以前から、もう今後はクオリティの高い黒い革の入荷は期待できないということをお伝えしていて、それは革屋さんからレザーフェアの度に毎回言われていることで、業界的にももう仕方ないよねっていう認識になっています。
理由はいくつかあって、温暖化による牛への影響や、革製品自体にニーズの変化など、聞けば仕方ないと言えることばかりなので、それでも何とかしたくてもできないというのが現実です、残念ですが。
結局は、革の生地のクオリティが下がってきていて、生地の影響を最も受ける黒い革は良いものを作ることが難しい問いということなのです。
なので、ある程度のクオリティの黒いビジネスシューズを履くのであれば、できるだけ早く作っておく、もしくは買っておくのが良いということになります。
私たちシューリパブリックでも黒い革不足の危機は避けられず、在庫も徐々に少なくなってきています。
そんな中で、時々こうやって倉庫の中を片付けると出てくるんですよね、良い革が。
革屋さん曰く、
「以前はこれくらいのクオリティの革はお金を払えば仕入れる事ができたけれど、今はねぇ・・・。」
というこれくらいの革の代表格ともいえる革です。
革の名前はcellington(チェリントン)と言います。
ずっと前から私たちのブログをご覧いただいている方でしたら、この革のこともご存知かもしれませんね。
いわゆるハイレンジの革のひとつという立ち位置のものです。
こちらの革は、グレージング仕上げと言いまして素上げの革の表面に薬剤を塗ってガラスの棒のようなもので表面をゴロンゴロンと押し付け、ツヤを出す仕上げ方法の革になります。
ガラスレザーと異なり、塩化ビニールなどを塗っているわけではないので、将来的に塩ビがパリパリと割れてしまうという心配はありません。
ただ、革であることはに違いないので、扱い方によっては将来的に表面に亀裂が入ってしまう可能性が否定できないことをご理解ください。
こうしてパッと見ていただいてもなんとなくお分かりになるかと思いますが、この革は生地がたいへんしっかりとしていて例えるならプリップリの革という感じです。
パサパサとかカチカチという感じではなく、プリップリなのです。
これは実際に実物を見て触っていただかないと伝わりません。
革は芯通しをしていない仕様で、そのこと自体が良い悪いということは全く関係ないのですが、なんとなくこの断面を見るとクオリティの高い革感が伝わってきます。
革の裏側はこんな感じ。
申し分ありません。
革の厚さは1.4㎜で、ビジネスシューズを作るのには最適な硬さと厚さです。
そうそう、この文章を書くながらこの革な何かに似ていると思っていたのですが、アノネイのボカルーに雰囲気が似ています。
表面の感じや生地の感じなど、結構似ているように思います。
ただ、私はラスティングの際の生地の弾力の感じはこちらのcellingtonの方が良い印象があって、私個人的には今まで扱った革の中でも上位に入る印象です。
そんな素晴らしい革が、今回倉庫の奥から2枚だけ出てきました。
今革を使って耐久性のある格好良い靴を作りたいという方、その旨ご連絡ください。
今靴を製作中の方は、完成時までお取り置きもOKです。
複数足のお取り置きもOKですが、2足まででお願いします。
皆さまからのご連絡をお待ちしております。
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