以前からハンドソーンウェルテッドの靴はスバラシイということをお伝えしてきました。
たぶん、それはこの先何年経っても変わることのない事実です。
構造と、その構造がもたらす履き心地や安心感、そして履いていて嬉しくなるのは、ハンドソーンならではのことです。
そのハンドソーンウェルテッドですが、これも以前からお伝えしている通り、ちゃんと作られていないと意味がありません。
何でも構わないからそれらしきものを作ったところで、本来のハンドソーンウェルテッドのすばらしさを感じることができないのです。
このことは、じつは一般の方には判断が難しいので、もうこれは専門の知識を持った方に相談するほかはありません。
何がそんなに難しいのかと言いますと、
ちょうど今日ウェルティングをしましたのでご覧ください。
こんな感じでウェルトを縫い付けていきます。
オウルで下穴をあけ、先端にブリストルの付いた糸を内側と外側から通し、ギュッと締めます。
基本的には、その作業の繰り返しなのですが、
写真を見て気づいた方はいらっしゃいますか?
ウェルトを縫いつける位置は、何のマークもなく、まさに作り手の感覚に委ねられています。
下穴をあける位置やオウルを挿す角度も、縫うピッチも、糸を締めるときの力加減も、みんな作り手の感覚次第です。
なので、よほど素晴らしい感覚を持っている方でない限り、私の感覚で最低でもは7~8年くらいの経験を積まないとちゃんと縫うことができません。
たくさん作って、その作ったものを何年か後に確認して、そのうえで自分の作り方が正しいかどうか判断します。
作り手は、たくさんの経験を重ねることで、身体が精密機械のようになっていきます。
こんなふうに作ったら、履き込んだ時にこんなふうに変化するだろうということも見えるようになってきます。
とっても深いです。
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