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クギ穴の話

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

クギ穴

靴のクギ穴の話と言えば、よく聞くのがカカトの履き口近くにあるアレですよね。 この靴では、ドッグテイルのすぐ下のところに空いています。 作る側もなるべく目立たないようにという気持ちでやっていますが、デザインによってはどうしても目立ってしまうこともあります。 この穴は、決してプライスタグのヒモを通すための穴ではありません。 ラスティングの際にこうしてカカトが落ちてこないように仮留めをするためのクギの穴です。 キレイなアッパーに穴を開けてしまうというのはやっぱり心苦しいですよ。 でも、それよりもしっかりと靴を作ることの方が大切なので、結局はこのようにカカトの所にくぎを打ってアッパーを仮留めしています。 じつは、靴にはそのほかにもクギを打って穴を開けていることろがたくさんあります。 例えばここ。 インソールを仮留めする時に、片足につき3~4本のクギでインソールを仮留めしています。 私の場合は、片足につき4本のクギで留めています。 また、もうすでに写真に見えていますが、手作業でラスティングをする際にはアッパーをクギで仮留めする必要がありまして、 こんな感じで端をグルリと一周クギを打っています。 これに関しては、機械でラスティングをした靴はクギではなく接着されているケースが多いのでこのラスティングのクギの穴はありません。 ただ、似たような穴が空く作業がありまして、ラスティングよりもずっと前で、加工前のインソールを濡らしてラストに打ち付けてラストの反りに合わせる時にクギを打って仮留めします。 クギを打つ位置も、ラスティングの時と大体同じような位置になりますが、その穴がラスティングの際のモノか、もしくはインソールのクセ付けの時のモノかを見分ける方法があります。 それは、ラストのクセ付けの時のクギは、濡れているインソールに打つので黒っぽい錆のような跡が見られます。 つまり、穴が黒っぽくなっていればインソールの癖付けの穴で、キレイなままであればラスティングの時の穴ということになります。 ちなみに、私ちゃちシューリパブリックの靴の場合は、インソールの癖付けの時もラスティングの時にもクギを打っているので、黒い錆の穴とキレイな穴が混在しています。 ★★★お知らせ★★★ ★オーダーメイド靴をご注文の際には、事前にご予約をいただいたうえでお越しいただいております。  私たちの工房のスケジュールはこちらをご参照下さい。  打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。  ご検討中の方は、見学も大歓迎です。  また、オンラインによる見学や打ち合わせにも対応させていただいております。 ★メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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靴の内側

今製作中の2月納品予定の靴たちが、もうすぐ完成します。 これらの靴をお待ちのお客様には、すでにメールでご連絡をさせていただきました。 さて、靴の中は通常であればインソックを貼ってキレイになっていますが、今はまだその前の段階です。 インソックを貼る前の段階は、こんなふうになっています。 クギ穴がたくさん開いていまして、これは製作の際に仮留めのクギを打った跡です。 靴づくりを学び始めたころの私には、こんなにたくさん穴が開いているのは許せませんでしたが、これらにはちゃんと理由があって、さらにこのほかに方法がないことを知ってからは、そういうものだと割り切って考えるようになりました。 また、クギらしきものが10本打ってあるのがわかります。 これは、ヒールを内側から留めるクギで、日本では中打ちと言います。 私の場合は、23ミリのマシンネイルを10本ほど打っています。 なんとなくイメージができると思いますが、内側からクギを打つことで、接着剤とともにしっかりとヒールを固定します。 この中打ちに関しては、作り手さんによってどこに打つか、何本打つか、どんなクギを打つかという違いがありますが、 あまり端に近いところに打ってしまうと、ウェルティングの糸を切ってしまうのでリブの内側でシャンクの外側に、 マシンネイルはおそらくもっとも抜けにくい丈夫なクギで、それを10本というのは私が知っている限りでは最も多いと思います。 ノーサンプトンの多くのグッドイヤーウェルテッドの靴も、確かマシンネイルを10本打っていた記憶があります。 思うに、履いて歩くための靴は工芸品ではなくプロダクトです。 なので、目指すところは工業製品の丈夫さであり、ハンドメイドの細やかさです。   ★★★お知らせ★★★ 【お知らせ1】 次回のRifare大阪店さんでの計測会&オーダー会のイベントは、4月15日(土)に開催です。 【お知らせ2】 4月16日(日)には、神戸三宮のSUNさんへお伺いします。神戸周辺にお住まいのみなさま、ぜひお越しください。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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クギ

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インソールのクギ

靴の仕事を長くやっているともう当たり前になってしまうことがたくさなります。 思い起こせば、私が靴の学校に入ったばかりの頃に、靴にたくさんくぎを打つことに対して大変な違和感を感じたことがありました。 だって、クギを打って穴が開いたのに、それって全く気にしないわけですから。 先日ちょっと書いたあのカカトのクギもそうですが、 こうしてウェルティングの際に仮留めのクギは抜くものの、インソールに開いた穴はそのままなのです。 私は変なところで完璧を求めるところがありまして、いくら表からは見えないところでもやっぱり気になります。 そのクギを抜く前は、こんな状態です。 でも、何年もこのようなクギ穴に慣れ親しんでくると、次第に気にならなくなってしまい、製作の上でもこれが非常に合理的であり、むしろこの穴はしっかりとハンドラスティングによって丁寧に靴が作られた証と思うようになりました。 なので、もし靴のインソールにクギ穴が開いていて気になった方は、丁寧に作られた証ということで、ご理解をお願いします。 ★★★お知らせ★★★ #SRF×オックスフォードは、オーダー受付中です(数量限定)。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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