■ VOICE vol.06-017(発行:2006/03/01)
【機能美を求めて】
最近改めて、デザインに興味を持つようになり、本屋でデザインに関する雑誌などをみかけると、必ず目を通すようにしています。その中でも特に、機能を追求した結果生まれたデザインに興味があり、それらの誕生秘話をみつけると、時間の経つのも忘れて夢中になって読んでしまうこともあります。

機能を追求した結果生まれたデザインは、ムダを削ぎ落とし、あくまでも実用的な見地から到達したデザインで、見方を変えると遊び心がないと思われるかもしれません。しかし、実用性を最優先に考えているからこそ、デザインとして飽きることがないのだと思います。

今、私たちの周りには、このような機能優先で生まれた、不変のデザインが沢山あります。もちろん、靴にも機能優先で生まれた美しいデザインのものがあります。それはプレーンギブソン(外羽)と呼ばれるものです。

プレーンギブソンは、非常にベーシックなデザインで、物足りなさを感じる人もいるかも知れませんが、本当に機能を最大限に追求した結果生まれた素晴らしいデザインです。

ヴァンプ(ツマ)とクォーター(腰)をつなぐハギのラインは、ラストの谷になる部分に沿って描かれ、靴に不要な凹凸ができるのを防ぐとともに、作成の際には平面の革を立体に成型する際のくせとりや、成型された靴が変形するのを防ぐ骨組みの役割を果たしています。また、シンプルなデザインであるがゆえに、いつまでも飽きることなく履き続けることができます。

ところで、人間の体は非常にキレイなラインで形成されています。もちろん足も然りです。プレーンギブソンは、足のラインをもっともキレイに再現できる靴だと思います。

靴の機能的な理由から、爪先は捨て寸を持つ必要があり、本来の足の形と異なりますが、それ以外の部分を足の形ほぼそのままに再現できるのがこのギブソンです。その様な理由から、プレーンギブソンのデザインは、靴における機能美と言えると思います。

私は、幸いなことにノーサンプトンで美しいプレーンギブソンを作るパターン技術を修得することができました。見ただけではわからない沢山の技術がこのパターンには隠されています。

私は、この技術で多くの方々に快適に履いていただける靴を作り、そしてこの技術をいつまでも残していきたいと思います。

本当のプレーンギブソンの魅力を是非堪能してください。


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