靴の打ち合わせをしている時に、違いの説明がややこしいのがラストとシューツリーです。
お客様のご希望の仕様をうかがって仕様書を書くのですが、初めてご注文いただく方は必ずラストの製作が必要になります。
一方で、オプションのシューツリーは必要ですかとうかがうのですが、先ほどラストを作ると聞いたのでシューツリーは不要とおっしゃる方がいらっしゃいます。
ラストとシューツリーは全く別物なので、これらの違いをご説明したいと思います。
まず、ラスト(木型)について。

こちらがラストになります。

こんなふうに使うのですが、お客様の足を計測してそのデータをもとに作るのがラストです。
ラストの形状が、そのまま靴の内側の形になるので、調整はミリ単位でおこない非常に正確に作る必要があります。
ラストにインソールを打ち付け、アッパーを引いてクギで仮留めをして靴の形を形成します。

そのまま放置して、アッパーの革に靴の形を記憶させるためのものがラストになります。

対して、こちらがシューツリー。
シューツリーは靴が完成した以降に使うもので、履き込んでいくとつま先が反ってきてしまうので、それを防ぐことが目的となります。
大雑把に言うのなら、服の型崩れを防ぐハンガーのようなものです。

シューツリーは、ラストに比べるとそこまで厳密な形状である必要がないものの、それでも靴に対して悪影響を及ぼすようなものはお勧めできません。

こんなふうに使います。
その際に、足に合っている靴を広げてしまうようなシューツリーは百害あって一利なしです。
市販のシューツリーは、ほとんどの場合において厚さが厚すぎるものが多いようなので、靴に合わせて削って使うか、もしくはシューツリーの調整をしてくれるところにお願いして削ってもらうと良いでしょう。
せっかくの大切な靴を良かれと思ってダメにしてしまっては大変ですから。
そんなわけで、ラストは靴を作る時に使うもので、シューツリーは靴が完成して良い状態に保つために使うものという違いがあるのでした。
では、靴が完成した以降にラストをシューツリーのように使えば形が崩れないのかとおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが、ラストはそう簡単に入れたり出したりできません。
専用の工具も必要ですし、けっこう大変なのです。
やはり、何にしても目的に合ったものを使うのが良いのでしょうね。
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