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モンキーブーツ

今日のお客様は、東京都にお住いのKKさんです。 ご注文いただいていた靴が完成いたしましたので、納品&フィッティング確認のためにお越しいただきました。 早速履いていただきました。   今回は2足完成していまして、その1足目は念願のモンキーブーツです。 KKさんは、以前からモンキーブーツをぜひ履いてみたいとおっしゃっていまして、今回その希望がかないました。 モンキーブーツに対するこだわりも強く、ラストは最もモンキーブーツの雰囲気を感じることができるMRTを使い、Lストームウェルト+セミダブルソールという仕様です。 丁寧にヒモを締めて、とっても格好よく履きこなしていらっしゃいました。 初めてのモンキーブーツの履き心地は・・・、 「とってもイイです。」 その一言にすべてが集約されています。   KKさんは大変多趣味の方で、さらにいろいろなものに関心を持っていらっしゃって、上の写真の右端にちょっとだけ写り込んでいるサイドゴアブーツがあるのですが、 これはわざわざ長崎まで出向いて買ってきたという「坂本龍馬モデル」だそうです。 日本で初めて革靴を履いたというあの竜馬のブーツです。 男だったら、竜馬にあこがれて、007にあこがれて、インディジョーンズにあこがれて、オートバイにあこがれて・・・。 すべてKKさんの通ってきた道の中にあります。 なので、お話をうかがっていてもこれまで経験されたお話だけで話題が尽きません。 そうそう、前回はインディジョーンズにあこがれて購入したというムチを持ってきてくださって、あのパチン!というのを実演してくださいました。 なかなか見ることができませんよ。   さて、もう1足がギブソンシューズです。 こちらは、前回の打ち合わせの時に、ちょうど入荷したばかりの革があって、お勧めさせていただいたモノです。 ちょっと個性的なシボの革で、ラスティングで引かれてシボが薄くなったつま先から少しずつシボがはっきりしてくるというグラデーションがとってもステキです。 KKさんも、とっても気に入ってくださいました。 「こちらの靴は、履き初めの時からカカトがしっかりと押さえられていて、本当に履いていて気持ちイイですよ。」 とおっしゃっていました。 KKさんの足は少々細めなので、多少の調整が入るパターンオーダーで作ったモノではカカトが十分にフィットしなかったそうです。 じつは、靴の履き心地はラストの調整と、靴のつくりで決まります。 なので、どんなにラストをきめ細かく調整しても、靴自体のつくりが甘かったり、剛性が不十分だったりすると、履いていて快適とは感じられないということになります。 そのためにも、十分な剛性が出せるハンドソーンウェルテッドという製法が必要になるのです。 ともあれ、今回完成した2足の両方をとても気に入っていただけたようで、作り手として非常に嬉しいです。 KKさん、ありがとうございました。   靴のスペック デザイン:モンキーブーツ レザー: キップ ソール: ダイナイトソール ラスト: マイサイズラスト(MRT+サイズ調整) 製法: ハンドソーンウェルテッド   靴のスペック デザイン:ギブソンシューズ レザー: キップ ソール: ダイナイトソール ラスト: マイサイズラスト(SRD+サイズ調整) 製法: ハンドソーンウェルテッド     シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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ダブルモンク

今日は一日クロージングの日でした。 クロージングとは、ミシンをかける作業のこと。 その中で、久しぶりにダブルモンクのクロージングをしました。 正確に言えば、ダブルモンクストラップシューズ。 モンクストラップとは、昔々(たしか15世紀頃と聞いた記憶がありますが定かではありません)アルプスの修道士(Monk)が履いていたストラップの靴に由来すると聞いています。 元々はビジネスシューズのような作りではありませんでしたが、近代になってこのような作りのものが主流になったはずです。 今ではシングルのモンクストラップのほかに、今回製作したようなダブルモンクストラップもあります。   私たちシューリパブリックでは、基本的に製作するデザインはヒモ付きのものとしていますが、いくつか例外がありまして、 例えばこのダブルモンクであったり、サイドゴアブーツなどは条件付きでOKとしています。 そもそも、ヒモ付きの靴としているのは、しっかりと足をホールドして履いていただきたいということや、足は昨日と今日とで微妙にサイズが異なる可能性があること、 さらには履き込んでいくとインソールなどが沈んでい容積がわずかながら大きくなることがあるため、 調整の効かない靴では緩くなってしまうことが心配されるなどの理由によるものです。 サイドゴアブーツにしても、このダブルモンクストラップにしても、ヒモ付きの靴に比べればしっかりとホールドする点においてはやや劣ってしまいますが、 お客様の足の形状によっておおよそホールドできそうであればお受けいたします。   シューリパブリックのダブルモンクのデザインは、こんな感じです。 つま先側のストラップに対して、カカト側のストラップは平行ではなく、やや角度がついています。 これは、少しでも甲をしっかりと押さえたいという理由から導き出されたデザインです。 バックルの止め方は、 つま先側が固定。 対して、カカト側はゴムを使っています。 写真では、これからラスティングがあるのでゴムを固定してありますが、完成した時にはこのテープは切ってしまって、ゴムが機能するようになります。 つま先側の固定は、初めはちょっと硬いかもしれませんが、少し馴染めば問題ありません。 カカト側は固定でも良いのですが、初めきつくてバックルが留まらない状態になる可能性が高いので、なじむまではゴムのほうが良いと思います。 ある程度なじんでしまったら、固定に変更することも可能です。   今回、このダブルモンクに使っているのは、あのイルチアボックスの黒です。 もうそろそろなくなりますので、ご希望の方はお早めにご予約下さい。 ダブルモンク、改めて見てみると格好良いですね。 私もこのお客様のように、少しつま先の丸いラストで自分用に1足作ってみたいと思いました。 私も、革は黒のスムースがイイですね。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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市川市動植物園

今日は急遽予定を変更しまして、家族とともに松戸&市川方面に行ってきました。 というのも、ウチの小学生の娘がもうとにかくレッサーパンダが大好きで、あちらこちらの動物園に行っているのに、まだ市川市動植物園には行ったことがないことと、 コージ製靴さんの松戸の本社で昨日と今日の2日間、ファミリーセールを開催しているということで、 なかなか週末に家族と一緒に過ごせる機会がないので、家族も一緒にまとめて両方行ってみようということになったわけです。   コージ製靴さんは、これまでは新潟工場で開催されるファミリーセールにはよく出品させていただいていて、私も販売のために行っていたのですが、 松戸となると距離が微妙で、日帰りで行くのにはちょっと遠いし(クルマで片道1時間半から2時間くらいかかります)、かといって何泊も泊まるのも何となく経費がかかり過ぎるので、 結局新潟のみというスタイルになっていました。 もちろん、コージ製靴さんとはもう永いお付き合いなので、セール以外の時には何度もお邪魔しています。 そんなわけで、私は初めての松戸の本社でのセールに行きました。 新潟に比べると敷地の面積がだいぶ小さいので、商品点数もだいぶ小ぢんまりとしていますが、一通り見てきたところでは主な商品はそろっていました。 やっぱりこういうイベントはいいですね、活気があって。 お客様もゆるーい感じで楽しそうでした。 コージ製靴の皆さま、お疲れさまでした。   途中でウチの家族は先に市川市動植物園へ先に行っていまして、私もあとからトボトボと歩いて向かいました。 地図で見てびっくりしたのですが、コージ製靴さんから動植物園まで歩いて行ける距離なのです。 こんな近いのなら、コージ製靴の皆さんはもしも嫌なことがあったら、フラ~っと動植物園に行っちゃいそうですね。 ご存知の方も多いかもしれませんが、この辺りはナシの産地です。 私たちシューリパブリックのある加須市に隣接している久喜市や、その向こう側の白岡市もナシの産地なので、ちょっと奇遇ですね。 動植物園までは、ほんの歩いて15分ほどで到着。 森の中にある動植物園といった感じの、とっても清々しい環境の動植物園です。 動物たち、たくさんいました。 ヤギもポニーもブタもいました。 お目当てのレッサーパンダは、2か所に分かれていました。 コチラは、入り口から近い方のレッサーパンダの家。 コチラが奥の方のレッサーパンダの家です。 レッサーパンダって、本当にぬいぐるみのようでかわいいですよね。 みんなに愛されるのもよくわかります。 こんな感じの、のんびりとした雰囲気の動物園でした。   我が家はこれまでにたくさんの動物園を訪れていますが、それぞれ個性があってとっても興味深いです。 比較的動物のそのままを見せようとしているところもあれば、かなり工夫して人間にとって面白く見せてくれるようなところもあります。 いずれにしても、動物について十分に知ることができる素晴らしいところなのですが、それ以前に小さなコミュニティとして見ることもできますし、 言い方を変えると私たちの世界を上から見ているような見方もできるところです。 もちろん、子供のころにはそんなことは考えもしませんけど。 残念ながら、大人になると動物園に行く機会が減ってしまうような気がしますが、じつは動物園こそ京都などの歴史的な街と同様に大人になってから行くべきところです。 私も本来なら今日は仕事をする日でしたが、家族と一緒に特別な時間を過ごすことができまして、なかなか充実した一日でした。 たまにはこんな日も良いでしょう。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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靴ヒモ

こちらは、私たちシューリパブリックがお勧めするギブソンブーツです。 このギブソンブーツの靴ヒモが、思いのほか長いと思った方、いらっしゃいませんか? 通常、3穴のチャッカブーツで75センチ、5穴のギブソンシューズで80センチほどの靴ヒモを使っているのですが、 7穴(そのうち、最も上の穴は通していない)のギブソンブーツでは110センチの靴ヒモを使います。 こうして見てみても、ちょっと長いかも?って思います。 でも、これまでに編み上げのブーツを履いていらっしゃった方は、この理由がわかりますよね。 そう、ギブソンブーツなどの編み上げのブーツの場合は、脱ぎ履きの際にハネをやや広めに開かなくてはいけないため、そうすると紐が担がれてしまって・・・、 アイレットから外れないようにするには、これくらいの長さは必要になります。 そんな理由で、ギブソンブーツのヒモはやや長めの設定となっています。   ヒモの話ついでに、ギブソンブーツなどの編み上げのブーツの場合、一番上のアイレットは使わないことをお勧めしています。 その理由は、この穴を使ってしまうと足首の動きを阻害してしまうことと、この穴を使わなくても十分なフィットが得られることが理由です。 ファッションとして上の方までヒモを通すのはOKですが、実用面からすれば足首のちょっと上までホールドされていれば十分となります。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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ハンドソーンウェルテッド

私たちシューリパブリックで製作するオーダーメイド靴は、主にハンドソーンウェルテッドという製法で製作しています。 「主に」というのは、時々企画モノとして違う製法で製作することがあるからなのですが、 普通にお客様からご注文を頂いて製作する靴は、すべてハンドソーンウェルテッドです。 ちなみに製法とは何かといいますと、とっても簡単に言ってしまえば、靴の上物と底をどのようにくっつけるかということについて分類したものです(本当におおざっぱですが)。 靴を作る上で製法はとても重要な要素と位置付ける人もいれば、さほど関係ないという人もいますが、 私個人的には、やっぱり概ね重要な要素だと考えています。   最も簡単なのはセメンテッドという、いわゆる上物と底を接着剤で貼り付けて作る製法です。 これに対してハンドソーンウェルテッドでは、インソール(中底)にリブ加工を施したうえで、ラスティング(つり込みのこと、これはセメンテッドも同じ)のあとにウェルトを手作業で縫い付けます。 さらに、コルクのボトムフィラーをセットしたり、まぁとにかく細かい作業がたくさんあります。 作業的に見れば、セメンテッドの靴よりも5時間くらい多く時間がかかるような計算になります。 それだけ作業に時間を要すとなれば、コスト的に見てもその分高くなるわけですが、作り手として感じるのはハンドソーンウェルテッドで製作する場合に、そのコストの差よりももっと大きなメリットがあるということです。 もちろん、何でもかんでもハンドソーンだから良いということはありません。 ちゃんと作られたものという前提での話になります。 ハンドソーンウェルテッドの靴がセメンテッドの靴より優れている点は、 高い剛性により長時間歩いた時の疲れが少ないこと、 構造上の都合で、ボトムフィラーのコルクによって衝撃がうまく緩和されること、 縫ってあることで完全に固着されているのと違い、うまい具合にほんのわずかなズレが生じて、歪みが逃がされていること、 構造上の理由で厚いインソールを使っていて、これが靴の中が蒸れることを防いでいること、 ソールを仮留めの接着剤で留めているので、修理の時には靴に負担なく交換ができること、 と、たくさんの点が挙げられますが、そんな理屈よりもまず実際に履いていただくと、ハンドソーンウェルテッドの優しい履き心地、言い換えれば懐の深さを実感することができます。   ちょっと話が外れますが、 いわゆるセメンテッドの既製品の靴から、ハンドソーンウェルテッドのオーダーメイド靴に行く場合、2つのステップポイントがあります。 まず、ラスト(木型)が既製品のラストから足に合ったラストに変わること。 そして、製法がセメンテッドからハンドソーンウェルテッドに変わること。 前者においては、それまで既製品のラストがどれくらい合っていたのかということによって、足に合ったラストのメリットの大きさが変わってきますが、 後者においては、製法によって変わることは上記の通りであり、 そのほかにそれまで機械によるラスティングだったものが、手作業によるラスティングというおまけまでついてくるわけで、 じつはあまり知られていませんが、この差は非常に大きいのです。   ここで振り返ってみると、最も履きやすい靴を作ろうと思った時に、要件として、 「足に合ったラスト(木型)を使って製作すること」 「ハンドラスティング+ハンドソーンウェルテッドで製作すること」 「正確に作ること」 ということになり、 これを作業効率の改善でムダを減らして作ることができれば、ムダな経費が掛からなくなって、妥協することなく安くて良いものができることになります。 それが、私たちシューリパブリックの靴です。 作り手として自信をもってお勧めできるモノを作ろうと思った結果が、ハンドソーンウェルテッドに辿り着いたということです。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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ヒール

余談ですが、小学生の娘が学校で使うコンパスのケースが必要とのことで、作ってみました。 筆箱の中に入れたいらしいのですが、針先や尖った鉛筆の芯がちょっと危ないので、ケースが必要とのこと。 せっかく作るならあとで後悔しないようなちゃんとしたものを作らないとと思って、仕事をしながら大まかなコンセプトを考えつつ、モヤモヤ~っという感じでしたができました。 何事も、全力投球で。   さて、製作が順調に進み、だし縫いも終わり、ヒールを取り付けるところまで来ました。 ヒールは接着剤とクギで取り付けます。 ちなみに、今日はカカトのトップピースと積み上げを合わせてヒールと呼んでいます。 たかがヒール、されどヒールです。 じつはヒールの仕様は、快適に歩けるか否かということに思いのほか大きな影響を及ぼします。 なにしろ、歩いていて最初に接地するのがヒールですし、靴を履いているときに体重の約半分を支えているのがヒールですから。 ですから、ヒールの仕様やセッティングはいい加減にするわけにはいきません。 写真を見て気づいた方いらっしゃいますか? 私たちシューリパブリックの靴のヒールは、いわゆるブリティッシュの靴と比べてもやや大きめです。 それは、ヒールを大きくすることで接地の際の衝撃を分散させたり、安定性を良くしたり、影響はわずかですがねじれ剛性を上げたりするなどの効果が期待できるためです。 ヒールが小さくてスタイリッシュなシングル仕様よりも、カカトが大きくてどっしりとしたダブル仕様の方が、長時間歩いた時に疲れが少なくて済みます。 また、写真ではイマイチわかりにくいかもしれませんが、ラストの設計上のヒールピッチよりもヒールをちょっとだけ低くしています。 これも、実は考えがあってのことです。 いろいろと考えて作って、お客様にはいちいち細かいことはお伝えしませんが、でも少しでも快適に履いていただけるよう心がけています。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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ブーツたち

今日は水曜日なので、私たちシューリパブリックの工房はお休みです。 そして、このお休みを利用して今日も浅草へ仕入れなどのために行ってきました。 往きは道も空いていて、予定していたよりもだいぶ早く到着し、早々に用事を済ませ、帰路につきました。 途中、ちょうど中間点の春日部あたりを走っているときに、 「ピーン!」 という音とともにクルマのメーターにエラーメッセージが・・・。 何やら、メーター関係の何かにエラーが発生したとのこと。 幸いそのままお世話になっているディーラーさんに向かえる状態だったので、連絡をしてディーラーさんへ向かいました。 クルマを診ていただいている間、ボーっとクルマの雑誌を眺めながら思ったのですが、 今のクルマは永く付き合えるような環境ではありませんよね。 年々新たな安全装備や環境性能が向上したモデルが発売され、そんな中でいくら気に入っているからと言って何十年も前のクルマに乗っていたら危険だし環境にだってよくないし、 今回の私のように故障してパーツを交換するにも、パーツがないなんてことにもなりかねません。 クラシックミニのように、長期にわたって生産され、世界中に愛好家がたくさん存在し、本国にだってちゃんとパーツの供給体制ができているようなクルマなら安心できますが、 今現在のクルマをこれからずっと乗っていたとしても、クラシックミニのような愛されるクルマにはならないでしょう。 いくら昔の愛嬌のあるモデルを模して作ったとしても、それはそれで背景にあるものは全く違います。 世の中の進歩が速すぎるから、永く大切に使いたいと思っていても使えない環境になりつつあります。 デジカメだって、携帯電話だって、そうです。 ギッチギチに隙間なく作ってあるから、壊れる可能性のあるパーツがたくさんありますし、当然に素人にはそう簡単に直すことなんてできないし、直すとなると修理ではなくアッセンブリー交換です。 世の中のプラットフォームだって、どんどん変わって行ってしまいます。 クルマやデジカメや携帯電話やパソコンや、とにかく今世の中がお金を稼ぐターゲットとしているものは、永く使わないことが当たり前のようになりつつあるように感じました。   そんな世の中にも、まだ永く使えるものがあることを思い出しました。 機械式の時計、革製品、ちゃんと作られた刃物だってそうです。 丈夫なテーブルや椅子、そして私がお勧めしたい足に合った靴。 それらはこれから永く使うというよりは、すでに永く使うモノとして確たる位置をすでに築いているものですが、永く使っていて嬉しいもの達です。 私は靴屋ですから靴についてお伝えしますと、 良い素材を使ってちゃんと作られた靴は、履き込んでいくにしたがってどんどん履きやすくなります。 修理をしてまた使い込むと、また更に履きやすくなります。 靴は使い捨てで仕事でたくさん歩きまわるから、壊れたらテキトーに安いヤツを買ってまた履き潰すという考え方も否定はしませんが、 自分の人生のある期間の相棒として、気に入った時計や靴を持つという生き方をしてみると、今まで気づかなかったことに新たに気付くということもあるのではないかと思っています。 これらが私が気に入って履いている私のブーツたちです。 そして、ここしばらく私はオリエントの機械式時計を使っています。 これらがいつも身の回りにあって、使いたいときに使えるというのは、自分の居場所があるということに似ているような気がします。 たとえ世の中があっちの方やこっちの方へ進んだとしても、自分のものとして人生を共に過ごせる靴や時計があるのは、非常に素敵なことだと思っています。   私はじつは昔から結構クルマが好きで、これまでも自分のこだわりでクルマを選んできたのですが、今日クルマの雑誌を見ていてほしいと思えるクルマがほとんどなくなってしまっていたことが非常に寂しく感じられました。 もうこの歳になったらそんなに頻繁に買い替えるのではなく、本当に気に入ったクルマに永く乗りたいと思っていたのに、そんなクルマがないのです。 本当にフツーのクルマで良いのです。 昔で言えば510ブルーバードとか、フォルクスワーゲンのビートルとか、ルノー5とか、後から振り返ってみると時代を超えてずっと愛されたようなクルマに乗りたいのです。 でも、今それらに乗ることは普段使いとしてはややリスクがあります。 そんな気持ちをぶつける先が、永く愛していただける靴を作ることなのです。 決して特別何か尖っているわけではなく、基本を忠実に守って、丁寧にしっかりと作り込まれているものこそ、後から振り返ってみると永く愛されるモノになります。 靴屋として作ることができるのですから、頼りになる人生の相棒を作らせていただきます。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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合理的論

カテゴリー: Message:伝えたいこと

パターン

私はよく「作業効率」とか「合理的に製作する」というようなことを言っています。 違う言葉で言えば、製作におけるムダを排除して、効率よく製作するということを意味しているのですが、この合理的が過ぎてしまうと味気ないモノになってしまこともあります。 このさじ加減が重要なところであり、作り手の考え方やセンスによるところが大きく影響する部分です。 たとえば、私がパターンを製作する場合、理屈が7割で感覚が3割くらいのバランスで製作しています。 というのも、イギリスの靴のパターンというのがそのように製作するようになっていて、たとえばくるぶしの高さとか屈曲する部分とか、いわゆる靴の主要なポイントはすべて数値で決まるようになっているのです。 私が指している部分がVamp Point と言いまして、パターンを作る際の基本になる部分なのですが、この位置も数値で決まります。 数値で決まりますから、ノーズが長いラストの場合にも変わりませんし、同じようなパターンをいくつ作っても、その都度位置が変わってしまうということもありません。 これは、オックスフォード(内羽)でもギブソン(外羽)でも同じです。 パターンに関してはイギリスの学校で全く違う2つのやり方を学びましたが、どちらもアプローチが異なるものの、結果的にはほぼ同じものができるというもので、基本は数値です。 そんな理屈が7割くらいを占めるイギリス的なパターンのつくり方が、私には妙にしっくりきます。   また、製作の際にクオリティを維持できる作業においては機械を使い、機械を使うとクオリティが落ちてしまうような場合は手作業で行うということも、合理的な考え方だと思っています。 なので、ラスティングやウェルティングは手作業で行っていて、手作業で行うメリットを十分に生かした靴を製作しています。 靴のコバを削る作業やだし縫いに関しては、工業製品として見たときに、機械を使ってもクオリティが落ちるとは考えられず、むしろ機械を使うことで時間が短縮するという作業効率の向上が認められるので、私は積極的に機械を使うようにしています。   そんなことを言うと、オーダーメイドなのに極めて一辺倒で味気ないモノ作りをしているように聞こえてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。 いくら少量生産といえども製品のクオリティにバラつきがないように、そしてムダな作業で無意味に価格が高くならないようにということを考えた上でのことです。 さらに言えば、ラストの調整において、お客様の足の特徴に対してどのようなフィッティングの味付けを加えるかとか、 パターンの製作において、いじることができる範囲でどのような雰囲気に仕上げるかとか、 ラスティングにおいて、どのようにして革の特性を生かし、包み込むような優しい履き心地を実現するかとか、型崩れしにくいつくりにするかとか、 ウェルティングやそのあとのセッティングにおいて、どのように疲れにくいつくりにするかとか、快適に歩いていただける仕様にするかなどを考え、 お客様の目的に合わせた靴にするかを楽しんでいます。   オーダーメイドの靴を作るなんて言うと、ちょっとしたデザインのラインとかステッチなどから始まって、いじることができる項目があまりにも多すぎるので、 私にはこれくらいの制約があって、それこそお客様からは見えないけれど、実際に永く履いていただいた時にその違いを実感していただける部分のさじ加減をいじれるくらいのほうが合っているのかもしれません。 なんたって、古くは「羊の革をかぶった狼」という言葉にあこがれた世代ですから。   合理的とは、決して優等生ぶって環境に良いとかゴミを少なくするとか、味や雰囲気まで削減してしまうなどということを目的としているのではなく、 よくよく考えて作ると最終的にはこうなるんじゃない?というところを目指して、本当のムダを削っていくことだと理解しています。 だから、昔のキャブレター仕様のクルマはムダではないですし、めちゃくちゃ燃費の悪いバイクだってムダではありません。 単に好きか嫌いかとか、環境に良いか悪いかとか、安全か否かという尺度の違いに過ぎないことです。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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オールソール交換

ちょうど1週間前のブログで、Nさんの靴の修理が完了したという話を書きましたが、 そのNさんから次の修理の靴が届きました。 Nさんは、数足の靴をお持ちで、今回はそのうちの3足を交代で修理(オールソール+リウェルト)してほしいというご依頼を頂いています。 全部修理に出してしまったら、毎日の靴のローテーションが厳しくなってしまいますから。 そんなわけで、今回お預かりしたセミブローグですが、ソールがこれくらいすり減ったらどれくらいの厚さになっているのか確認してほしいということでしたので、 ダイナイトの意匠のひとつが完全にすり減った状態の厚さを測ってみたところ、 だいたい2.2ミリほどでした。 ちょうど修理をするのに良いタイミングです。   Nさんは、非常に積極的に靴を用状態に保とうとしていらっしゃる方で、履いていて気になることがあればご連絡してくださいますし、雨に濡れてしまった時の対応に関しても細かく確認してくださいます。 お客様の中には、私に気を遣ってくださってあまり細かいことではご連絡されない方もいらっしゃいますが、 まずわからないことや判断に迷うことなどはどんどん訊いていただきたいと思います。 そして、少しずつ覚えていくとだいたいのことに関して規則性が見えてきますので、あとはご自身でお好みの通りにしていただきたいと思っています。 初めのうちは、きっとわからないことが多いですから、初めのうちこそどんどん質問してください。   今日の午前中に到着したNさんのセミブローグですが、あらかじめご連絡を頂いていて準備をしていましたので、すでにウェルティングまで完了しています。 通常でしたら、だいたい3週間くらいのお時間を頂くのですが、今回はタイミングよく進めることができました。 Nさん、完成しましたらまたご連絡させていただきます。 もう少々お待ちください。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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ギリーブーツ

今日のお客様は、東京都にお住いのYFさんです。 ご注文いただいた靴が完成いたしましたので、納品&フィッティング確認のためにお越しいただきました。 YFさんは、もう10年以上のお付き合いになるお客様です。 早速履いていただきました。 今回完成したのは、プレーンのギリーブーツ。 スムースの革を使っていますが、この革がちょっとおもしろい革で、いわゆる普通のスムース(私どもで扱っている革で言うとブガッティなど)とは異なり、柔らかいのにハリとコシがあるという革です。 なので、今日初めて履いていただいたのに、すでに履き込んでいるかのような優しい履き心地になっているのです。 YFさんも、履き心地も問題なしとおっしゃっていました。 また、男性用のギリーではつま先にストレートやウィングのキャップをつけることも多いのですが、今回のYFさんのギリーブーツはプレーンの仕様です。 このあたりもYFさんのこだわりです。   今日は奥様も一緒にお越しいただいて、奥様の靴をご注文いただいたのですが、 さすがシューリパブリック歴10年以上のYFさんは、靴のデザインなどに関して事細かに奥様にアドバイスしていらっしゃいました。 やっぱり実際に履いてくださっている方のご意見が一番重みがありますね。 奥様の靴の完成も今から楽しみです。 今日もありがとうございました。 靴のスペック デザイン:ギリーブーツ レザー: キップ ソール: ダイナイトソール ラスト: マイサイズラスト(SRD+サイズ調整) 製法: ハンドソーンウェルテッド     シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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