先日、お客様のKさんよりご連絡がありまして、昨年末に納品させていただいたサイドゴアブーツ(Kさんの1足目の靴)について長時間履いていると足が痛くなってしまうとのことでした。
数時間のお買い物の際に履いていらっしゃったそうで、
1回目 足を押さえる甲の部分に圧迫感があり、左足小指上部(付け根より上)外側に少し痛みあり。
2回目 甲の圧迫感はなし。左右の小指外側、左の小指上部外側、足裏も指の付け根あたりが痛く特に左の痛みが強く、帰宅後裸足になると、左右共に赤くなっている状況。
とのことでした。
そんなわけで、お忙しいところ本当に申し訳なかったのですが、再度工房にお越しいただきまして、靴の調整をさせていただきました。
じつは、このご連絡をいただいてから工房にお越しいただくまでの間に、Kさんに次のようにお願いしておきました。
できれば1日10~15分くらい×数回、おうちのご近所、もしくは何かの用事で外出の際に履いてみてください。
短時間お履きいただいて、このような症状が出るかをご確認ください。
そして、お履きいただく前に靴の中を軽くドライヤーを当てるなどして温めてから履いていただければと思います。
これを見てなんとなく今回の原因や私がお願いした意図が分かった方は、かなり靴に詳しい方かもしれません。
今回のKさんの靴は先ほども書いた通りサイドゴアブーツで、Kさんは1足目からサイドゴアブーツを作ったのが良くなかったのかも?と心配されていましたが、それはさほど関係ありません。
早速履いて歩いていただき、状態を確認してから調整を始めました。
この時期はストーブをつけているので、このストーブを使って調整です。
ちなみに、この写真はKさんとご一緒にお越しいただいたOさんに撮っていただきました。
1回目にお履きになった時に、「甲の部分に圧迫感」があったこととの原因のひとつに、まだ靴が馴染んでいないことが挙げられます。
靴の屈曲が硬いために、靴が曲がろうとしても曲がらず、その負担が甲に来てしまっている状態だと推測しました。
インソールが馴染んでいなくて、沈んでいないために、理想とするフィッティングになっていないということもあります。
2回目に履いていただいた時には、多少靴が馴染み始めているようですがまだ硬く、加えてKさん足が華奢なため、負担になっていたのだと思います。
そこで私がお願いしたのは、ドライヤーなどで靴を少し温めて柔らかくし、そのうえで短時間だけ履いて靴を慣らすということ。
実際、お越しいただいた時にはだいぶフィッティングは良い状態になっていました。
そして、上の写真で私がやっているのは、ストーブの熱を使って靴を強制的に屈曲させ、靴を曲がりやすくさせること。
基本的にやるのはこれだけ。
季節の関係でストーブが無かったら、ヒートガンを遠目に当てるか、ドライヤーでもOKです。
Kさんに履いていただいて、試しに歩いていただきました。
調整する前に比べると、かなり改善していることが感じられたようです。
ただ、まだ若干右足の方が硬い感じがしたようなので、再度右足の方を温めて柔らかくして強制的に屈曲をさせて、再度履いていただいたところ、
殆ど違和感もなくなり、これなら問題なく履いて歩けそうというところまで行けました。
OさんとKさんは、春にご旅行に行かれる予定だそうで、その時にKさんはこのサイドゴアブーツを履いて行くつもりとおっしゃっていましたので、靴が足を引っ張ることのなければ良いなって思っています。
まだ数か月時間がありますので、定期的にでも靴を履いて少しずつ慣らしていただければ大丈夫でしょう。
オーダーメイドの靴でも、革という天然由来の素材を使って製作する都合上、どうしても初めはどこか当たることろがあったり、硬かったりすることがあります。
それらが馴染んで、場所によっては革が変形したりインソールが沈んだりしてそのうえで足にちょうど良い形状になるように設計しておりますので、最初の数か月は靴の成長を一緒に見守ってあげてください。
今回も、解決できて本当に良かったです。
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