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ハンドソーンウェルテッド

私たちシューリパブリックで製作するオーダーメイド靴は、主にハンドソーンウェルテッドという製法で製作しています。 「主に」というのは、時々企画モノとして違う製法で製作することがあるからなのですが、 普通にお客様からご注文を頂いて製作する靴は、すべてハンドソーンウェルテッドです。 ちなみに製法とは何かといいますと、とっても簡単に言ってしまえば、靴の上物と底をどのようにくっつけるかということについて分類したものです(本当におおざっぱですが)。 靴を作る上で製法はとても重要な要素と位置付ける人もいれば、さほど関係ないという人もいますが、 私個人的には、やっぱり概ね重要な要素だと考えています。   最も簡単なのはセメンテッドという、いわゆる上物と底を接着剤で貼り付けて作る製法です。 これに対してハンドソーンウェルテッドでは、インソール(中底)にリブ加工を施したうえで、ラスティング(つり込みのこと、これはセメンテッドも同じ)のあとにウェルトを手作業で縫い付けます。 さらに、コルクのボトムフィラーをセットしたり、まぁとにかく細かい作業がたくさんあります。 作業的に見れば、セメンテッドの靴よりも5時間くらい多く時間がかかるような計算になります。 それだけ作業に時間を要すとなれば、コスト的に見てもその分高くなるわけですが、作り手として感じるのはハンドソーンウェルテッドで製作する場合に、そのコストの差よりももっと大きなメリットがあるということです。 もちろん、何でもかんでもハンドソーンだから良いということはありません。 ちゃんと作られたものという前提での話になります。 ハンドソーンウェルテッドの靴がセメンテッドの靴より優れている点は、 高い剛性により長時間歩いた時の疲れが少ないこと、 構造上の都合で、ボトムフィラーのコルクによって衝撃がうまく緩和されること、 縫ってあることで完全に固着されているのと違い、うまい具合にほんのわずかなズレが生じて、歪みが逃がされていること、 構造上の理由で厚いインソールを使っていて、これが靴の中が蒸れることを防いでいること、 ソールを仮留めの接着剤で留めているので、修理の時には靴に負担なく交換ができること、 と、たくさんの点が挙げられますが、そんな理屈よりもまず実際に履いていただくと、ハンドソーンウェルテッドの優しい履き心地、言い換えれば懐の深さを実感することができます。   ちょっと話が外れますが、 いわゆるセメンテッドの既製品の靴から、ハンドソーンウェルテッドのオーダーメイド靴に行く場合、2つのステップポイントがあります。 まず、ラスト(木型)が既製品のラストから足に合ったラストに変わること。 そして、製法がセメンテッドからハンドソーンウェルテッドに変わること。 前者においては、それまで既製品のラストがどれくらい合っていたのかということによって、足に合ったラストのメリットの大きさが変わってきますが、 後者においては、製法によって変わることは上記の通りであり、 そのほかにそれまで機械によるラスティングだったものが、手作業によるラスティングというおまけまでついてくるわけで、 じつはあまり知られていませんが、この差は非常に大きいのです。   ここで振り返ってみると、最も履きやすい靴を作ろうと思った時に、要件として、 「足に合ったラスト(木型)を使って製作すること」 「ハンドラスティング+ハンドソーンウェルテッドで製作すること」 「正確に作ること」 ということになり、 これを作業効率の改善でムダを減らして作ることができれば、ムダな経費が掛からなくなって、妥協することなく安くて良いものができることになります。 それが、私たちシューリパブリックの靴です。 作り手として自信をもってお勧めできるモノを作ろうと思った結果が、ハンドソーンウェルテッドに辿り着いたということです。   シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダーメイド靴をお作りしています。 スケジュールはこちらをご参照下さい。 打ち合わせ等でお越しいただく場合のお時間は、10時、13時、16時の中からお選びください。 ご検討中の方は、見学も大歓迎です。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは  info@shoe-republic.com です。

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