こちらは、ただいま製作中のあるお客様の靴ですが、
この中で、キャップの端にある穴の飾りをご覧ください。
イギリスのノーサンプトンでは「perforate(パーフィレイト)」と言い、日本では「親子穴」と呼んでいます。
親子穴とは、大きい穴が親で小さい穴が子供ということですね、きっと。
ちなみに、ノーサンプトンではこのperforateを含む端の装飾をまとめて「edge treatment」と呼んでいます(端をギザギザに裁断するものなどもあります)。
呼び方はいろいろあるのですが、とりあえず今回は「穴飾り」とさせていただきます。
この穴飾り、もともとはイギリスでハンティングなどをする人が湿地にワシャワシャ入って行って、靴が濡れてしまったのを早く乾かずためにあったと聞いています。
でも、今となっては革靴を履いて湿地に入っていく機会はほとんどなく、実際にはまさに飾りとなっています。
そしてこの穴飾りは、こんなものを使って開けています。
こちらがΦ3mmのパンチで、
そしてこちらがΦ0.8mmが2つつながったパンチです。
なんと原始的な方法で開けているのかとビックリするかもしれませんが、靴の製作は機械を使うと言っても道具が電気で動いているようなアナログなものが多いので、このようなものがあっても知っている方は全く驚かないと思います。
なので、じつはこの穴飾りのあるデザインの靴の製作は果てしなく困難で(ちょっと大げさですが)、
いつも「千里の道も一歩から・・・」と唱えながらやっています。
まぁ、それはちょっと大げさですが、私たちのように手作業で行う場合は、パターンに全ての穴のセンターの位置をマークして、そのパターンを使って今度は革にマークして、
そのマークの通りに上の写真のパンチでひとつひとつ穴をあけて、さらに穴を開けたままではライニングの裏側が見えてしまうので、革を穴の列の形に細く切って薄く漉いて裏側から貼り付けます。
たいへんです。
ちなみに、大量生産をする既製品の場合は、裁断する抜き型にあらかじめパンチを取り付けておいて、裁断すると同時に穴も開くという、極めてスピーディーな方法で製作しています。
そんな時間と手間をかけて製作する穴飾り付きの靴ですが、やはりプレーンの靴に比べるとそれなりに雰囲気があってとっても格好良いです。
靴のキャラクターとしては、その生い立ちからカジュアルなものとされますが、そのあたりをしっかりと理解して履いていただくのであれば、お仕事でもまぁ問題なく使えるかと思います。
もし、ちょっと抵抗があるという方は、ストレートキャップの端のみに穴飾りを開ける「パンチドキャップ」というデザインからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
穴飾り付きの靴は、私個人的にはお勧めです。
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②4月21日(土)には、大阪北堀江のRifare大阪店さんにて、恒例の「足の計測会&靴のオーダー会」のイベントを開催します。大阪近郊にお住いの方、ぜひいらしてください。
③4月22日(日)には、神戸三宮のSUNさんにて、シューリパブリックのハンドソーンウェルテッドの靴のオーダー会を開催いたします。神戸近郊の皆様、ぜひお越しください。
どのイベントも、オーダーするしないにかかわらず、靴に興味があるとか、靴のフィッティングに問題を抱えているとか、とにかく作り手である私たちに質問を投げかけたり、相談したりということも大歓迎です。
もしかしたら一緒に問題を解決ということになるかもしれませんが、何かしらお役に立てるのではないかと思います。
おばあちゃんが、ご近所のおうちの縁側にお茶を飲みに行くような感覚で、ぜひお気軽にお越しください。
シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。
スケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
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