余談ですが、今日も夕日がキレイでした。 さて、私たちシューリパブリックでは、日常に履いていただくためのオーダーメイド靴を製作しています。 そして、ウェブサイトではそれらは85%のクオリティということをお伝えしていますが、85%のクオリティとはいったいどんなことなのか、時々ご質問をいただきます。 この私たちが考える85%のクオリティのこととはいったいどんなことなのかをお伝えし、 あわせて価格のこと、日常仕様という定義に関しても書いてみたいと思います。 だいたい、何が100%で何が50%なのかというと、これはあくまでも作り手から見た漠然とした基準によるもので、客観的に見てそれが100%であったり50%であるのかというと、それはちょっと違います。 決して技術的にもうギリギリでまともな靴が作れないのではなく、 私が考えるマイナスの15%の部分とは、 アッパーのスキンステッチやソールのヒドゥンチャンネル、手縫いのだし縫い(ウェルトとソールを縫う作業のこと)やヤハズコバなど、時間をかけてやればできるけれど、実用のモノという前提でそれは必要ないだろうと考える、非常に手間のかかる作業と、 もしご希望でしたらあとからいくらでもできるけれど、靴としてなくても全く問題のないウェルトの目付です。 私たちシューリパブリックの靴のウェルトには、基本的に目付はついていません。 私が知っている限りでは、目付は手縫いでだし縫いを縫う際の目印と聞いていますが、私たちの靴は機械でだし縫いを縫うため目付は必要なく、 また合成ゴムのソールが標準仕様なので、レザーソールのだし縫いに比べて縫いのピッチが粗く、 結局は必要ないうえにピッチに合わせて目付をしたらボヤっとしてしまうし、ピッチと合っていない目付ならなくても良いと考えているためです。 だし縫いに関しては、実用面を考えて合成ゴムのソールを標準仕様としているので、物理的に合成ゴムのソールは手縫いでは縫えず(頑張れば縫えるかもしれませんが、費用対効果を考えるとあまり得策とは思えません)、 そんな理由からコスト面も考えて機械で縫っています。 モノ作りをしていると、どうしてもコストを考えてしまいます。 実際に普通に作れば問題なくできることを、余計な作業、もしくはお客様にとって必要のないことを加えて、それがコストに跳ね返って3万円とか5万円とか余計にお支払いいただくのは、どうしても納得がいきません。 企業努力によってムダを削減できること、つまりコストも技術のうちだと考えています。 つまり、実用を目的とした靴ならほぼ満点ですが、いわゆる世の中的に見る工芸品的なオーダーメイド靴という観点からすれば、マイナスの部分があるということです。 あるサイトで私たちのことをご紹介して下さっているのを拝見しまして、非常に好意的なことを書いてくださっていて本当にありがたいのですが、ひとつだけ訂正させていただきたい部分があります。 それは、革のクオリティを下げてコストダウンをしているということが書いてありましたが、それは違います。 そもそも、1足の靴を作る際に私たちがお勧めしているようなギブソンブーツでも、1足当たり35デシ(デシとは通常日本で使っている革の単位、10センチ四方の正方形のこと、デシ平方センチメートルの略)程度ですから、 デシ単価が100円安い革を使ったとしても1足あたり3,500円のカットにしかならず、結局は意味がありません。 そこをケチるのはモノづくりを考える上ではマイナスのことで、それよりも3,500円高くてもお客様に喜んでいただいて再度オーダーしていただく方が大いにメリットがあります。 さらに言えば、私たちのような小さな工房は、自分の工房で製作して自分の工房で販売していますので、製造原価と販売価格がほとんど同じですから、 販売価格が原価の数倍にもなってしまうような販売形態とは違って、原価が多少高くてもさほどのデメリットはないのです。 実際に私たちが使っている革は、最近のモノではイタリア製の革が多く、さすがにアノネイやデュプイなどの今では入手困難な革はないモノの、TEMPESTIやLUSSO、程度のモノが中心になります。 まだイルチアのボックスカーフもあります。 まぁ、革に関しましては実際に実物(裏面も)をご覧になっていただいて、そのクオリティや雰囲気を確認いただいています。 革は、単にブランドで選ぶのではなく、その個体の出来をしっかりと確認していただくことが大切です。 とまぁ理屈っぽいことをぞろぞろと書いてきましたが、私が最も伝えたいことはクオリティと価格のバランスが大切だということです。 クオリティは、必要以上なことはないけれど、作り手からしても十分に自信をもってお勧めできるクオリティであり、 価格に関しては、工房が固定費の安い田舎の住宅地にあることや、クオリティを落とさない部分に関しては積極的に機械を導入して作業効率を上げていることで、無理なく抑えることができています。 私は作り手であると同時に、日常に生活においては消費者でもあります。 私が消費者として納得できて欲しいと思えるものでないと、ほかのお客様も欲しいと思っていただけませんから、クオリティと価格のバランスが大切なのです。 せっかく買っていただくのなら、たくさん履いていただけるよう日常仕様というコンセプトを設けています。 デザインや雰囲気、つくりを含めて、履きやすくて使い勝手の良いものであるよう、そして生きている中で睡眠時間を除くと最も多い日常という時に心置きなく履いていただけるよう、 履いて歩くことに特化した靴を作っています。 これが私たちシューリパブリックが考える日常仕様の85%クオリティです。 ★★★お知らせ★★★ 【 お知らせ 1 】 11月に愛知県一宮市にてイベントを開催します。 日頃から自らの手で作り出している実践的なクリエーターが集結して、パフォーマンスや商品の販売をします。 詳細はコチラをご覧ください。 【 お知らせ 2 】 9月3日(日)に、自由が丘のRifare自由が丘店さんにおいて、恒例の足の計測会&靴のオーダー会のイベントを開催します。 【 お知らせ 3 】 9月30日(土)と10月1日(日)に、神戸三宮のSUNさんにて、靴のオーダー会のイベントを開催いたします。 なかなか埼玉のシューリパブリックの工房までお越しいただくのが難しい方、オーダーのチャンスです。 どんな靴を作っているのか、見にいらしていただくのも大歓迎です。 【 お知らせ 4 】 雨の日&出張用の靴は、只今ご注文を承っています。 こちらをご参照ください。 今年は茶系のギブソンシューズです。 受け付けは9月18日(祝)までの予定ですが、革がなくなり次第終了となります。 ご希望の方は、お早めにご連絡ください。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。 万円とか
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■ 高山純一 ■ Shoe Republic の代表及びクリエーターとして靴の製作を担当しています。 |
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