■ VOICE vol.05-007(発行:2005/10/01)
【パターンカッティング(紙型)】
もの作りにおいて、となるところは必ずあります。

このパターンカッティング(紙型)も、靴作りにおける要のひとつです。というのは、パターンひとつでデザインに大きく影響を及ぼすのみでなく、履き易さ、耐久性にまで関わってくるからです。これは、靴に限ったことではありません。服やジーンズにおいても同様です。同じような服なのに、着心地が全く違う、といった経験は、誰にもあると思います。

それでは、なぜパターンがそれほど靴作りにおいて、大きな影響を及ぼすのかをお話しましょう。

パターンカッティングは、『設計』とも呼ばれます。人それぞれやり方は異なりますが、ラスト(木型)から平面の型を作成する工程です。つまり、立体から平面に変換するわけです。上手、下手、クセのとり方、素材の知識などで、立体から平面に変換され、再度立体(靴)に変換する際の流れがいかに正確に行えるか、シワやタルミが出るか否かが、大きく異なります。当然、シワやタルミは、仕上げの際に隠す事ができたとしても、靴のの品質の低下(型くずれ)に繋がります。

この作業は、経験を積んでいても非常に難しいものです。目に見えないわずかな条件の違いで、結果は大きく異なります。これらをクリアするのが、パターンカッターのひとつの目標です。

もちろん、パターンは奥が深く、靴が完成したその時に全ての答えがでるわけではありません。靴は、継続的に使われるものですから、他にも大切な要素が沢山あります。

私が靴作りの世界に入ってびっくりした事のひとつに、革を引いてのばして成型するという事があります。ひっぱる事で、革がかたくなる訳です。考えてみると、靴のように革を引いて成型する革製品って、意外と少ないですよね。鞄も革ジャンも、革を切って縫い合わせて作られています。

ところが、靴の場合は、縫い合わされた後に、繊維を壊す手前まで、革を引っ張り成型します。この状態が、一番成型がキレイにできるそうです。

つまり、パターンを作る際には、靴が成型される時に、革がどの方向にのびるのか、または、引っ張られるのかを、正確に想定しなくてはなりません。

これらを理解した上で、パターンを作成する事で、型くずれしにくく、足になじみやすい靴ができます。

靴に限ったことではありませんが、もの作りには、多くの隠れた技術が注ぎ込まれています。私達、作り手は、それがわからないようにするのが、何よりもの楽しみです。どうして同じようなのに、こんなに違うんだろう?などと言われた時には、最高に嬉しいのです。

初歩的なところで、ライニング(裏革)の型状も技術の一つです。気づいた方は、理由をそえてメールでもお送り下さい。楽しみに待っています。


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