靴のパーツを繋ぐためのミシンのかけ方でのひとつに、縫い割りというやり方があります。
言葉で説明するとやや面倒な感じもしますが、簡単に伝えるのであれば下の写真を見ていただくのが最も早いです。

この部分のこと。

こちらはライニングですが、2つのパーツを面同士に重ねて縁を縫い、

それを開くという手法です。
ただ、このままでは立体にならないので、

このような木製の台に載せてハンマーで叩き、キレイな形に仕上げます。
ちなみに、イギリスのノーサンプトンでは日本で言う「縫い割り」に関してもっと細分化されていて、上の写真の状態を「closed seam」と言います。
通常は日本でもこの状態にテープを貼るのが一般的で、

こんな状態になりますが、これのことを「brooklyn seam」と言います。
テープを貼っただけで呼び方が変わるそうです。
なぜbrooklynなのか、詳しい理由は知りませんが私が通った学校ではそう教わりました。

そして、brooklyn seamの見える面はこんな感じに出来上がっていまして、靴のライニングはこの縫い方になります。

このbrooklyn seamの横にスティッチをかけるものを「silk seam」と言います。

この状態です。
裏側はこんな感じ。

このスティッチは単なる飾りではなく、補強のために貼ったテープをしっかりと縫うことで、テープの強度も加わって丈夫になるのです。
一番上の写真でご覧いただいた、靴のかかと部分がこのsilk seamですね。
このあたりの使い分けはじつはよく考えられていて(というよりもちょっと考えればわかることですが・・・)、表革のスティッチにはより丈夫なsilk seamを使っているの対し、ライニングのスティッチにはsilk seamは使わずbrooklyn seamになっています。
これは、もしライニングのスティッチをsilk seamにしてしまうと、靴の中で常に擦れる部分なので糸が切れてしまうためあまりメリットが見いだせないため、brooklyn seamにするのが一般的なのではないかと推測します。
というのも、じつはかつてまだ私が靴の学校の学生だった頃に、先生たちが靴はこのように作るという教えに反していろいろと思い浮かぶことをやってみた時期がありまして、自らの失敗と経験で学び、先生たちからもたくさんアドバイスをいただき、結局は永い年月によって淘汰されて現代に残ったイギリス靴の手法が一番合理的だったと納得した経験があるのでした。
イギリス靴のクオリティは、1に強度&耐久性、2に快適性、そして3に合理性の理念で作られていると思っています。
なので、履いてみれば非常に快適ですし、1度買ってしまえば修理をしながらずっと永く履けるし、とにかく質実剛健で無駄がないというのがイギリス靴だと思います。
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