こちらは、ただいま製作中のお客様のフルブローグブーツです。
片足だけウェルトを縫い付けた状態です。
じつは、靴の形やバランスはウェルトやソールの有無によって非常に大きく影響されると言えます。
こうしてパッと見たところ、ウエルトが縫い付けてある向かって右側の方がバランスよく見えませんか?
これに関連した話で、こんなことがありました。
まだ私が靴の仕事を始めたばかりの頃のこと、私はある靴のメーカーでパターンを作る部署に配属されまして、まだ駆け出しの新人だったのに早速新商品のパターン製作の仕事をさせていただくことになりました。
ただ、周りの先輩たちは、外国で靴づくりを習ってきたと言っているものの経験が極めて少ない新人のパターンが心配だったようで、一度要らない革で試しに作ってみましょうということになり、私の作ったパターンを元に裁断のチームの方やミシンのチームの方、そしてラスティングのチームの方が作業に携わってくださいまして、ソールをつける前までの状態の靴、まさに写真の向かって左側のような状態のものを作っていただきました。
その時の先輩の評価は、バランスが良くないとのこと。
こんなアンバランスな靴じゃ売れないから作り直すようにと言われたのですが、ある方が・・・、
「ちょっと待て、こういう靴ってソールをつけてみると意外と変わって見えるかもしれないんじゃない?」
と言ってくれたことで、半信半疑で片足だけソールをつけてみることになったのですが、なんとソールをつけてみたところ、それまでと全然変わりまして予想外にバランスの良い靴が出来上がったということがあったのです。
今回の製作途中の靴に関しても、ウェルトまで縫い付けてあるものは靴としてバランスが良く見えるようです。
特に、比較的ノーズが短めのイギリス靴はその傾向が強くて、お客様の中には途中の状態の写真を見て心配になったという方も過去にいらっしゃったことがありました。
普段から見慣れている私たちでも、時々心配になったりすることもありますが、毎回杞憂に終わっています。
その他、靴の形はなかなか複雑な形状なので、味方によってとっても不格好に見えたりすることもあり、慣れないと目の錯覚に振り回されてしまうことも多々あるようです。
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