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ラストの調整の話

カテゴリー: Hidden Story:こぼれ話


余談ですが、私は普段は裸眼で過ごしているのですが、時々メガネを必要としています。

クルマを運転するのには裸眼で十分に問題ないのですが、少々乱視気味で普通に生活していて目が疲れてしまうのです。

なので、乱視用のメガネを数本所有しています。

メガネを作るときには、ご存知だと思いますが、眼科で処方箋を書いてもらうケースと、メガネ屋さんで視力を測って作るケースがありまして、私はいつも後者の方を選んでいます。

かつてお世話になっていたのが、メガネのチェーン店のP社、その後昨年は格安メガネで有名なZ社で数本作り、今日は同じく格安メガネのJ社に行ってみました。

会社の違いに関しては、それぞれ価格の設定や品揃え、補償内容などそれそれですが、私個人的にはあくまでも会社のスタンスという点ではJ社が良いかなぁって思っています。

でも、それよりもメガネを作る際に視力を測っていただいて、その結果からどのレンズを選ぶのか、言い換えれば私が希望する見え方にどのような手法でアプローチするのかは、担当してくれる方如何によります。

昨年お世話になったZ社のMさんは、かなり丁寧に私の希望を聞いてくださって、細かい要望だったにもかかわらずかなり満足度の高いモノを作ってくれました。

にもかかわらず、今日ライバルであるJ社に行ったのは、この店舗ではどのようなアプローチをしてくれるのか以前から興味があったことと(担当してくれる方に寄るのですが)、私が気に入ったフレームがあったことという理由です。

今回も事細かに希望を伝えまして、まず視力を測っていただき、いくつかのレンズの中から希望するモノを選ぶという流れでしたが、やはり担当する方によってアプローチが違うことを改めて実感しました。

昨年のZ社のMさんは、「そのような使い方なら、もうちょっと度を上げた方が私は良いと思いますけど、でも実際にいくつかかけて比べてみてください。」

という攻めのアプローチだったのに対して、

今日のJ社のAさんは、あまり多くを語らないタイプで、「これくらいが良いと思います。もしくはコチラですが、いかがですか?」

と、やや控えめながらど真ん中に投げ込んでくるタイプ。

今日のメガネはまだ受け取っていないので結果はどうなっているのかまだわかりませんが、ちょっと楽しみです。

 

実際に、靴のオーダーメイドにおいても似たようなことが言えます。

つまり、お客様の足に対してどのようなフィッティングにするのかは、作り手が決めるわけですから、なるべく多くの情報をお客様から頂いて、タイト気味が好きなのかとか緩めが好きなのかとか、もっと細かく言えばどのあたりはどんなフィッティングが好きなのか、足を見て私の考えを伝えて、そしてお客様のご意見とすり合わせていく必要があります。

ただ、メガネと違うのは実際にその場で履いて良いか悪いか合うか合わないかを判断することが難しいこと。

タイト気味といってもその程度においては言葉で説明していただくのは難しいですから。

さらに言えば、お客様の中には何が正しいフィッティングなのか判断に困っていらっしゃる方もいるので、そのような場合は私がお勧めする、そのお客様にとっての理想であろうフィッティングに仕上げています。

作り手によるフィッティングの違いは、本当に興味深いところです。

 

そのフィッティングに大きく影響するのが、ラストの調整です。

今日は、少し前にお越しいただいたあるお客様のラストを調整しました。

ラスト調整

このお客様の足の計測の結果は、左右差があまりないように見えますが・・・、

ラスト調整

計測の結果を元にラストを調整したところ、このようになりました。

ラスト調整

右足(向かって左側)の方には、外側に革を貼ってプラスの調整が必要でした。

でも、数値的には計測結果に基づいています。

それはなぜかと言いますと、そんな大げさな話ではないのですが、ジョイントの部分関していえば右足は薄くて幅が広い。

対する左足は厚みがあって幅は標準。

そんな違いがありました。

数値だけではわからないことですが、骨格やちょっとした特徴から、判断できることです。

そして、それに伴ってどれくらい締めるのかに関しても、若干ですが左右で違ってきます。

シューズであるなら、左足の方が前にずれやすい形状であるため(今回はブーツですが)、細かい部分でラストに調整を入れる部分がたくさんあります。

先ほどのメガネ屋さんの例で言えば、私はきっと先回りしていろいろとやってしまうタイプですね。

ちなみに、このお客様のように小指側の骨がピンポイントで出ている方は、革の硬さによってラストの調整を変えてあげる必要があります。

ラストの調整は、とっても深いのです。

そして、そんな心配をまったく気にせずに、お客様には涼しい顔をして靴を履いていただけるのが、裏方の喜びなのです。

 

お知らせ

【お知らせ1】

11月に愛知県一宮市にてイベントを開催します。
日頃から自らの手で作り出している実践的なクリエーターが集結して、パフォーマンスや商品の販売をします。
詳細はコチラをご覧ください。

 

【お知らせ2】

Rifareさんにて恒例のオーダー会&計測会のイベントを開催します。

恵比寿店は、 7月23日(日) 11時~20時

大阪店は、 7月29日(土) 11時~20時

名古屋店は、 7月30日 (日) 11時~20時

となります。

 

シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。

スケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
ご検討中の方は、見学も大歓迎です。

旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら

メールアドレスは mail info@shoe-republic.com です。

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