余談ですが、以前にもお伝えした通り私は寒いのが苦手で、この時期はかなり厚手のメルトンのコートを着て自転車に乗って通勤しています。
ですが最近は良質な厚手のメルトンのコートを見つけることが難しくなってきていて、昨年はちょっと頑張って厚手のダッフルコートを購入しましたが、今年は以前にも増して厚手のコートが世の中から無くなってきているような感じがしたので、今のうちにと思い新品古着問わず厚手のメルトンのピーコートを数着購入しました。
以前だったらもう少し安く買えたのに昨今では手頃な厚手のメルトンのコート自体を見かけなくなってきていて、このままいくと数年後には良質な厚手のメルトンのコート自体が無くなってしまうのではないかと心配しています。
革の世界も然りで、こちらも以前からお伝えしている通り黒のボックス調の革は激減していて、作るのならもう今が最後のチャンスと言っての過言ではないのかもしれません。
そんな中で、これまで30年近く靴の世界にいていろいろな靴や革を見てきた立場からすると、名の通ったものの割にはそれほどでもない革もあれば、反対にさほど有名なタンナーの製品ではないのにすごくクオリティの高いものがあります。
それってさんざん触ってきた者じゃないとわからないようなことなのです。
ラスティングの際にしなやかに伸びて、でも靴になるとしっとりかつパリッとした仕上がりになって、ラスティングをしてみないとそんなこと分からなかったという、驚くべき素晴らしい革が時々あるのです。
そんな革を、イギリスの目玉商品を意味する「star buy」にちなんでスターレザーと呼ぶことにします。
私がスターレザー認定する革は、ちょっと無理して買っていただいても絶対に損はさせないと自信を持ってお薦めするものです。
そんな今日ご紹介するスターレザーは、こちら。
Tempesti社のIbizaで、色は#siena。
これまでに何度かご紹介しているのですが、ご覧になって気に入ってくださってご注文いただいたのはまだ1足のみ。
そして、その靴の仕上がりがこれまた素晴らしくて、ご注文いただいたお客様も大変気に入ってくださいました。
まず、このIbizaの#sienaですが、こうして写真で見ると実物よりも若干明るく写っています。
なので、私の手も一緒に撮ってみたのでご覧ください。
だいたいこれくらいの色の革です。
この革を作っているタンナーのTempestiと言えば、ELBAMATTやMAINEで有名ですが、じつはこのIbizaはそれらの革とは若干ベクトルの方向が異なり、この革の状態からは想像できないなんというか、完成した靴の雰囲気はふわっーと世界が広がり、息をのむという例えがきっと正しいのだろうと思うような、とても果てしなく深いものを持っているのです。
Ibizaは、表面にツヤのある加工が施されていますが、ラスティングをするとこのツヤは多少抑えられ、決して派手ではないイイ感じの仕上がりになります。
革自体はプルアップ(伸びると色が薄くなるタイプの革)となっていますが、この#sienaに関してはさほど色の変化がないようでプルアップの革であることをほとんど感じません。
決してのっぺりとした革ではなく、このような深みのある仕上がりの革なので、完成した靴もかなりの色気を備えるのではないかと思います。
ちなみに、このIbizaの生地はバットという部位を使っていまして、バットとは牛のお尻の周りと背中のあたりのいわゆる最も繊維がそろっていて良い部分であり、そのあたりからもこの革のクオリティの高さを感じることができます。
そんな生地にオイル多めの仕様で、仕上がり(雰囲気含む)良し、生地良し、耐久性良しの全方位完璧な革なのです。
実際に靴を作ってみて、特にラスティングの際の革のしなやかさと適度なしっかり感が今回スターレザーとしてお薦めする一番の理由です。
もちろん革の裏側もキレイで、
厚さは2.2㎜ほど。
この#sienaの色はお好みですので、この色がお好きな方には格好良い靴を作られることをおススメします。
私がお薦めするスターレザーの初回はこのIbizaの#sienaでした。
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