少し前から、お客様の靴に合わせたシューツリーの販売をしています。
シューツリーなんて、いくらでも市販品があるのでそんなわざわざ加工してまでと思われるかもしれませんが、じつは靴のラストは思っているよりもずっと薄くて、市販のシューツリーをそのまま靴に入れると靴を押し広げて変形させてしまうのです。
こちらは、あるお客様のラストです。
なかなかラストをご覧になる機会って多くないと思いますが、ラストは単に足の形を再現しているものではなく、靴になった時にしっかりと足をホールドすることを考えたうえでの形なので、足の形とは微妙に異なるのです。
ラストを横から見るとこんな形をしています。
シューツリーの話でもお伝えしている通り、この今私が計測している部分は折れジワの問題やフィッティングの問題もあって、ギリギリで薄くなるようにしています。
この部分の厚さは・・・、
ちょうど35㎜でした。
これに対して、シューツリーを見てみますと、
既製品のシューツリーと先ほどのラストを比べてみると、ぱっと見ではさほど違和感はありませんが、
靴を作っているものからすれば、この部分の厚さが厚すぎでこのままではいけないと感じます。
もし、このままこのシューツリーを靴に入れてしまうと、先ほどもお伝えした通りせっかく履きやすくなるように薄く作った靴を押し広げてしまって、大きなシワが入ったりフィッティングの悪化につながってしまうのが目に見えています。
ちなみに、シューツリーのこの部分の厚さは・・・、
39.6㎜でラストと比べて4ミリ以上(4.6㎜)も厚さが厚いことがわかります。
たかが4ミリと思うかもしれませんが、厚さの4ミリは大きいですよ。
オーダーメイドの靴では、足囲で1ミリや2ミリの調整をして足にフィットさせているという世界なのに、今回のこのケースでは厚さで4ミリの差、言い換えれば断面で直径が4ミリ大きいのと同じイメージなので、
あくまでの机上の計算ではありますが足囲で12ミリ以上の差ということになって、2Eの足の方が4Eの靴を履くようなイメージになります。
ここで知っておいていただきたいのは、まず靴のラストはイメージよりもずっと薄いということ。
私たちが靴を見る時には、インソールやソールが付いた状態で見るので、靴の内部もそれくらい熱いって勘違いをしてしまいがちです。
そして、合わないシューツリーを使っていると靴をどんどん履きにくくしてしまうということ。
そもそもシューツリーの目的は、靴を履き込んで反ってくるのをまっすぐに戻すことなので、必ずしもシューツリーじゃなくても何か代用品で目的を果たせるものがあればそれでよいのです。
シューツリーは、上手に選んでください。
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