ハンドソーンウェルテッドのオーダーメイド靴というと、昔はレザーソールでだし縫いは手縫いというのがよくある仕様でしたが、
私たちシューリパブリックの靴は、スタートしたころからだし縫いは機械縫いにこだわっています。
こちらは、結構前に作ったサンプルのギブソンブーツです。
ちょっと見にくいですが、もちろんこのブーツのだし縫いも機械縫いです。
私たちが機械で縫うだし縫いをお勧めするのには理由があります。
機械縫いにも手縫いにも長所と短所があるのですが、機械縫いの調子がまさに私たちが求めているものだったということで、そのような仕様にしました。
そんな機械縫いの長所とは、
① 作業効率が非常に良いこと。手縫いに比べると、機械縫いは何十分の一の時間で完了します。
② それに伴って作業工賃もかなり安くなります。
③ 機械で縫うことの最も大きなメリットが、縫いのピッチやテンションが非常に正確であること。
④ 機械縫いの場合、ロックステッチで上糸と下糸という関係になり、下糸が仮に切れたとしてもそのロックの構造でソールが簡単にはがれることがない。
⑤ 合成ゴムのソールを縫うことができる。
など、主だった理由はこんな感じになります。
逆に、機械でできないこともありまして、ベヴェルドウェストのような非常に入り込んだ形状の場合には、縫いにくい、もしくは縫えないこともあります。
また、ピッチの細かさに関しては、手縫いのほうが細かくなると聞いています。
ですが、私たちはそのような芸術的な部分はあまり追及しておらず、どちらかというと強度とか履きやすさが大切なので、
機械縫いの苦手な部分は私たちには全く不要なことでした。
価格を抑えることができて、丈夫で履きやすい靴を作るためには、だし縫いを機械で縫うことは非常に適しています。
クオリティを守るために手作業でやらなくてはいけない部分もあり、そのような点においては妥協することができません。
そして、それとは違う部分のクオリティを保つことや実用的な部分を維持するために、だし縫いを手で縫わないことも、言ってみれば妥協できないポイントなのです。