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生産国について思うこと

カテゴリー: Break Time:ブレイクタイム


ここのところ本当に寒くなってきて、最近がんばって徒歩通勤をしている私には防寒のコートが必須アイテムになってきました。

先週のブログでも暖かいコートを探しているということを書きましたが、もうとにかく寒いのは嫌いなので防寒はしっかりとしていきたいと思いっています。

ネットで暖かそうなコートを探していると、時々尾州のウールというワードが目に入ってきて、やっぱり一宮をはじめとする尾州は11月のイベントで大変お世話になったと言うことが大きく、親近感があって積極的にそれらを選びたいと思っています。

以前は、ツイードと言えばハリスだとかドニゴールだとか、日本のものよりも外国のものの方が良さそうに見えて、ついつい深い理由なく外国のものを選んでいましたが、

その根拠はイマイチはっきりとしたものではなく、雑誌でよく見かけるとか何かの記事で読んだことがある程度で、思えば結構あてにならないのかもしれません。

まだ素材のブランドなら、ちゃんとその土地で作られているはずでしょうけれど、最近はコスト削減やその他の理由で海外のありとあらゆる国で生産されているものがたくさんあります。

私のコートを見てみたら、

コート

ひとつはベトナム製、

コート

そしてもうひとつは中国製でした。

また、先日片づけをしていて出てきたドクターマーチンのブーツは、結構古いモノなのでちゃんとイギリス製でした。

ブーツ

じつは、もうかなり前の話になりますが、私は靴の商社に少しだけ務めていたことがありまして、

そこでは取引先の商品を中国をはじめとするアジアの工場で生産してその取引先に納品するということをしていました。

それまでは、生産国なんてちゃんとコントロールできていれば全く問題ないと思っていましたが、

実際に自分がコントロールする立場に立ってみて、生産国は少なくとも靴に関しては非常に大切だということを知りました。

今から十何年も前の話です。

なぜそうなのかと言いますと、例えばヨーロッパの製品と同じようなモノを作りたいと思った時に、中国で作ろうとしても入手できない材料が存在します。

仕方がないので、中国で手に入る似たような材料を使うのですが、そもそもがそんなに良いものが手に入るわけではないので、限界があるのです。

その頃は、革の技術だってまだまだでしたから、似たような革でもちょっと履いているとすぐにダメになってしまったり、

そもそもが似たようなものを中国で安く作るということから始まっているので、良いものができるはずがありません(あくまでも当時の話です)。

靴以外の製品に関しては、どのような仕組みでアジア各国で生産されているのかは知りませんが・・・。

そして、今度は日本で靴を作ろうとしたときにどうなるかと言いますと、やはり日本にはすでに何十年もの靴を作るという文化が存在していまして、

それを、イギリスの靴が良いから同じように作ろうといったところで、使っている芯材や接着剤など、ちょっとした副資材においてはイギリスと同じものが入手できませんし、

それらを生産する工場においても、いくらヨーロッパと同じ機械を使ったところで、やはり人の手は全く違うモノですから、

結局は日本仕様となって多くの場合は同じものにはならないのです。

私個人的には、多くの場合で日本の技術よりもイギリスの技術の方が優れていると思っています。

その差が最も大きいのが、靴をどんなつくりにするのかと言う「企画」の部分であり、

クルマつくりに例えるなら、どんなデザインでどんな構造でどんな素材を使ってどんなクルマをどのように作るかと言うことを決める部分です。

私自身は、イギリスで靴つくりを覚えて、複数の日本の工場で働きましたが、これらは全く異なります。

見た目は似ているかもしれませんが、丈夫で履きやすいということを徹底的に追及しているイギリスの靴と比べると、日本の工場ではそれらを端折っている部分が多いように感じました。

文化の違いと言ってしまえばそれまでです。

ただ、日本の優れている部分もありまして、企画に対してほぼほぼその通りのものが出来上がります。

極端に違うモノは出来上がってきません。

やっぱり、モノ作りは丁寧で正確で几帳面な日本人という図式が当てはまります。

となると、勘の鋭い方ならもうお分かりだと思いますが、

最も良いのは、イギリスをはじめとするヨーロッパ企画で材料を日本に持ち込み、日本で製作するという構図です。

最近は、ヨーロッパで靴づくりを学んだ作り手さんたちがどんどん帰国して頑張っていますから、彼らもきっと日本の靴のクオリティアップに貢献してくれることと思っています。

もちろん私もイギリスから帰国組の一人として、日本の靴のクオリティを上げることに力を注いでいます。

今、お世話になっているコージ製靴さんは、本当に面倒くさいと思っているはずですが、私がお願いするイギリスの作り方をかなり理解してくださって、上がってくるものが以前に比べるとだいぶ私のイメージに近くなってきています。

結局、靴の生産国は決してどこでも良いというわけではなく、ましてや安ければよいというわけでもなく、ある程度のものを求めるのであれば、その国、もしくはその工場のことを多少は理解しておくべきだと思います。

ただ、実際には生産国や生産している工場の情報まで入手するのはちょっと困難かもしれませんので、そこは信頼できるサプライヤーを見つけて、そこに落ち着くという方法でも良いのではないかと思います。

Made in Japan、とってもステキなのですが、日本の得意とする部分もあれば、まだちょっとと言う部分もあって、すべて手放しで安心して買えるわけではありませんが、

それでも頑張っている日本製は応援したいと思いますし、今後成長してもらうためにも日本製はちょっとだけひいき目に見て買っていこうと思います。

 

お知らせ

①12月9日(土)と10日(日)には、Rifare大阪店さんにて恒例のイベントを開催いたします。足の計測もおこないますので、靴のフィッティングなどに関して詳しく知っておきたいという方は、ぜひこの機会にお越しください。シューリパブリックのハンドソーンウェルテッドのオーダーメイド靴のご注文も承ります。

②2018年1月より、工房でご注文いただく靴の価格を見直しさせていただく予定で、現在の94,000円(税抜)から95,000円(税抜)に変更させていただきます。

③只今、ダイナイトのトップピース(カカト)をお手ごろな価格で交換するプランを実施中です。詳しくは、11月22日の記事をご覧ください。

④2018年3月3日(土)と4日(日)には、長野市のIVY PRODUCTSさんにてイベントを開催いたします。IVY PRODUCTSにて開催するイベントは、今回が初めてとなります。足の計測、オーダーメイド靴のご注文をお受けするほかに、お客様に楽しんでいただけるようなこと只今思案中ですので、詳細が決まりましたらご案内させていただきます。

 

シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。

スケジュールはこちらをご参照下さい。
打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。
ご検討中の方は、見学も大歓迎です。

旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら

メールアドレスは mail info@shoe-republic.com です。

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