少し前に、シャンクのことを書きました。
ちなみに、シャンクとは革靴のほとんどに入っているもので、インソールの裏側に貼り付けてあって、人間で言えば背骨のような役割を果たしているパーツです。
その多くはスチール製で、ほかの素材ではプラスチックだったり木製だったり、はたまた稀に竹性のものもあったりします。
シャンクは靴の剛性に非常に大きくかかわるパーツで、シャンクが頼りないと歩いていて足が疲れやすくなったり痛くなったりと様々な不具合に直結します。
なので、私たちシューリパブリックでは特にしっかりしているシャンクを使っています。
ですが、数年前にそれまで使っていた幅広(18mm)のシャンクが入手できなくなり、代わりに使い始めたのがプラスチックのシャンク。
プラスチックのシャンクは、幅広で厚みがあるものであれば十分な役割を果たすのですが、これがまた入手が困難になってしまい、次に使うシャンクを探していました。
現時点での在庫が約600足分、年間100足ほど作っているペースなので、6年で底をついてしまいます。
そこで方々を探して辿り着いたのが神戸にある株式会社田中務補(かねすけ)商店さん。
スチールシャンクを作っている会社です。
連絡をしたら、ちょうど都内に用事があるとのことで、ついでに私たちの工房に来てくださり、直接お会いして十分な打ち合わせをする事ができました。
現社長(田中社長)は会社を引き継いでまだ3年目で、今会社の方向性を修正しているところらしく、私たちのような少量のオーダーにも対応してくださる方向で準備を進めているとのこと。
じつは、靴の業界でよくあることなのですが、これまで入手できた材料が突然入手できなくなり、業界中が大騒ぎになることは日常茶飯事で、今回もまず数年前にスチールシャンクが入手できなくなったのはその会社が突然やめてしまったことが理由であり、プラシャンクに関しては詳しい話は聞いていないのですがもうこれで終わりだとのこと。
そんな靴材料難民を救出してくれる株式会社田中務補商店さんが、女神に見えました。
ちなみに、株式会社田中務補商店さんはシャンクの製造がメインの会社ですし、社長もまだお若くてバイタリティ溢れる方なので、こことお付き合いができればおそらくしばらくは安心です。
前置きが長くなりましたが、今回株式会社田中務補商店が送ってきてくださったシャンクのサンプルがコチラです。

長さと幅を指定して作っていただいたスチールシャンクです。
長さが110mm、幅が20mmという、これまでに使っていたものと比べてもさらにグレードアップしています。
また、縦に溝が入っていますが、以前のものは2本だったのが今回は3本になって、これも剛性をアップさせている要素になります。
なにせ靴のしっかり感にこだわるのならシャンクの剛性は避けては通れないもので、それらが履き心地につながり疲れにくい靴につながるのです。
シャンクはじつは見えないところにあるパーツなので、大量生産の際にコストカットされるパーツの筆頭格のようなもので、言い方を変えるとシャンクにこだわっている靴はそれだけちゃんと作っているということになります。

厚さは1.2mmですが、私の力で捻ってみたところでほとんどビクともせず、しっかりと焼きも入っているそうなので十分なクオリティだと思います。

ちなみに、こちらが現在使っているプラスチックのシャンク。
これもプラスチックシャンクの中では非常に厚く大きいタイプのもので、これに辿り着くまで結構大変だったことを思い出します。

厚さだってこんなにありますし、それよりなによりプラスチックシャンクの場合は反りを調整できないのでこの反りの具合も大切なのですが、幸いにもこの反りのカーブが私たちシューリパブリックの靴にイイ感じにフィットしてくれて、けっこう使いやすかったんですよね。
ただ、スチールとプラスチックは当然ながら素材が異なるので、履いた時の印象は異なります。

シャンクのサイズ比べ。
どちらもかなり大きいものなので比べたところでへぇ~っていうことになりますが、普通のシャンクの中では特別に大きいのです。
そんなわけで、私は靴のねじれ剛性へのこだわりは手を抜けない性分で、それを辿っていくと学生の頃から先輩に叩き込まれたクルマの構造とねじれ剛性の大切さに辿り着くのです。
おそらく私と同じように靴の履き心地にこだわる作り手さんやメーカーの企画担当さんはたくさんいらっしゃるはずで、きっとしっかりしたシャンクの入手で困っているのではないかと思います。
株式会社田中務補商店さんは、私たちと負けず劣らずにシャンクへのこだわりを持っている会社で、一度相談してみる価値は十分にあるはずです。
言ってしまえば、これまでにはウェルティングの針の供給がなくなった時に、世界中を探してやっとイギリスで納得できる針を見つけて買うことができ、本当に心から安心したことがありました。
ラスティングピンサーに関しても、思うようなものが入手できなくてドイツから買うことができたことや、ライニングの革だって靴箱だって革だって、無くなってしまう、どうしようと探しまくってやっと探し当てて、その繰り返しです。
お客様から、合う靴がなくて合わない既製品を買っては捨ての繰り返しをしていたところに、やっと自分に合う靴を作ってくれる工房に巡り会えたなんて言われれば、これは役に立たないわけにはいかないって思ってしまいますよね。
立場は違えども、助けたり助けられたりしながらやっていく中で、靴のシャンクん関してはきっとお役に立てるはずなので、ぜひ必要としている方は情報として書き留めておいてください。
株式会社田中務補商店さんのホームページはこちらです。
★★★お知らせ★★★
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