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必要なところと必要にして十分なところ

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話


何か必要なものがあって、どれにしようかと選ぶときにカタログのスペックを見ることがあると思います。

スペックは、まぁ参考程度にはなるかと思いますが、それですべてを判断することはできません。

クルマを選ぶときに、ディーラーさんに行ってたくさんカタログをもらってきて、どのモデルはどんな性能があるのかと比べてみたところで、

実際に乗ってみると、予想していたのと全く違う結果になることもしばしばではないでしょうか。

素材を選ぶのであれば、スペックを見て判断することもアリですが、製品はたくさんの要素が複雑に絡み合っていて、スペックだけで判断することはかなり難しいと思います。

クルマのエンジン性能を数値で見たところで、トランスミッションの出来やサスペンションのセッティング、もっと言ってしまえばシートに座った時のドライバーの気持ちまではカタログではわかりません。

たぶん、製品には何においても同じようなことが言えると思います。

 

私たちが作る靴も、然りです。

こんなにすごい素材を使っていたところで、その靴が履く人にとって適しているのか否かはまた違う判断が必要になります。

こんな革を使って作ってみたところで、こんなすごい技術で装飾をしてみたところで、それが履く人にとってベストとは言えないのです。

そう考えて、私たちシューリパブリックでは質実剛健であるために耐久性を優先させたうえでキレイな革、もしくは個性のある革をご用意し、装飾は最低限必要な程度としています。

 

それに対し、靴を作る上で絶対に必要だという部分もあります。

それが、正確にモノを作る知識と技術です。

ちゃんとモノづくりを理解したうえで正確に作ることは、ちゃんとしたものを作る上で絶対に必要な部分です。

なのに、残念ながらそれをお客様が簡単に判断することができません。

どれくらいちゃんと作られているのかを判断するには、ちゃんと作れる人か、もしくはそれなりに知識を持った人でないと難しいのです。

決してスペックで判断することはできないのです。

 

ですが、「ちゃんと作られた靴」である条件として、いくつか参考にしていただける部分がありますのでご紹介したいと思います。

ラスティング

まず、ラスティングの際に、土踏まずの部分はしっかりとこの向きで引かれて作られたこと。

これができていないと、土踏まずの前側にぶくついた変なシワができてしまいます。

ラスティング

ちゃんとラスティングをしてある靴は、ラストが入っている状態でこの部分を押しても全く隙間がありません。

完成した靴はラストが入っていないので押して確認することはできませんが、パッと見たときに土踏まずの部分の革がパリッとしていればちゃんとラスティングをされた靴だと判断できます。

ラスティング

同様に、履き口においてもちゃんとラスティングをされたものは、ぶくつきがなくパリッとしていて、ラストが入っている状態では隙間がありません。

ラスティング

正確にちゃんと作るためのひとつの要素は、正しい方向に正しい力で引くラスティングです。

ラストを抜いてもちゃんと作らた靴はパリッとしています。

そのパリッとしているという判断が難しいかもしれませんが、ラスティングに関しては「土踏まずと履き口にヨレヨレがないこと」と思っていただければ良いかもしれません。

ちゃんと正しくラスティングされていない靴は、型崩れを起こすだけでなく、しっかりと足をホールドする力が不十分になってしまうので、正しいラスティングは非常に大切なのです。

 

そのほかの、正しいウェルティングなどに関しては、またべつの機会に。

 

 

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シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。

スケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
ご検討中の方は、見学も大歓迎です。

旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら

メールアドレスは mail info@shoe-republic.com です。

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3 responses to “必要なところと必要にして十分なところ”

  1. TS says:

    靴下の研究をしました。終盤になり、靴と同じでした。つま先・土踏まず・踵・履き口が大事な部分でした。細かい部分においては、それぞれあると思いますので、好みと価格と耐久性のバランスで何かに決めていたり、靴下の選び方どうしてますか?と聞いてみたいものです。

    • shoe republic says:

      TSさん、コメントありがとうございます。
      たくさんブログを読んでくださっているのでご存知かと思いますが、私は昨年に靴下を大量に買いまして、それもボーダーばかりだったのですが、その結果として適度な厚さの靴下が良いという結論になりました。
      結論になったというよりも、そう思っていたことを確認したというのが正しいと思います。
      あまり薄すぎないモノが、靴との相性を考えてみても良いと思います。ユニクロのモノでも十分にOKです。ただし、ブーツを履くときにはあまり丈の短い靴下は足首の靴ズレの原因になりますのでご注意ください。

      • TS says:

        靴下について途中になっていたのをまた始めたのですが、足首・つま先・履き口で脱落が。長さはミドルぐらいあると色々できて丁度いいですね。見ているのとは、違った口ゴムのキツイものもあり、残念。残るのは、新潟で作ったいる靴下に落ちつきそう。ブーツだけになっていくから、再度調べてみました。靴下もピンキリで、人それぞれの基準で心地よく大地を感じなから、歩けたら1番いいですね。

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