以前は、オールソール交換+ウェルトかけ直し修理という表現でしたが、実際には内部の補強やボトムフィラーのコルクなどまで新しいものに交換しているので、オーバーホールという表現に変更することにしました。
そして、そのオーバーホールでお預かりしたこちらの靴がキレイに仕上がりましたので、お客様にお返しいたしました。
ちなみにこちらの靴は、少し前にインスタでアップさせていただいたもので、私たちの10周年記念モデルのチャッカブーツです。
2013年に製作したものなので、もう9年が経ちます。
大切に履いていただいて、本当にありがとうございます。
通常、ハンドソーンウェルテッドの靴はソールが減ってきたときにはソールやヒールのみを交換するのですが、私たちシューリパブリックではそのほかにウェルトから下のパーツをすべて交換するオーバーホールも承っております。
オーバーホールのメリットは、どうしても長期にわたって履いてきた靴の場合、ウェルトを縫いつけているリブというパーツ(インソールの裏側に加工したものです)がわずかに痩せて来て、そのためにウェルトを縫っている糸がほんの少しですが緩んでしまうことや、
その糸が履き方によっては劣化してしまうといった不安要素を全て払拭して、初めのころのシャキッとした履き心地に戻してあげられることが挙げられます。
すでにたくさん履き込んだ靴なので、インソールは足の形に合っていますから、その状態からパーツをシャキッとさせるので、この上なく履きやすくなります。
ソールが新しくなっているだけではなく、初めのころのあのコロンとしたソールの形状も蘇っています。
実際のところ、最近は環境問題のこともあって、永く使えるものを選んで使いましょう的な考え方が良しとされてきていますが、そういうものは買う時の出費がそこそこ大きく、気軽に買えるものではないと言えるかもしれません。
量販店で靴を買う時には、1万円で買えるものがたくさんあるのに、その10倍もするオーダーメイド靴にそれだけの価値があるのかと思ってしまう人がいるのは当然です。
正直に言ってしまえば、単にコストのことだけで比べればオーダーメイドが圧勝という訳にはいきません。
1万円の靴を1年履いたとして、10年以上履けるオーダーメイドの靴でも、途中で今回のようなオーバーホールが必要になりますから。
ですが、オーダーメイド靴は履いている時の心地よさ、つまり心に及ぼすメリットが量販店の靴に比べて何十倍、何百倍、いやそれ以上であることや、足に合わせてちゃんと歩けるように作った靴であることから、何かの理由で長時間歩かなくてはいけない時にトラブルなく歩けることなど、安心という部分で大きく差が出ます。
普段から足に合った靴を履いていれば、歩き方に変な癖がつきにくかったり、もしくはちょっと出かける時にも積極的に歩こうという気持ちになったりして、健康面で更なるメリットを得られるかもしれません。
私が皆さんに知っていただきたい、もしくは実際にやっていただきたいのはこの部分なのです。
普段からクルマ移動が中心の生活で、運動することもなく、歳をとったら足腰が弱ってしまうようでは淋しいです。
せっかく足に合った靴を買ったのだから、今日はちょっと歩いていこうとか、今日は一駅くらい歩いてしまおうと思えるような環境にお連れしたいと思っています。
良くお客様にお話しすることは・・・、
「そんな良い靴を作ったところで、履いていくところがないよ。」
とおっしゃる方に、
行くところがないから靴が要らないのではなく、靴があるからどこかに行ってみようという気持ちであって欲しいということをお伝えしています。
私も、自転車を買ったからお休みの日に自転車で遠くに行くようになりましたし、
カメラを買ったから、家族と一緒にたくさん出かけて家族の写真をたくさん撮るようになりました。
靴を作ったから、たくさん出かけたりいつもよりもたくさん歩いたりして、足から健康になったと言っていただけるように。
このチャッカブーツのお客様も、普段から本当にたくさん歩いていらっしゃいます。
そのような方に私たちシューリパブリックの靴をお選びいただいて大変光栄です。
ぜひまたこの靴を履いて、たくさん歩いてください。
ありがとうございました。
★★★お知らせ★★★
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