昨日まで出張でしたが、今日からまた通常の業務に戻ります。
今日の作業はクリッキングです。
クリッキングとは、革を裁断する作業のことです。
以前に、「革には伸び方向がある」ということを書きましたが、そのほかにも注意しなくてはいけないことがありまして、革は部位によって革そのもののクオリティが異なるのです。
具体的に言うと、私は靴の素材としての革は3種類に分けることができると思っています。
ひとつは、普通に靴の素材として使える部位です。
2つめは、普通に使える部位に比べるとややクオリティが落ちますが、そのパーツに限って使える部位です。
そのパーツというのは、靴のベロです。
これは、硬い部分よりも柔らかい部分の方が、靴ヒモから足の甲を守るという本来の目的に適しています。
そして3つめは、全く使えない部位です。
これらは何が違うのかと言いますと、革そのもののしっかり感であり、パッと見たときのツヤ感であり、一言でいえばクオリティです。
牛も動物なので、やはり体の部位によって革の質感は異なります。
特に、わきの下やお腹周りは繊維がそろっていなかったり厚さが出なかったりなどの理由で、革として靴には適していないのです。
ちょっと見にくいかもしれませんが、写真の左の方の線が引いてある部分は牛のわきの下の部分で、必要以上に伸びてしまう部分です。
ですので、この部分は3つ目のカテゴリーに入る使えない部位です。
革によってはパッと見ただけではわかりにくいものもありますが、裏側を見ると革の質感が全く違うのですぐにわかります。
こちらは、靴に使えない部分の裏側。
毛羽立ってしまっていて、ボソボソです。
そして、こちらは靴に使える部分の裏側。
キメが整っていてキレイです。
こうして見てみると、わきの下の部分の質感はやはりちょっとクオリティが良くないのがパッと見てもすぐにわかります。
実際に革1枚を買ってきて、このような使えない部分と、革を裁断するときにパーツとパーツの間の捨てられてしまう部分を合わせると、なんと約3分の1が使われない部分となります。
もったいないですよね。
でも、これを無理して何とか使おうとすると、靴を履いていて変なシワが出てしまったり、場合によってはひび割れてしまうこともあります。
ちゃんと永く愛用していただける靴を作るためには、心を鬼にして捨てるべきところは捨てるようにしなくてないけないのです。
シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。
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