靴のタンの片寄り

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先日、あるお客様から靴のタン(ベロ)が歩いていると外側に寄ってしまうので対策があれば教えてほしいというご連絡をいただきました。

そのお客様の靴はギブソンブーツ系のものだったのですが、デザインによってタンの片寄りが起こりやすいものとそうでないものがあり、さらに言えば同じデザインでも起こるケースと怒らないケースがあります。

ベロ

比較的起こりやすいのは、写真向かって右のモンキーブーツです。

その理由は、タンが長いから。

前の方で縫ってあってそれがずっと足首の方まで長い形状であるので、同じ条件であればタンの片寄りが起こりやすいデザインと言えます。

同じ理由で、モンキーシューズもどちらかと言えば起こりやすいです。

ベロ

ただ、モンキーシューズにしてもモンキーブーツにしても、このようにタンの付け根の部分の幅が比較的広いので、靴がある程度慣れるまで変なクセをつけないようにしていれば偏りが起こらないというケースもあります。

ベロ

ではギブソンブーツの場合ですが、ギブソンブーツもそれほどタンの付け根の幅が細いわけではありませんが、モンキーブーツと比べると細くなるのでタンの片寄りが起こることもあります。

反対に、チャッカブーツやギリーシューズなどは、デザイン上タンの付け根の幅が非常に広いので、タンの片寄りは比較的起こりにくいと言えます。

ですが、実際にはモンキーブーツで起こらなくてもギブソンブーツで起こっているというケースもあり、一概にデザインだけで起こる起こらないとも言えないのが実情です。

そもそも、どうしてタンの片寄りが起こるのかというと、これはいくつかの原因が重なり合って発生しているようで、

たとえばそのひとつが歩き方です。

足が着地するときや蹴り出すときに、足が靴の中でわずかに左右へ動くと、その動きがタンにも伝わり、それによって片方非寄ってしまう結果になります。

また、靴の動きにも関係しています。

タンの右側の縁に強い力がかかると、歩行による足の屈曲・伸展のたびに、ベロが少しずつ左へ押し出されます。

これが何十歩、何百歩と繰り返されることで、徐々に「寄り」が大きくなります。

その他、靴の革の硬さにも関係があります。

タンの部分が柔らかい革だと、足首を曲げたときにタン自体が変形しやすくなります。

特にブーツでは、タンの中央に力が集中するというより、靴ヒモから受ける左右の引っ張りの差によって横へ逃げやすくなります。

そのようないくつかの原因によってタンが歩いているうちに横に寄ってしまいます。

では、どのように解決するかということですが、最も確実なのはタンの一部にスニーカーのように2列のスリットを入れて、物理的に動かなくなるようにしてしまう方法。

ベロ

でも、革靴だからそれはやりたくないという方もいらっしゃるでしょう。

私がそのお客様にお伝えしたのは、革を濡らしてしっかり乾かすことで革が少し硬くなるため、その特性を利用して革を一度硬くし、あとは片方に寄らないように気を付けて履いていただくという方法です。

どれだけ革が硬くなるかで結果が大きく変わってしまいますが、試してみる価値はあるかと思います。

実のところ、このタンの問題はなかなか奥が深いのです。

というのも、靴づくりではタンは革の部位としては序列で最下位になるような部位を使うことがセオリーとなっています。

その理由は、タンの目的が靴ヒモが直接足に当たることを防ぐため。

つまり、柔らかい素材を使って足を守るということです。

そうなると、どうしても付け根の部分も柔らかくなってしまうため、片寄りの可能性を助長してしまいます。

かつてクロケット&ジョーンズのブーツを履いていたことがあるのですが、そのブーツはタンの途中を縫い付けていて敢えて物理的に偏らないような構造になっていました。

そのことは非常に良かったのですが、タンが縫い付けてあるが為に脱ぎ履きが非常に面倒になってしまったということもあり、私としてはその縫い付ける作戦はあまり良いとは思えません。

難しいですよね。

今の時点ではこれといった対策が出せませんが、スリットを入れる方法であればご希望があれば対応させていただきます。

 

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