ほとんどの革靴にはシャンクというパーツがついていて、外から見たら見えないところにあるのですがじつは非常に大切な役割を担っています。

 

金属のシャンクは、このような形状をしています。

具体的に言うと男性用の靴ではインソールの裏側に接着されていることが多く、動物に例えると背骨（？）、クルマに例えるとプラットフォームのメンバーのようなもので、シャンクがしっかりしていればそれだけ靴のねじれ剛性が高くなり、歩きやすさや長時間履いた時の疲れ具合に良い影響を及ぼすと言えます。

つまり、シャンクの形状や焼きの入り具合などで、靴の性格が大きく変わるほどシャンクは重要なパーツのひとつでもあり、私たちシューリパブリックの靴の履き心地もシャンクの恩恵は大きいと言えます。

そんなシャンクですが、なぜか日本ではそれほど重要視されていなくて、十分な強度を持つシャンクを探そうとしてもなかなか見つけることができません。

いや、正しく言えば数年前までは入手できたのですが、今はその工場からの出荷が終わってしまい、材料屋さんに探していただいても未だ見つけることができず、私たちが持っている在庫もあと600足分ほどになってしまい、いよいよこれは何とかしないといけないと若干焦りも出てきていました。

時間があれば普段行かない材料屋さんに行って近況を聞いたり、ネットで海外の製品を探したりしていて、やっとたどり着いたのが神戸にある株式会社田中務補（かねすけ）商店さん。

日本にまだこういう会社があったことにある意味驚きでした。

早速問い合わせフォームで希望を伝え、サンプルを送っていただき、少しずつ話を進めていたところで、社長がちょうど東京に出張の予定があるのでついでに私たちの工房に来てくださるとのこと。

メールのやり取りでは絶対に伝わらないことが必ずあるので、本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいになりつつ、今日お越しいただきました。

話をうかがうと、現社長（田中社長）は会社を引き継いでまだ3年目で、靴の文化をもっと高めたいと考えていらっしゃって、ちょっと話しただけでも強い志を持ったステキな方でした。

そりゃそうでしょう、連絡を取ってまだ数日のこんな小さな、それも東京からかなり離れている工房にわざわざ来てくださるという方なのですから。

私は靴に関わるようになってもうすぐ30年になりますが、パーツひとつひとつに関してそれほど詳しいわけではないので、今回シャンクに関してたくさんお話をうかがうことができて大変勉強になりました。

こんな形状にするのは可能か否か、シャンクの焼き入れに関すること、素材のこと、検査基準のこと、もう知らないことばかりです。

とにかく聞きたいことをたくさん聞いて、こんな小さな工房が製造メーカーさんにシャンクを発注するにはどのようにしたら良いのかもうかがって、収穫がたくさんありました。

おそらく、同業の靴工房をやっていらっしゃる方、靴教室を運営されている方、もしくは靴の修理をされている方、もっと言えばこだわりを持って靴を製造している靴メーカーの方、きっと皆さんしっかりとしたシャンクを求めているはずです。

今回お話を進める中で、私がお願いしたのは幅が20㎜で長さは110㎜、厚さは1.2㎜（爪なし）というものです。

これまで出回っていた幅18㎜のものよりも強度があり、クオリティはかなり安心できそうです。

まだこれが定番商品として在庫を積んでいただくかどうかは決まっていないものの、私たちがこれに準ずるものを発注する予定なので、もし同様のものを必要としている方がいらっしゃれば一緒に生産していただける可能性は非常に高いです。

ただ、株式会社田中務補商店さんは製造メーカーなので、10足とか20足単位の発注は難しいでしょう。

最低でも100足とか200足という単位になるのではないかと思います。

生産はもう少し詰めてからの予定ですので、今すぐというわけにはいきませんが、株式会社田中務補商店さんに相談してみるのも良いかもしれません。

株式会社田中務補商店さんのホームページのリンクを貼っておきます。

問い合わせフォームがありますので、シャンク難民になりそうな方は問い合わせしてみてください。

いずれにしても、国内生産で必要なサイズのシャンクが入手できることがわかって、本当に安心しました。

シャンクが出来上がって納品されたら、またお伝えします。

見えないところこそ手を抜かないものづくりって、本当に大切だと思います。

見えなくても、履いたらわかるものですからね。

 

★★★お知らせ★★★

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