ここ最近の世の中の動きとして、特に欧米の感度の高いセレブの中にはレザーのものを持たないといった風潮があるようですが、まぁ確かに革というと今の世の中の流れに対して良くないともいえる部分もあります。
具体的に言うと、生きている動物の革を使うこと、そして革を作るうえで環境負荷になること、大きく言えばこの2点だと思います。
生きている動物を殺してその革を使うと言ってしまえば、そうとられてしまうのかもしれませんが、革のことをよくよく知っていくとそれほど目の敵にするべきものではないことがわかってきます。
たとえば、牛の革は私たちが牛肉を食べた残りの部分を使う、いわゆる廃物利用です。
牛肉を全く食べないで革だけ使うということなら、それはちょっとどうかと思いますが、おそらく多くの方々がスーパーや肉屋さんに行って牛肉を買ってきて食べていると思いますし、基本的にはその食用の肉以上の皮は出てこないはずなので、このことをまず知っておいてほしいです。
肉を食べることそのものを悪と捉えることもありますが、それに関してはいろいろな考え方があることを理解したうえで、私個人的には人間が肉を食べることは世の中の食物連鎖に則っていることだと思うので、それはあっても悪いことではないと考えています。
ただ、むやみやたらに生き物を殺すことには賛成できませんし、食用としていただく命はムダにすることなく有効に使うべきだと思っています。
ちなみに、皮と革の違いですが、皮の方はなめす前の状態を意味します。
そして、革はなめした以降のものを意味します。
話を戻すと、私たちが牛肉を食べている限り、材料としての皮は発生するわけですし、それらを有効に使うということで革を作るのは理に適ったことになります。
そしてもうひとつの環境の問題ですが、これに関しては詳しい情報がないのであまり詳細をお伝えすることができませんが、聞いたところでは昔に比べるとだいぶ改善されているそうです。
一方で、革はじつは非常に理に適っていると言える面もあります。
ひとつは、先ほどお伝えした食肉の副産物であること。
廃物として出てくるものであり、すばらしい材料であるので、使わない理由がありません。
そして、革は大変耐久性に優れているという点が、これまた重要なポイントになります。
例を挙げると、革で靴を作る場合と合皮などの素材で靴を作る場合、将来的に合皮のクオリティが上がっていくことは考えられるものの、それを考えても革の耐久性は全然比になりません。
革靴を作って履いた場合、普通にメンテナンスをしてソールが減ったら修理をするとしたら、一生とは言わないまでもだいたい20年くらいは履き続けられるはずです。
20年も履ける靴を他の素材で作ろうとしたら、環境面で考えた場合、革に比べてもっと大きな負荷になっているはずです。
それも、ただ耐久性が高いだけではなく、蒸れないことや足に馴染んでくることなど、革だからこそ可能な部分がたくさんあり、革を使って靴を作ることに大きなメリットを感じられます。
これは靴ばかりではなく、革小物と言われるモノにおいても同様のことが言えるはずです。
ただ、そういう私もどこまで革の環境における負荷を知っているのかと言われれば、たかが知れていますが、時代の先端を走っているらしき人が「革は悪だ」と発信したからと言ってそれをすべて真に受けて同調するのは良くないと思っています。
Aという意見があればBという意見もあり、もしかしたらさらにCという意見もあって、それらの真相では自分が思っていたのと全く違うということだって十分に考えられます。
私が伝えたいのは、革は廃物利用であることと、耐久性を考えれば素材として十分に優れていることです。
先日、レザーフェアの招待状が届いた時に一緒に入っていた冊子にそんなことが書いてあったので、私の考えも添えてお伝えしてみました。
私たちシューリパブリックでも、たくさんの革を使っていますが、購入した革はできる限りムダなく有効に使いたいと考えています。
そのためにも、時々企画としてお伝えしている「幸運のラストワンプラン」にご協力ください。
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