Iさんにお預かりしたギブソンブーツのオールソール交換修理が完了しました。
このギブソンブーツは、10月12日のブログでご紹介したものです。

じつはこの靴は、2度目のオールソール交換修理になります。

こうしてソール周りがキレイになると靴全体が締まって見えたりしませんか?
ソールがキレイになるだけで見え方が全然違うのがとっても不思議です。
10月12日の記事でも書きましたが、Iさんからこの靴だけ底の感じが薄く感じられるとのことでしたので、ご本人の希望でオールソール交換修理のついでにセミダブルソール仕様に変更させていただきました。
オールソールのタイミングでセミダブルソール仕様にするのはとても簡単なことですので、ご希望があればその旨お伝えください。
この靴はもうすぐ10年になりますが、こうしてソール周りが新しくなると全然そんなに時間が経っているように見えません。

ただ、細かいところを見るとこんな感じでアッパーに亀裂があったりして、確かに時間は経っているのかなと思う部分もあります。
こういうアッパーの亀裂は、上手にメンテナンスをしていればおそらく防げるもののはず。
アッパーに亀裂が入る原因は、革の乾燥か、もしくはクリームの塗りすぎでロウ成分が浸透して硬くなったことのいずれかだと思われます。
このギブソンブーツは、見たところ前者のようです。
これを防ぐには、定期的に保湿をすればよく、デリケートクリームなどを月に1度くらいの割合で塗ってください。
細かいことを言えば、季節によって革が乾燥する度合いが異なるので、実際に革を触って乾燥気味だと感じたらデリケートクリームでメンテナンスです。
ただ、デリケートクリームだけではちょっと役不足なところもあるので、年に数回くらいは乳化性の色のついたクリームを使ってお手入れしていただけると良いでしょう。

いずれにしても、これくらい離れてみると全然キレイなので、まだまだ履けます。
ぜひたくさん履いてあげてください。
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こういった亀裂を補修又は補強することもできるのでしょうか?
履いていると広がってくる亀裂に見えます。
とある靴好きさん、コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、このような亀裂は今後履いていると広がっていく可能性が高いです。
ただ、そのスピードが革の種類によって、さらにはメンテナンス如何によって急激に広がるのか、ゆっくり広がるのかが変わります。
この靴の革は、比較的若い牛の革で繊維もしっかりしているため、さほど急激に広がるものではないと思います。
さらに、適度なメンテナンスをすることで亀裂の広がりのスピードを抑えることが可能です。
亀裂の補修や補強に関しては、ご存じかと思いますがチャールズパッチと呼ばれる、上から革を当てて補修する方法が一般的です。
ウレタンや樹脂などのパテで埋める方法があればよいのですが、屈曲する部分なのでまだ適した材料がないようです。
靴が好きな方にすれば、こういう亀裂が入ってしまうことは非常に悲しいことですよね。
そうならないように、日頃から適切なメンテナンスが必要だと思います。