オーダーメイドの靴を作るときには、足に合わせてラストを調整します。 どんなに丁寧に正確に靴を作ったところで、足に合っていないことにはベストなフィッティングにはなりません。 では、足に合わせるとは一体どういうことなのでしょうか? じつは、私も靴の学校に入ってから知ったことですが、靴は思っているよりもギュッと締め付けている必要があるのです。 こちらの写真は、今日私が自分で自分の足を計測したところなのですが、本来ならちゃんと立った状態で計測する必要があるため、あくまでもイメージ写真としてご覧ください。 この状態は、ジョイントの部分を実際の足囲そのまま(締め付けず)に測っています。 数値は、237mmくらいです。 もしこの数値でラスト(木型)を作ってしまうと、間違いなく緩くて靴の中で足が暴れてしまうことになってしまいます。 では、締めればよいかというと・・・、 これはどう見てもきつすぎ。 ちなみに、この状態で207mmでした。 では、どれくらいの締め具合が良いのかというと、それは作り手のロジックによるところです。 今回のケースでは、237mmでは緩く207mmではきついということは間違いないのですが、正解はどこなのでしょう? 結論から言ってしまえば、たぶん正解はありません。 正解はないのですが、作り手はこの足の状態はこのくらいの締め具合が適しているという感覚を持っていて、そのロジックによってラストの数値(足に対する締め具合)を決めています。 ジョイントにおいては、私はこれくらいの締め具合が最適だと判断しています。 229mmでした。 今回のケースでは、完全なフリーの状態(237mm)から8ミリほど締めた数値でしたが、これはその方の足の肉付きや状態などによってかなり変わってきます。 また、ジョイントではなくインステップを測る時には、また締め具合が変わります。 つまり、革で作られる靴はスポンジと違って常に反発があるわけではなく、その条件下でそれぞれのポイントを最も適した締め具合で締める必要がありますので、極めて正確さが要求されるのです。 私は医師ではないので医療分野に属する処方はできませんが、靴屋としてお客様が快適に歩いていただけるよう、足を少々鍛える方向でセッティングさせていただいています。 ラストの調整においては、単なる数値で終わらせることはなく、形状に関しても非常に細かく調整をする必要があるのですが、形状に関しましてはまた別の機会に書かせていただくことにします。 ★★★お知らせ★★★ #SRF×オックスフォードは、オーダー受付中です(数量限定)。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
… 続きを読む靴の仕事を長くやっているともう当たり前になってしまうことがたくさなります。 思い起こせば、私が靴の学校に入ったばかりの頃に、靴にたくさんくぎを打つことに対して大変な違和感を感じたことがありました。 だって、クギを打って穴が開いたのに、それって全く気にしないわけですから。 先日ちょっと書いたあのカカトのクギもそうですが、 こうしてウェルティングの際に仮留めのクギは抜くものの、インソールに開いた穴はそのままなのです。 私は変なところで完璧を求めるところがありまして、いくら表からは見えないところでもやっぱり気になります。 そのクギを抜く前は、こんな状態です。 でも、何年もこのようなクギ穴に慣れ親しんでくると、次第に気にならなくなってしまい、製作の上でもこれが非常に合理的であり、むしろこの穴はしっかりとハンドラスティングによって丁寧に靴が作られた証と思うようになりました。 なので、もし靴のインソールにクギ穴が開いていて気になった方は、丁寧に作られた証ということで、ご理解をお願いします。 ★★★お知らせ★★★ #SRF×オックスフォードは、オーダー受付中です(数量限定)。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
… 続きを読む今日、お客様のSIさんからご連絡があって、もしできたらもう一度足の採寸をしていただけないかとのこと。 それも、実はSIさんが靴をご注文いただいた時(ちょうど1か月前)には、その少し前に足を痛めてやっと治ったというタイミングだったのですが、ここ数日は以前のような張りがなくなって調子が良くなっているので、もしかしたら足のサイズが変わっているのかもしれないとのことでした。 こちらの都合もOKでしたので、午後からお越しいただきました。 そして、採寸したのがこちら。 ちょっと見にくいのですが、これは右足を測ったもの(もちろん両足とも採寸しました)で、向かって右側が前回で左が今回の採寸結果です。 結論はというと、ほとんど変わっていませんでした。 SIさんも、 「えーっ!変わっていなかったか!」 とおっしゃっていましたが、ともあれモヤモヤが晴れて納得していただいてよかったですねという話で今日は終わりました。 SIさんがお帰りになって改めてこの採寸結果を見てみると、確かにほとんど変わっていないのですが、唯一ウェストの締めた数値が前回の245mmに対して今回が241mmという、SIさんにしてはやや大きな変化がありました。 そういえば、SIさんが足を痛めたというのはこの辺りだとおっしゃっていましたから、改めて見てみれば4ミリほどですが数値が変わっていたということになります。 SIさん、やっぱりお越しいただいてよかったですよ。 ラストの調整に反映させていただきます。 ★★★お知らせ★★★ #SRF×オックスフォードは、オーダー受付中です(数量限定)。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
… 続きを読む巷ではもうゴールデンウィークに入っていて、みなさんあちらこちらにお出かけになるようで、高速道路の渋滞情報によると結構な渋滞が出ているようですね。 私は、世の中がそんなお休み気分にのんびりと仕事をするのが好きです。 さて、今日は一日作業の日。 これからやろうとしている企画がたくさんあって、サンプルの製作が急がれます。 久しぶりにサドルシューズのパターンを作りました。 実は、私はパターンカッター(パターンナーと言います)といういわゆる靴のパターンを作る仕事を長くやっていたので、パターン作りに関してはそれなりにこだわりがあります(と言いながら、ラスティングやウェルティングのこだわりがあります)。 靴のパターンは、表のパターンと、ライニングという裏のパターンを作るわけですが、表のパターンはデザイン性が要求されるのに対し、ライニングのパターンは靴の機能性に関わってくるのです。 私は靴の機能も重要な要素だと思っていますから、ライニングのパターンにはとりわけこだわりを持ってしまいます。 ライニングのパターンは、本当に作り手の個性が出てくるものですね。 パツンとまっすぐに剥いでしまう方もいれば、剥ぎナシという方もいますし、私の場合はラストの形状にのっとった剥ぎにしたりと、本当にさまざま。 そんなライニングのパターンですので、このサドルシューズのライニングもそれなりにこだわりを持って、あーでもないこーでもないと考えながら作りました。 パターン作成は、数学とも違いますし、美術とも違いますし、でも追求していくと納得のいく答えが出てきて、これがとても楽しいのです。 ★★★お知らせ★★★ #SRF×オックスフォードは、オーダー受付中です(数量限定)。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
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