイド靴です。
過去に、
「ハンドソーンじゃなくてグッドイヤーウェルテッドの方が安く作れるからよいんじゃないの?」
というご意見をいただいたこともありましたが、じつは私たちは合理的な理由からハンドソーンウェルテッドという製法で靴を作っているのです。
まず、グッドイヤーウェルテッドとハンドソーンウェルテッドは、似たような製法という認識の方もいらっしゃいますが、実際には全く異なるもので、履き心地から扱い方から製作する際の設備も全然違うのです。
グッドイヤーウェルテッドの特徴を挙げると、
〇基本的に機械でラスティングをして、機械でウェルトを縫い付ける
〇薄いインソールに高さ6ミリの布製のリブを貼り、ボトムフィラーはリブの高さに合わせて6ミリほど
〇インソールよりもコルクが沈む
〇機械でラスティングをしているため靴は比較的硬めの仕上がり
〇大量生産に向いている
〇生産には専用の機械が必要である
対するハンドソーンウェルテッドは、
〇手作業でラスティングをして、手作業でウェルトを縫い付ける
〇厚めのインソールの裏側を加工してリブを彫る
〇インソールもコルクも沈む
〇手作業でラスティングをしているため作り手が思うような硬さに仕上げることができる
〇少量生産に向いている→つまり個別対応のオーダーメイドに適している
〇機械を使うこともあるがラスティングやウェルティングの機械は不要
という具合で、簡単に言ってしまえばお客様一人お一人のご希望や足の状態に合わせてそれぞれのものを少量生産で作る場合は、ハンドソーンウェルテッドの方が圧倒的に適しているのです。
確かにラスティングを機械でやってしまえば手作業でやるよりもその作業だけの時間で比較すれば早いかもしれませんが、時間的なことを言えばトゥラスター(ラスティングの機械)においてつま先の形状が違うものを作る場合は、その都度トゥバンドというものを交換して調整をする必要があるなど、その1足のために調整をするというのはなかなか現実的ではありません。
さらに、手作業でラスティングをした方がその革の特性やラストのクセなどをうまく生かせる上に、手作業でラスティングをした方が優しい履き心地に仕上がるため、履き心地を求める状況ではメリットがあります。
そんなわけで、私たちシューリパブリックでは手作業でラスティングをし、手作業でウェルトを縫い付けるハンドソーンウェルテッドという製法でオーダーメイドの靴を製作しています。
そのような環境ではありますが、そのおかげでお客様お一人お一人とじっくりお話をする事ができますし、じっくりとご希望をうかがうことができます。
少量生産でさほど時間に追われないで作業できるので、もし何か気になることがあったらしっかりと納得ができるまで向き合って問題を解決できますし、妥協をしないでモノづくりに向き合えます。
手作業でラスティングをしたチャッカブーツ。
下側はこんな感じ。
ラスティングには、このピンサーを使います。
こちらは違う靴ですが、手作業でラスティングを終えたところ。
靴の作りを見ていただくと、なんとなくどんな風に扱えばよいのかを理解していただけるかもしれませんが、ハンドソーンウェルテッドの場合はとにかく靴にムリをさせないことが大切です。
1度履いたら十分に休ませることや、休ませる時には湿気が少ないところに置いてあげることなど、主に湿気対策に関して注意していただきたいと思います。
決して難しいことではありませんので、ぜひ私たちが丁寧に作り上げた靴と永いお付き合いをお願いいたします。
★★★お知らせ★★★
★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。
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また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。