■ VOICE vol.05-009(発行:2005/11/01)
【85%のクオリティ】
最近は、雑誌等でも靴特集というタイトルをよく目にするようになりました。そんな昨今において、稀にこれはいつ誰が履くのだろうか、と思えるような価格の靴に遭遇したりします。1足15万円、20万円またはそれ以上、それも既製品で。趣味として見れば、決して考えられない価格ではありませんが(何十万もする家具や、何百万もする芸術品、そして何千万もする自動車もありますから)、実用品として考えると、いささか現実的ではないような気がします。

しかし、作る側にも正当な言い分があります。1足の靴のために、相当の技術と時間と素材をつぎ込む訳ですから、価格が高くなるのは当然です。そして、その靴に惚れ込んで買っていく人がいる訳ですから、彼らの間では何の問題もありません。

世の中のオーダーメイドの靴というのは、ほぼ全てがそれに近いイメージを持たれているのではないでしょうか?超高級な素材を使い、超ハイレベルな技術で、最高のものを作り提供する。

しかしながら、実際は、そればかりではありません。例えば私達、シューリパブリックでは、靴は実用品であり、履きこなして初めてその価値が生まれるという考えに基づき、日常生活に使用できる価格、仕様を製品作製の大前提にしています。

ですから、必要以上に高価な素材や芸術品と思われるような、趣向性の強い技術は用いません。あくまでも、必要にして十分なものを適正な価格で提供しています。

この必要にして十分という値を、私共は85%のクオリティと思っています。例えば、85%を95%に上げるには、40%を50%に上げる場合の何倍ものエネルギーを必要とし、それが全て製品のコストにはね返ります。

つまり、悪い言い方をすれば、わずかなクオリティの差を追求する結果、莫大な価格の差を生じるということになりかねません。ですから、私達は、品質と価格のベストバランスと考える85%のクオリティの製品を作り続けています。

もし、85%に不満を感じるようであれば、その時は、お客様と私達で、力を合わせて残りの15%を解決していきたいと思います。

やはり、靴は愛用してもらう事を望んでいると思います。靴として生まれてきた訳ですから。


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