例外もありますが、靴のつま先は指の先端の先の部分に空間があります。

だいたいこの辺り。
靴を履いた時に、足の指はこの辺りまでは来ません。
この、指先の空間の部分を捨て寸と言います。
靴のつま先の形状が細い靴ほど捨て寸が長く、つま先が丸い靴は比較的捨て寸が短くなります。

この靴も含めて、一般的にイギリス靴は捨て寸が1インチと言われます。
形状によって変わってくることですので、1インチというのはおおよその目安ですが。
そんな捨て寸ですが、何のために存在するかご存知でしょうか?
私が聞いたところではその理由が2つあって、ひとつは指先を守るため、そしてもうひとつがつま先をキレイな形にした時には必然的にそうなるからとのこと。
もし仮に、指先に全く隙間がなく靴の形が感染に足の輪郭と同じだったとしたら、歩くだけで足は少し前にズレるのでその度につま先が当たってしまいますし、誤って足を何かにぶつけてしまった時にはダメージを負う可能性が高くなります。
そう考えると、捨て寸は何もないことに意味があるのだと言えます。
ですが、お客様の靴のメンテナンスや修理でお預かりすると、ほぼ毎回と言って良いほどつま先の捨て寸の部分には大量のわたボコリが溜まっていて、コンプレッサーで空気を送ると大きなホコリのかたまりが出てきます。
さらに、靴の保管方法によっては捨て寸のあたりに湿気が溜まることがあるようで、靴の中に手を突っ込むとつま先の方だけ湿気が残っていることがあります。
この湿気が予想外に曲者で、つま先の捨て寸部分に湿気が残っていることで靴のインソールの内部に湿気が入り込んでしまい、さらにはボトムフィラーを劣化させてしまったりウェルトを縫っている糸をも劣化させてしまうこともあるようなのです。
ボトムフィラーやウェルトを縫っている糸はそう簡単に変えることができないパーツであるため、できる限りダメージを与えないようにする必要があります。
そのためには、靴を休ませるときに玄関のタイルやコンクリートの上に放置しないことや、靴を履いた日には一日置いてからシューツリーを入れるなど、ちょっとした気遣いで靴を良い状態に保つことができます。
あまり神経質になる必要はありませんが、ちょっとだけ気を遣っていただくことで靴の状態を大きく改善できますので、時々靴の中に手を入れて靴の状態を確認してみていただけると良いでしょう。

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