履き口の糸が切れた時の補修ができるのできないのという話

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今日は偶然にも靴の履き口の修理のご依頼が2件もありまして、幸いどちらも私どもで使っているミシンで縫うことができたのですが、だいたいミシンで縫えるのか縫えないのかって言うことはお客様にはイマイチわかりにくいですよね。

靴を作るためのミシンなら縫えるんじゃないかって思っちゃうのも当然の話です。

なので、今日はそのあたりのことをお伝えします。

履き口補修

こちらは、お客様の靴の補修をしているところを、お客様に撮っていただいた写真です。

KJさん、ありがとうございました。

こんな感じで私どもではポストミシンというタイプのミシンを使っているのですが、

履き口補修

シューズの靴の履き口でもこの部分や、

履き口補修

この部分であれば縫えます。

ですが、後ろの方は縫うことができません。

なぜなら・・・、

履き口補修

こうなってしまうから。

本来、靴の補修には八方ミシンという全然違う形状のアームのミシンを使います。

八方ミシンは修理専用と言っても良い形状のミシンで、アームの形が修理に適しているというメリットがある反面、普通に縫うと針目があまりキレイではないため、いわゆる靴の製作には向いていないのです。

置く場所と金銭的に余裕があれば八方ミシンを購入しても良いかもしれませんが、これが現実にはなかなか厳しいのです。

あまり使わないし。

そんなわけで、シューズの履き口の修理に関しては横の部分であれば縫うことができますが、カカトのあたりは縫うことができないのです。

それに対してブーツはどうなのかと言いますと、

履き口補修

履き口の横の部分はシューズでも縫えたので問題なく縫えます。

履き口補修

こんな感じ。

対して後ろ側はどうかというと・・・、

履き口補修

ちょっと無理くりな感じもありますが、とりあえず縫うことができます。

ただ、これまでに20年以上靴の仕事をしていて、ブーツの履き口で横の部分の糸が切れたことは何回かありますが、後ろの部分が切れたことって極めて少ない気がします。

シューズに比べてブーツは履き口がそれほどきつく密着しないので、下糸も切れにくいのでしょう。

そんな感じで、基本的に履き口の糸の補修は修理屋さんに持って行って八方ミシンで縫っていただくのが安全ですが、何かの用事があってそのついでにスティッチの補修という場合、上記のような事情をご理解いただくと嬉しいです。

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