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オウル(すくい針)

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話


オウルとは、ハンドソーンウェルテッドの靴を作る際にウェルトを縫い付ける作業があるのですが、ウェルトを縫う糸を通すための下穴を開ける工具です。

針という名前がちょっと紛らわしくて、糸の先についているもののようなイメージがありますが、そちらはブリストルと言いまして別のもので、こちらのオウルは千枚通しの針先が曲がったような形をしています。

ちょっと話が逸れるのですが、5~6年ほど前に靴の材料が集まっている浅草で、すくい針がなくなったということがありました。

それはどういうことかと言いますと、それまで作っていた職人さんが突如亡くなってしまい、供給が絶たれてしまったのです。

関西方面ではどういう状況だったのかわかりませんが、とにかく関東周辺では結構な騒ぎになっていました。

私は一応買い置きが何本かあったので特に慌てることはありませんでしたが、今後入手できるかどうかわからないという状況だったので、それをきっかけに国産の針からイギリス製の針に切り替えることにしまして、イギリスから一生分に相当するくらいの大量のすくい針を購入したのでした。

その針がこちら。

すくい針

使う時には、この右側に柄が付くのですが、これは取り外した状態になります。

じつは、私は最近ウェルティングの作業で以前よりも時間がかかるようになりまして、どうしたんだろう?もう歳で昔のようにテキパキできなくなってしまったのだろうか?と思っていたところ、ふとこの針の形状を見て気づきました。

すくい針

この2つ針を見て違いがわかっていただけますか?

上側の針はこれまで使っていたもので、下側の針は新品のものです。

そうです、これまで使っていた針はちょっとだけですが毎回使うたびに研いでいたので、針の先が削れて短くなってしまっていたのです。

なので、下穴を開ける際に結構奥の方まで刺さなくては行けなくて、そのために一針ごとに余計に時間がかかっていたのです。

すくい針

新品の針に比べて7ミリくらいでしょうか、短くなってしまっています。

そんなわけで、この機会に新しい針に交換しまして、針先を研いでウェルティングに臨んだところ、片足ダブル(ぐるりと一周縫う仕様)でだいたい50分で、以前の調子よかった頃と変わらない作業時間でした。

改めて工具の作業性の大切さを実感しました。

工具のメンテナンスは、本当に大切です。

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