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ライニングの話

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話

余談ですが、今日も月がキレイだったのでカメラを持って屋上に上がって空を眺めてみたら、 ちょうど日が沈んだところで、富士山のシルエットがとってもキレイでした。 そして、東の空には真ん丸の月が。 こういう時に、超望遠があったらいいのにって思います。 ちなみに、富士山は50ミリで、月は200ミリのレンズで撮りました。 APS-Cのカメラなので、実際には1.5倍計算になります。 さて、靴に興味を持っていらっしゃる方も多いかと思いますが、皆さんライニングのことはご存知でしょうか? 一言でいえば、靴の内側の素材です。 服でいえば、裏地ですか? ライナーとも言うと思います。 その靴のライニングですが、たぶんあまり気にされていないかもしれないけれど、このライニングはとっても重要なものです。 昔の話になりますが、私がまだ靴の学校に通っていたころに、学んでいるときにありとあらゆる経験と失敗をしておこうというつもりでいましたので、 ライニングのない靴を作ってみたことがあります。 靴の前側のパーツをヴァンプと言い、後ろ側のパーツをクォーターというのですが、 それぞれのライニングをヴァンプライニング、クォーターライニングと言います。 ヴァンプライニングのない靴を作った時には、つま先の芯(スティフナー)を入れることができず、つま先がフニャフニャな靴になってしまい、 クォーターライニングのない靴を作った時には、そうです、皆さんの思った通りでカカトの芯(スティフナー)のない、とても歩けない靴になりました。 この時に、スティフナーの大切さを実感しました。 スティフナーのない靴の時には、さすがに先生が見かねて貼り付けることもできるスティフナーを使わせてくれましたが、 靴として成り立つものの、カカト周りが硬くて痛かった思い出があります。 ライニングがないと表の革の裏側に直接足が触れるため、 革の色が移ったり履き心地がとっても硬かったりして、製品では難しいなぁって思いました。 さらに言えば、このライニングの素材で履き心地も変わってきます。 例えるなら、先日のブログでも書いたような、新しくて柔らかい靴下と、ちょっと古くなったゴワゴワの靴下の違いにも似ています。 牛革のライニングは、肉厚でしっかりしていて非常に心地よいのに対し、 豚革のライニングは、素材にもよりますが私が使ったものはちょっと硬かったです。 ということで、こちらは私たちが普段使っているライニング用の牛革です。 大きさ的にはキップ程度、半裁でだいたい140デシ前後くらいです。 この革は牛の体の右半分で、奥のほうがお尻、手前が首です。 お尻まわりですが、写真の上側が背中で、下側が後ろ脚になります。 同じく下側が前足で、右のほうが首。 なぜそんなに細かいことをお伝えしているのかと言いますと、 動物の革は部位によって生地の詰まり具合が全然違っていて、お尻から背中、肩にかかての部分は非常にパリッとしていてしっかりしているのに対し、 手足の近くで人でいえばわきの下や、腹周り(縁と言います)の部分は生地がフカフカしていて強度が必要な部分にはとても使えません。 特に、クォーターライニングはカカトをしっかりとホールドしたり、脱ぎ履きよく擦れるのでしっかりとした生地の部分を使う必要があります。 それに対し、ぜひフカフカな部分を使いたいというところがあるのですが、どこだかわかりますか? それは、タン(ベロ)のライニングです。 そもそもタンの役割は、ヒモをギューッと締めた時に甲の部分が痛いから、甲の部分を守るためにあるわけで、 ということは、タンのライニングは特に擦れることもなく、むしろフカフカしているほうが好ましいのです。 実際、クリッキング(裁断)のセオリーでは、タンライニングは縁の部分を使うようにということになっています。 ここで、また私が靴の学校に通っていたころに作った実験用の靴ですが、 タンライニングのないものと、牛革でセオリー通りのタンライニングをつけた靴を履き比べたところ、 やっぱり柔らかい牛革のタンライニングのついた靴は心地よかったです。 パリッとした部分もフカフカな縁の部分も牛革じゃないの?って言われるかもしれませんが、本当に全然別の素材のようなので、これはちゃんとセオリー通りに縁の部分を使うのが正しいと思います。 これは、コストのことに関しても理にかなっていますし、関連してゴミが減ることや革を無駄なく使えることにも役立っています。 たかがタンライニングですが、ちょっとしたことでも人間の体は非常に敏感ですから、素材も適材適所で対応することが大切なのだと思います。 ★★★お知らせ★★★ 【 お知らせ 1 】 3月2日(土)と3日(日)に、長野市のIVY PRODUCTSさんにお邪魔して、恒例のイベントを開催します。 今回も、足の計測をさせていただいたり、ご希望の方がいらっしゃればオーダーメイドの靴のご注文を承る予定です。 詳細が決まりましたら、また改めてお知らせします。 【 お知らせ 2 】 3月17日(日)に、自由が丘のRifare自由が丘店さんにおいて、イベントを開催します。  詳細は、また改めてお知らせいたします。 【 お知らせ 3 】 4月13日(土)に、大阪梅田のRifare大阪店さんにて、店舗移転後初のイベントを開催します。 詳細は、また改めてお知らせいたします。 【 お知らせ 4 】 4月14日(日)に、神戸三宮のSUNさんにお邪魔して、皆様の足の計測をさせていただきます。 SUN×シューリパブリックで今後新企画の靴の発売を予定していますが、それに先駆けてご自分のサイズをご確認いただくための計測です。 ご注文の予定の有無にかかわらず、お気軽にお越しください。 詳細は、また改めてお知らせいたします。 【 お知らせ 5 】 イベントなどの予定は、ホームページトップの下の方のスケジュールをご覧ください。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。

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