今日は、お客様がいらっしゃったり、ラスティングやウェルティングの作業をしたりと、なかなかバラエティに富んだ一日でした。 ところで、ハンドソーンウェルテッドの靴は、ここ最近ご覧いただいているように細かい下準備がたくさんある上に、ウェルトを手作業で縫い付けるという、かなり手間のかかる製作工程を要する靴です。 その工程はと言うと、ラスティングが終わった靴に、ウェルトを縫い付けるために糸を作ります。 糸を作るというのは、9本撚りの麻糸に松脂ベースのワックスを塗り、それを布でしごいて内部に染み込ませ、作業性をよくするために表面にビーズワックスを塗るという作業になります。 さらに、糸の両端にはブリストルと呼ばれる針を加工して取り付けます。 これで糸が完成。 その糸を使って、ウェルトを縫い付けるのですが・・・、 作業はこんな感じで行います。 ひと針ひと針オウル(すくい針)で下穴をあけてブリストルを通し、そして糸を正確な力加減でぎゅっと締めてウェルトを縫っていきます。 片足約50分、無心になって縫い続けます。 そして10分休みます。 ウェルトが付いたところです。 こうして手作業で縫い上げるハンドソーンウェルテッドと、似たような工程を機械でこなしていくグッドイヤーウェルテッドは、その出来上がった靴がどう違うのかという質問を受けることがあります。 価格的には、2倍3倍の開きがある(ハンドソーンのほうが手間がかかって高価です)のに、何が違うのでしょうか? ただ手間がかかるだけなら安い方が良いのですが、実際にこれまでお客様からうかがったご意見やご感想として、ハンドソーンウェルテッドのほうが圧倒的にしなやかで、なおかつこれが最も大きな違いなのですが足をとっても優しくホールドするという違いが挙げられます。 そもそも、グッドイヤーウェルテッドは大量生産を目的とした機械生産が基本なので、一人一人の足に合わせるというような作り方は適していません。 もし上手に生産のシステムを組んで一人一人の足に合わせることに対応できたとしても、革を成型するのは履き心地を含めて機械よりも手作業のほうが圧倒的に優れています。 さらに、ウェルティングを機械で行うのと手作業で行うのでは、構造的な違いも手伝って手作業で行う方が安心感があって優しい履き心地になります。 ただし、すべてにおいてハンドソーンウェルテッドが優れているわけではなく、すでに書いている通り生産性において大量生産を目的としたはグッドイヤーウェルテッドのほうが良い(その分コスト面でアドバンテージがある)ということが言えます。 一長一短と言えばそれまでですが、それぞれに特徴がありますので、履く方が必要とする目的に合わせて選んでいただえれば良いわけです。 私たちシューリパブリックは、丸一日履いても疲れにくく、より快適に履ける実用靴として、ハンドソーンウェルテッドの靴を製作しています。 その違いは、ぜひご自身でお試しいただきたいと思います。 シューリパブリックでは、日常仕様の快適オーダー靴をお作りしています。 今週末のスケジュールはこちら。 旧ブログ(2016年3月25日まで)はこちら。 メールアドレスは info@shoe-republic.com です。
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■ 高山純一 ■ Shoe Republic の代表及びクリエーターとして靴の製作を担当しています。 |
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