一宮のイベントが終わり、今日から通常営業です。 今日は、この後おこなうウェルティングのための糸つくりです。 ハンドソーンウェルテッドの靴を作る場合、ほとんどの作り手は「糸を作る」という作業を行います。 糸つくりは、作り手によってやり方がいくつかありまして、その名の通り糸をつむぐような作業から始める方もいるそうですが、 私の場合はまずクオリティを優先し、次に作業効率を優先していますので、9本に撚ってあるモノを使ってそれに松脂ベースのワックスを塗るなどの作業を施すという流れになります。 それでも、この糸つくりの作業は時間と力と根気が必要です。 上の写真は、布を使って糸をしごいているところです。 右手に見える緑色のモノは、養生テープです。 服の袖口に松脂ワックスがつくのを防いでいます。 糸つくりの流れとしては、 1、麻糸をだいたい5メートルくらいの長さに切り、 2、その糸の両端40センチずつを除いて松脂ワックスを塗り込み、 3、写真のように布を使ってかなり根気強く糸をしごき、熱で松脂ワックスが糸の中に溶け込ませて、 4、表面にビーズワックスを塗る となります。 なぜ麻糸を使うのかというと、麻糸は耐久性があって丈夫だからのようです。 では、なぜその麻糸に松脂ワックスを塗るのかというと、麻糸だけでは劣化して切れてしまうので、そうならないように糸を保護する目的で松脂のワックスを塗るそうです。 そして、作業性などを考えてビーズワックスを塗ると聞いています。 5メートルほどの糸の両端40センチずつを残すのは、そこにブリストルと呼ばれる針を取り付けるためです。 糸の先に針をつけてウェルトを縫うのですが、麻糸をほぐして細くして松脂ワックスを塗って釣り糸の針に巻き付けてブリストルを作るため、先端が細くなっている必要があり、その部分には糸つくりの段階では松脂ワックスは塗らないのです。 そうして松脂ワックスをコートした糸が完成し、これを使ってウェルトを縫い付けます。 ハンドソーンウェルテッドの靴は、そのような糸を使ってインソールの裏側に加工したリブにアッパーの革とともにウェルトを縫い付けるのですが、 一般的によく言われている「靴は1度履いたら最低でも2日は休める」ということはこの構造にも関係しています。 インソールがヌメ革なので湿っているところに圧がかかると硬くなって亀裂が入ってしまうという理由と、 もうひとつ、湿気がインソールの裏側にたまってそれが麻糸にコートした松脂にダメージを与えてしまうという理由があります。 どちらかというと、後者の方が深刻かもしれません。 なので、必ず1度履いたら2日以上、汗の多い方は余裕をもってそれ以上休めるようにしてください。 構造がわかると、なぜそうなのかということがスムーズに理解できますよね。 ぜひ、靴を永く愛用するためにも、靴をしっかりと休ませてあげてください。 休ませてあげるときには、湿気の多いコンクリートやタイルの上などには置かないようにしましょう。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
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■ 高山純一 ■ Shoe Republic の代表及びクリエーターとして靴の製作を担当しています。 |
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