先日のブログでは、オーダーメイド靴は足に合わせて作るのでとっても歩きやすくて疲れにくいということを書きましたが、今日はもう少し深く踏み込んでみたいと思います。
ちょっと見にくいかもしれませんが、こちらは先日ご注文いただいたお客様(仮にAさんとしましょう)の計測のデータです。
この方は、ご自分の足に関して特に問題点があるようにはおっしゃっていませんでしたが、私たちのような靴屋から見れば仮に既製品の靴を選ぶ場合にはそこそこ大変な足です。
というのも、足長から見ればUKサイズで7 1/2というサイズ(日本サイズでいえばだいたい25.5cmくらい)になるのですが、足の幅が結構広く、計測データの足の輪郭を見るとコッペパンのような足かと思いきや、
じつはジョイント(屈曲点)の足囲よりもインステップ(甲)の足囲の方が大きいという、非常に甲の高い足なので単にウィズが4Eの靴を選べばよいということにはなりません。
一般的な既製品の靴は、ジョイントとインステップの数値を比べると、ジョイントの方が3~5ミリくらい大きいのが普通で、もしこの方に足長が7 1/2でウィズが4Eの靴を履いていただいたなら、ジョイントは緩すぎでインステップはキツイというフィッティングになってしまうのです。
さらに言えば、このお客様は足の幅に対してカカトがやや小さめなので、既製品の4Eの靴ではカカトも不安定になってしまいます。
ちなみに、足長がだいたい同じくらいのお客様が少し前にいらっしゃって(こちらをBさんとしましょう)、その時に計測したデータがあるのでそれぞれの右足を並べて比較してみたのですが、
これくらい違いました。
違うお客様だから、足の形や数値が違っていて当然と言えば当然なんですけど、もし私がなにもアドバイスしないでそれぞれのお客様に足に合う既製品の革靴を買ってきてくださいって言ったとしたら、お二人の足の足長が同じくらいなので同じサイズの靴を買ってくるかもしれません。
ところで、もし私たちがTシャツを買う時に、実際の身体の寸法と比べてどれくらいの誤差までOKなのかというと、おそらく数センチといったところではないかと思います。
私の場合、ZOZOTOWNで買う時にはピタリで着るなら肩幅が44センチのものを選ぶのですが、デザインが気にってサイズがない時には46センチくらいまでならOKとしています。
それに対して革靴の場合は、ジョイントやインステップがどれくらいの誤差ならまぁまぁちゃんと歩けるのかというと、私が思うところでは±2㎜までです。
それ以上緩いと靴の中で足が動いてしまってすごくストレスになりますし、それ以上きついとやはりタイトすぎてストレスになってしまいます。
靴のフィッティングは、服に比べてOKのゾーンが非常に小さく、なのにサイズの選択肢は往々にして足長で選ぶしかないという状況になっているのです。
Aさんは、ご自分の足が既製品の靴に対して合わないという認識は全くなかったようで、実際に計測したデータと既製品の標準的なデータをご覧になってちょっと驚いていらっしゃいました。
たぶん、ほとんどの方がご自分の足は既製品のサイズで何の問題もないと思っていらっしゃって、そのことに何の疑いも持っていないようなのですが、実際に靴をオーダーしていただいて足に合った靴を履いてみると、足に合った靴とはこんなに楽でストレスがないのかと驚き、それまでに履いていた合っていると思っていた靴が合わなかったことを実感するというケースがほとんどです。
実際、既製品のサイズだけではすべての方を賄い切れていませんし、そんな状況をご存じないまま合わない靴を履いている方がとってもたくさんいらっしゃいます。
むしろ、靴は足に合わせて作ることが今後の常識になっても良いと思っています。
実際に知ると驚くことばかりなのです。
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