先日テレビで、3Dプリンタを使ってラスト(木型)を作るというレポートを観ました。
これまでほとんど進歩が見られなかった靴の業界が、一気に加速したように感じました。
とても素晴らしい取り組みだと思います。
おそらくまだ始まったばかりですから、改善の余地がたくさんあるでしょうけれど、それでも始めなければ何も変わりませんから、そういう意味でも素晴らしいことだと思います。
ただその番組の中で、足の写真をたくさん撮って、そこからラストができることが素晴らしいように伝えていましたが、それは間違いです。
たしかに、これまでのようなアナログ&古典的な輪郭をとってメジャーで測って、そのデータをもとに木型屋さんに発注することに比べたら、格段にスピードが速くなっていて大きな進歩であることは間違いないのですが、
足の実寸からラストのサイズに変換するのは、古典的な方法でも最新のコンピュータでも、そのロジックを考える人によるところであることは違いなくて、
これまでの方法では、アナログで足を計測→そのデータに対してどれくらい絞るかを人間が算出→算出した数値になるようにラストを調整
というやり方に対して、
3Dプリンタでは、機械で足を計測→そのデータに対してどれくらい絞るかを人間が考えたロジックによって機械が算出→算出した数値になるように3Dプリンタでラストを製作
ということになるはずです。
ちなみに、まだ今ならアナログで足を計測することは、専門家がやれば機械でやるよりもより詳細に読み取れると思います。
なので、今現在の3Dプリンタを使った方法のメリットは、その場でラストが作れるために、作業性が良くなったということが一番大きいと推測します。
ラストを作る上で要となるのは、計測した足のデータに対してラストはどれくらい絞ってあげるかということなのです。
以前から何度かお伝えしている通り、足の数値そのままでラストを作ってしまうと、これは緩くてとても履けない靴になってしまいます。
ですので、足の状態を把握してどれくらい絞るかを決めるのが作り手の技術と言えます。
私も今日は、ご注文いただいたお客様のラストを調整していました。
もし仮に違う2人のお客様が偶然計測した数値が同じだったとしても、足の状態や肉付き、そのほかの条件で、製作するラストは全く違う数値で違う形状のモノになる可能性が高くなります。
そして、ラストを調整するときには、履き込んで馴染む数か月後、もしくは1年後を見据えて作るのです。
とっても深くてとっても面白い作業です。
★★★お知らせ★★★
【お知らせ1】 次回のRifare大阪店さんでの計測会&オーダー会のイベントは、4月15日(土)に開催です。
【お知らせ2】 4月16日(日)には、神戸三宮のSUNさんへお伺いします。神戸周辺にお住まいのみなさま、ぜひお越しください。
【お知らせ3】 3月31日(金)〜4月1日(日)に開催される、コージ製靴新潟工場さんのファミリーセールに出品することになりました。今回は、ちょっと厚めの革でチャッカブーツを作って出品する予定です。詳細は、後日お知らせいたします。
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